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赤髪の女勇者アンナ ~実は勇者だったので、義妹とともに旅に出ます~  作者: 木山楽斗
第三章 鎧に隠された真実

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第51話 鎧魔将ツヴァイ

 ガルスとツヴァイの戦いは、続いていた。


「竜魔将……お前の力は強大だ……」

「ツヴァイ」


 そこでツヴァイは、自身の持っている槍を地面に突き刺した。


「故に、俺も禁じ手を使わざるを得ないようだ」

「禁じ手だと……」


 ツヴァイは、口の端を歪めている。ガルスは、その様子に何かがあるの感じていた。


「鎧魔奥義……」

「何……?」


 ツヴァイの体に、闘気と魔法、二つの力が纏われる。


超強化鎧(スーパー・ア―マー)!」

「こ、これは……?」


 その体は、厚い鎧に覆われ、まるでかつてのような姿に変わっていた。


「それがお前の本気という訳か……」

「その通り……これこそが俺の力。平時なら、闘気のみで鎧を強化するが、今は魔闘気による鎧を作り出させてもらった……」


 ツヴァイは槍を引き抜き、そこに雷を纏わせていく。


雷の槍(サンダー・ランス)!」


 さらにガルスに、一直線で向かってきた。


「来るか!」


 ガルスは態勢を低くし、攻撃に備えた。


「はああっ!」

「ぬんっ!」


 ツヴァイの突き刺した槍を、ガルスはゆっくりと躱しながら、その懐に入り込んだ。


竜人拳リザード・ナックル!」


 そして、拳を振るい、その鎧に攻撃が当たった。その瞬間、ガルスは目を丸くした。


「ぐわあっ!」


 攻撃したはずのガルスが、逆に叫びをあげていた。その鎧の固さと魔闘気によって、ガルスの拳の方が、ダメージを負ったのだ。


「ふふっ!」

「ぐううっ!」


 ツヴァイは、ガルスの首を掴み、持ち上げた。


「この鎧は、攻防一体の鎧。攻撃してきた者を傷つける、最強の鎧なのだ」

「ぐっ!」

「竜魔将……これで終わらせてやろう」


 ガルスの首を絞める力が、強くなっていく。このまま、勝負を決めるつもりなのだろう。

 そこで、ガルスは、両手でツヴァイの腕を掴み取った。魔闘気によって、その手が傷ついていくが、ガルスはそれを気にしてはいなかった。


「ふん、無駄な足掻きを……がっ!?」


 余裕な態度だったツヴァイは、その手に強烈な痛みを感じた。そのため、ガルスを掴める力を緩めてしまい、その隙にガルスに逃げ出されていた。


「な、何が起こったというのだ……?」


 自身の完璧だったはずの鎧が、破られたことで、ツヴァイは動揺する。ガルスは態勢を立て直しながら、ゆっくりと口を開き始めた。


「闘気には色々な使い道がある……」

「何……?」

「肉体の強化、遠距離攻撃、そして、俺が使ったのは鎧の内部に闘気を伝わせる攻撃……」

「内部攻撃だと……」


 ツヴァイは驚愕した。闘気の使い道で、内部への攻撃など、かなりの繊細なコントロールが必要なはずである。それを、あの状態で成功させるガルスが、異常だとしか思えなかった。


「敵として戦うと、ここまで厄介とはな……」

「ふっ……! それはこちらも同じことだ……」


 ツヴァイは、ガルスが万全の状態でなかったことに、感謝した。もし、万全なら、とても勝てるとは思えなかったからだ。


「だが、お前のダメージも限界近いはずだ……」

「ふん……」


 ガルスは今までの攻撃で、かなり消耗していた。そもそも、傷ついた体で戦っていたガルスは、限界も早いだろう。

 だが、ガルスは笑っていた。


「俺をあまり舐めてもらっては困るな……」


 ガルスの両腕に闘気が集中していた。何か大きな攻撃が来るのだと、それはツヴァイにも予測させた。


「いくぞ! 竜人(リザード・)爆裂波(ショックウェーブ)!」

「ぬうっ!」


 ガルスの両腕から、闘気が放たれた。ツヴァイは、思わず防御の構えをとったが、それは間違えであると、すぐにわかった。


「何……?」


 その攻撃は、鎧によって、いともたやすく受け止められたからだ。そして、その隙にガルスに接近されていた。


「ぬん!」


 ガルスは両手を地面につけ、体を押し上げ、ツヴァイを蹴り上げた。足が、鎧によって傷ついたが、それも気にせず、ガルスはツヴァイを追い飛び立った。


「ぐうっ!」

「いくぞ!」


 ガルスは、頭が下になるように、空中でツヴァイを捕まえた。


竜人落とし(ドラゴン・ドロップ)!」

「ぬがああ!」


 ガルスはそのまま、落下する。それと同時に、鎧による攻撃で、ガルスの体は傷ついていく。しかし、ガルスも闘気を内部に伝わらせて、ツヴァイを攻撃した。


「ぐあはっ!」


 ツヴァイの体が、床に衝突する。その衝撃と、鎧によるエネルギーによって、床が砕けていく。


「くっ……!」


 さらに、ツヴァイの魔闘気の鎧には、ひびが入っており、その絶対防御が崩れ始めていた。

 ガルスは、大きく後退しながら、ツヴァイと距離を取っていた。


「馬鹿な……あり得ん。この俺が、ここまで……」

「ツヴァイ……お前の防御もここまでのようだな」

「ぐぬうっ……!」


 ガルスとの攻防によって、ツヴァイの防御は破られてしまった。そのため、ツヴァイの優位が絶対ではなくなったのだ。


「だが、お前も、最早限界のはずだ……」

「ふ……」


 ガルスも鎧を攻撃したことによって、その手も足も、ボロボロになっていた。しかし、ガルスは笑っていた。なぜなら、ガルスはわかっていたからだ。


「ガルス……」


 その時、一つの声が響いた。


「そろそろだと思ったぞ……」

「ああ、ありがとう……おかげで、かなり回復できた」

「くっ!」


 ツヴァイは、苦悶の表情を浮かべる。


「勇者アンナ……」


 ガルスの隣には、アンナが立っていた。

 アンナは、二人が戦っている間に、体力を回復させ、さらには、聖闘気をかなり練れていた。


「ツヴァイ……ここからは、私が相手しよう」

「ぐっ……!」


 アンナの聖闘気は、ツヴァイにすらわかる程、強大になっている。ツヴァイにとっては、かなり驚異的な状況だ。


「まだまだ、負けんぞ……この俺の力は、こんなものではない……」

「ツヴァイ、終わらせよう……」


 アンナが聖剣を構えると同時に、ツヴァイも槍に雷を纏わせる。聖闘気と魔闘気、二つの力が今、ぶつかり合おうとしている。


雷の槍(サンダー・ランス)!」


 ツヴァイはアンナに向かいながら、雷を纏った槍を突き刺した。アンナもそれに合わせて、剣を振るう。

 聖闘気を纏った一撃は、今までよりも進化している。その状態で放つのは、アンナの最大の剣技である十字斬り(クロス・スラッシュ)だ。それは、聖なる攻撃に変わり、新たなる技になる。


聖なる十字斬り(セイント・クロス)!」

「何!?」


 十字の一撃目で、ツヴァイの槍が切り裂かれた。二撃目が十字の形となって、一撃目と重なり合った。

 二つの斬撃は、眩い光を放ちながら重なり合って、ツヴァイの鎧を切り裂いた。


「ぐううっ!」


 アンナの攻撃の威力に耐え切れず、ツヴァイの体に纏われた、魔闘気の鎧が砕け散っていく。


「ぐああっ!」


 衝撃によって、ツヴァイの体は大きく後退した。


「おおおおっ!」


 アンナは、それを追いかけながら、さらなる攻撃を放つ。ガルスのおかげで、聖闘気はかなり練れていた。そのため、アンナの攻撃は、全て聖闘気によるものである。


聖なる十字斬り(セイント・クロス)!」

「ぐううううっ!」


 聖なる光を放ちながら、十字の攻撃がツヴァイを襲う。砕けていた鎧が、さらに割れて、見る影もなくなっていた。


「がはっ! ば……馬鹿な!」


 ツヴァイは、自身の体に起こった変化に戸惑いながら、衝撃によって、壁に叩きつけられた。


「はあ、はあ……」


 アンナによる新たな最大の攻撃によって、ツヴァイの鎧は完全に消さった。アンナは、疲労しながら、ツヴァイを見つめる。

 ツヴァイは、なんとか態勢を立て直しながら、槍を構え直していた。まだ、完全に折れた訳ではないようだ。


「まだだ、負ける訳には……いかんのだ!」

「ツヴァイ……」


 二人は、見つめ合いながら、対峙する。

 恐らく、これからの攻防が、この戦いの最終局面となるだろう。二人の、それぞれの闘気がぶつかり合って、空気を揺らしていた。

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