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魔法の契りで幸せを  作者: 平河廣海
第二章 桜空伝
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第六話 願い

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

早速ですが、この第六話投稿前日に、第一章第一話に大きく加筆しましたので、まだお読みになってない方は、よろしければそちらもよろしくお願いします。

「テレポーテーション! テレポーテーション! テレポーテーション!」


 隠し通路を走りながら、白魔法での移動を試みる。

 でも発動しない。ペトラ礼拝堂の中と同じく、魔力を練られない。

 このままでは、追っ手に見つかったら……。


 だめだ。そんなの考えては駄目だ。

 私は、母を見捨てたんだ。みんなを、見捨てたんだ。

 そこにいたであろう、リベルも。

 王女であるのに。


 みんな、見捨ててしまった。

 償えないほどの罪を、犯してしまった。

 こんな私に、生きる資格など、無いはずなのだ。

 でも、母は言った。


「いきなさい!」


 どっちの意味なのだろうか。

 「行け」なのか、それとも、「生きろ」なのか。

 おそらく、両方だろう。

 だから、私は。

 ここで捕まるわけにはいかない。死ぬわけにはいかない。

 母の最期の願いを、無下にするわけにはいかない。

 みんなを見捨てる、償えない大罪を、犯してしまったのだとしても。

 あるいは、犯してしまったからこそ、生きなければいかないのかもしれない。

 そう思う。


 だから、私は。


「テレポーテーション! テレポーテーション! テレポーテーション!」


 生きるためにあがく。

 暗い、隠し通路の中で。

 明るい出口を求めて。

 なるべく遠くを目指して。

 この隠し通路が通じている、最も遠い場所、ベツレヘムを目指して。



 ※



 何度も魔法を使おうとしても、全く使えそうにない。

 そんな絶望的な状況で走り続けている。

 だが、襲撃や、母を、みんなを見捨てて逃げたことへの動揺、精神的ショックのため、体が非常に重く、走りづらい。何度も転んでしまうほどだ。

 だんだん、体力を消耗してしまって、何度も立ち止まりそうになるが、そのたびに自分を奮い立たせ、足を動かす。ばててしまっていて、走っているのか歩いているのかわからないほどだ。


 しかし、休めそうもなかった。


「この通路はいろいろなところに通じてるんだって?」


 敵の声が聞こえてきたのだ。

 私は必死に足を動かす。魔法の呪文を小声で唱える。


「そうらしいな。まだ遠くに行っちゃいねえと思うが、魔法を使えない範囲の外に行くと、すぐ魔法で逃げるだろうから、急がねえと」


 ……え?

 つまりは、敵が魔法を使えなくさせたのだろうか。

 だから魔法を使えないのだろうか。


「いずれにせよ、あの王女様を捕えればこっちのもんさ。あいつさえ殺せば、王家は滅ぶ。そうなりゃ、ようやくちゃんとした王家が王になってくれるよ」


 この発言は……、「王家が滅ぶ」、「ちゃんとした王家が王になる」ということは。

 まさか。

 母は……。

 もう……。

 私を支える何かが、根元から崩れていく感覚がする。

 足が止まりそうになる。

 悲しみに囚われそうになる。

 でも、動揺してばかりではいられない。


 「いきなさい!」

 そう、母は言った。

 こんなところで、立ち止まっては、捕まってはいけない。

 生きるんだ。

 また、幸せになるんだ。

 だから、足を止めるわけにはいかない。


 それに、科学兵器が使われていたから、マスグレイヴが攻めてきたのかと思ったが。

 これが、マスグレイヴが実行したものではないとしたら。

 ……バノルス国内の者の仕業だとしたら。

 ノア派が襲撃したということか。

 ……それは、リベルを疑うことになるけれども。


 だが、だとしたらなぜ科学兵器を使ってきたのだろうか。

 ノア派の筆頭、ユダが長を務める、軍事省で科学を導入しているとはいえ、剣や鎧などしか扱っていないはずだ。爆発したり、パーンと音が鳴って遠くから攻撃するような武器など、魔法以外存在しない。

 つまり、バノルス単独では、ノア派だけでは無理なのだ。

 だからこそ、マスグレイヴが関わっているはずなのだが。


 しかし、そのことに気を取られている場合ではない。

 あいつらに見つかれば、捕まる、殺される。

 母の願いを、無下にしてしまう。

 もう、体が思うように動けない。魔法も使えない。

 でも、奇跡が起こることを信じて。

 私は、ひたすらに足を動かし、呪文を唱え続ける。


「いたぞ!」


 だが、そのもがきは、むなしく散る。

 あいつらに、見つかってしまった。

 それでも私は必死に逃げる。

 そうしなければいけない。

 再びパーンと音が鳴る。

 背中に痛みが走る。

 紅く染め上げているのだろう、濡れていくのがわかる。


 幸せの象徴だったはずのドレスは、絶望を象徴するように、真紅のドレスとなっているのだろう。

 その色が濃くなり、広がっていくたび。

 私という存在が終わりへ近づく。

 それでも、終わらせないために、私は呪文を唱える。

 これが、最後の機だろう。


 もう、意識が遠のきかけてる。

 眠くなってきた。

 寒い。

 でも、諦めない。

 母のために。


「……テレポーテーション」


 その瞬間、周りの景色が一変する。

 背の丈の低い、草原が広がり、見上げれば、青空が広がっていた。

 ……魔法を、使えたのだ。

 ひとまず、生き延びられたのだ。

 だが、追っ手に見つかるわけにはいかない。

 とりあえず魔法で結界を敷き、自分の治療をした。

 出血が止まる。一時的だが、数時間程度は持つ結界も敷いたので、外からは私を認識できないだろう。

 この瞬間、自分が安全な状態になったと思った。

 そう思うと、瞼が重くなる。


「……コネクト・トゥ・ヤサコニ・イオツミスマル。

 ゴー・イン・ヤサコニ・イオツミスマル」


 より安全な、母の形見の、イオツミスマル内に入る。

 ここなら、わずかではあるけれども、魔力の供給を受けられる。

 ヤサコミラ・ガリルトも使えばよかったけど。

 いつもの暗くて明るい、不思議な空間にたどり着くと、いつもの生活に戻れた気がして。

 ゆりかごに揺られている気がして。

 母に見守られているような気がして。

 そのまま、意識を失った。



 ※



 何も聞こえない。

 寒くも、暑くもない。

 そんな感覚がし始めた。

 それを自覚すると、様々な感覚が飛び込んでくる。

 何かに触れている感覚がある。たぶん、地面に倒れている。

 心なしか、血の臭いがする。

 そして、瞼がくっついている感覚がしているうえに、何も見えない。

 どうやら、眠っていたみたいだった。


 だから、目を開けてみた。

 すると、暗くて、明るい、そして地面がないように見えるところに倒れていた。


「つっ……」


 手をついて立ち上がろうとするが、痛みが走り、思わず呻く。

 どこか傷ついているのだと思い、自分の体を診るために服の方を何気なくのぞいてみた。

 紅かった。

 でも、白いところも、わずかにあった。

 そして、血の臭いがした。


「あっ……」


 ようやく、思い出した。

 直前まで、何があったのかを。

 襲撃を受けたことを。

 みんなを見捨てたことを。

 逃げたことを。

 結局、リベルのことを考える暇がなかったことを。

 何も、できなかったことを。

 母を、見捨てたことを。


「母上……」


 できるなら、再び襲撃直前の日常に戻りたかった。

 それが、意識を失う直前に、確かにそこにあったのだけど。

 今はただ、はるか遠くの向こう側へ遠ざかっていた。

 私の支えが、消え去ってしまった。

 目頭が熱くなり、自分の気持ちを抑えられなくて、何もできなくて、どうしようもなくて、悲しみがあふれて。

 ただ、むせび泣く。


 これから、どうすればいいのだろうか。

 いくらイオツミスマルやヤサコミラ・ガリルトから魔力を得られるとはいっても、ずっとつながったままにしたことがなかったので、どの程度体に負担がかかるかわからなかったし、食料もなかった。

 このままでは、エネルギーがなくなり、飢え死にどころか、魔法の使用が不可能になり、逃げることもままならない。

 そうなると、結界を張れなくなったり、結界が長持ちしなくなったりして、捕まってしまう。


 イオツミスマル内にこもるには、つながり続けることが必要だが、エネルギーがなくなることを考えると、つながらなくなるだろう。つながるだけでも、全属性の魔法を使うため、マジカリウムの供給しかできない神器では、エネルギーなしでポリマジカリウムを得られないからだ。

 こう考えると、逃げ続けるのは。

 ほぼ、不可能だった。

 そうなると、敵を倒す必要がある。

 ただ、襲撃時みたく、魔法を使えないだろう。それでは、どうすることもできない。

 ……詰み、だった。

 もう、希望はない。


 ……ただ。

 一つだけ。

 すがれるものがあった。


「ヤサコミラ・ガリルトなら……」


 神器のうちの、切り札。

 かつて使われたことのないものを使えば、あるいは何とかなるのではないだろうか。

 そのなかで、ヤサコミラ・ガリルトは、「別なところに行ける」という効果だ。

 これならば。

 ……逃げられるのではなかろうか。


 国民を、みんなを。

 リベルを。

 見捨てることにはなるけれども。

 王女が、(ゆる)されぬ大罪を犯すことになるけれども。

 そんなことをしていいのだろうか。

 私のため、母のために。

 国民を、みんなを。

 リベルを。

 見殺しにすることなど、赦されるのだろうか。

 せめて、もっとあがいて、どうしようもなくなってからでは赦されぬのではないだろうか。


 それほどの、大罪だ。

 私は、そう思う。

 もしかしたら、国民全体で立ち向かえば。

 敵を退けられるかもしれない。

 ……そのために流れる血と、どちらが多いだろうか。

 そもそも、天秤にかけていいものなのだろうか。

 私は悩む。


 でも、ここで私だけが逃げたら、もっと悪い状況になるのではないか。

 王がいなくなって、マスグレイヴに蹂躙(じゅうりん)されるのではないだろうか。

 もっと血が流れるのではないだろうか。

 国民が奴隷になるのではないだろうか。

 あるいはノア派が王になるかもしれない。

 ただ、リベカ様がバノルスに嫁いだ時、後任のオラクルもいたが、その者は「オラクル」を使えなくなり、結果的にガリルトの情勢は不安定になった。


 そう考えると。

 周辺の国民に協力を呼び掛けて、反撃に出よう。

 そう、思った。

 ……母亡き今、王位につける者は。

 私だけなのだから。

 だから私は、ヤサコミラ・ガリルトを持ち出し、ヤサコニ・イオツミスマルとともに私とのつながりをつくり、万全の状態で外に出た。



 ※



 イオツミスマルの外に出ると、そこは結界の中だ。

 その近くには、隠し通路の出口があった。

 周辺の草原の背の高さから、ベツレヘムの近くと分かったが、そこは隠し通路の出口で、ペトラ礼拝堂からは一番遠いところだった。


 白魔法を使えばここにたどり着くことなど容易かもしれないが、結界を張ったこと、そもそも移動できる魔法を使えるものが少ないことので、ここにたどり着くのは、時間を要するはずだったことから、敵の目を欺くには十分だった。

 その結界の外に出る。結界は使用時に使った魔力に応じて持続時間が伸びたり、常に魔力を消費することで、その時間だけ結界を張れる。

 つまり、持続時間と使用魔力は比例するのだ。

 だからこそ、エネルギーがなくなると、ポリマジカリウムを産生できなくて、魔力を使えなくなるので、結界を張れなくなるのだ。

 そのため、長時間とどまることはできない。


 二つの神器とのつながりを常時確保し、万全の状態で、ベツレヘムへ、姿を消す黄魔法や、着替えの服がないので、国民を説得するときに備えて、一応別の服装に見える黄魔法、血の臭いを感じなくさせる緑魔法、空を飛ぶ複合魔法を使いながら向かった。

 特段、変わった様子は見られないが、どの程度時間が経ったかわからず、敵襲を常に警戒する必要があった。


 幸いなことに、ベツレヘムに、襲撃されずにたどり着いた。

 人目につかないところで、私の姿を他の人に見えるようにする。

 そして、街を歩いていた人に、神器を浮かべて見せて、王女であることを示しながら話しかけた。

 警戒感が薄いと思われるかもしれないが、後々王都を奪還しなければならないのに、自分の立場を明確にしておかないと、協力してくれないと思ったため、神器で身の程を明らかにしようと考えた。


 万が一、敵だったら、魔法でどうにかするしかない。

 その際、魔法をまた使えなかったら、今度こそ仕舞いだが、結局それは、最初から逃げようとしても逃げきれないので、その線を考慮しないことにした。


「すみません。私、ステラ女王の娘、サラファン・トゥルキア・バノルスなのですが、こちらに……」


 しかし。


「いたぞ!」

「捕らえろ!」


 その町の人が、私が王女と分かると、私を捕らえようとしていることがわかる。

 結局、今の私には、味方はいない。

 だから、ここから逃れることにした。


 魔法で空を飛び、私の周りを丸く覆うバリアを敷く。

 今度は魔法を使え、ひとまずこの場はやり過ごせる。

 敵はなにやら黒くて長い筒のようなものを私に向けていたが、その引き金を引くと。

 パーン!

 私に傷つけたであろう、音とともに、火花が飛び出たのがわかる。


 すると、バリアに何かがぶつかる。小さな物体。

 どうやら、科学的にあの物体を発射して攻撃するみたいだ。

 魔法を使えたために、傷つくことはなかったが。

 それでも、襲撃の時を思い出し。

 私が撃たれたことを思い出し。

 ……母の最期を思い出し。

 身の毛立ってしまう。震えてしまう。


 だが、魔法を使えたため、それは届かない。

 大丈夫なはずだ。

 魔法さえ使えれば、私は敵なしなのだ。

 深呼吸する。

 落ち着け。

 スー、ハー。

 ……。

 恐怖心をあまり取り除けなかったが、とりあえず震えが止まってくれる。

 落ち着いてくれたみたいだ。

 大丈夫。

 魔法があるのだから、私に攻撃は届かない。


 こうなっては、私を殺すことはできない。傷つけることさえ叶わない。

 私が敵を殺すのは、赤子の手をひねるように、たやすいことだ。

 魔法を使えるならば、私にとっての戦闘は、ただの遊戯にしかならない。

 だが、この敵は打ち払うべきだろうか。

 実際、私なら町ごと焼き払える。「プロミネンス」を使えば、たやすい。

 しかし、仮にも国民だ。いくら敵とはいえ、問答無用で殺したくない。

 それに、今のうちに魔力やエネルギーを使いたくない。無駄に魔法を使うと、後で魔法を使えなくなり、逃げられなくなる。

 ゆえに、私は、姿を消す魔法を使って、追ってこれないようにして、この場から去った。



 ※



 いくつも、いくつも、街を回った。

 反撃しようと思っていた。

 しかし、いずれの街も、漏れることなく。

 私を捕らえようとした。

 さらに、情報を集めるため、姿を消して街を歩いていると、どうやら、この国はノア派に乗っ取られたらしい。


 クーデターとでもいえばいいのだろうか。

 そして、母や、父など、旧政権派ともいうべき者たちは。

 皆……。

 処刑、された。

 火炙(あぶ)りの軽だったらしい。

 リベルがどうなったのかは、全く情報がなく、消息不明だ。


 つまり、私には。

 味方は、いない。

 一人だった。

 皆、敵だった。

 私は、この国の人たちにとっては。

 ただの、大罪人だった。


 でも、捕まるわけにはいかない。

 母は、いきなさいと言った。

 「生きろ」、「行け」のどちらかは、正確にはもうわからないけど。

 捕まっては、その願いは果たされない。

 だから、私は逃げ続ける。



 ※



 私は、一度ゴルゴタに身を隠すことにした。

 人がいない、というのもあるが、あえて王都の近くに構えることで、食料を得る際に使う魔力量や、エネルギーを節約するためだった。。

 しかし、なかなかうまくいかない。食料があるところは、バノルスでは人がいるところになる。草原や町、湖、海、川の近く以外は、砂漠が広がり、そこには人が住まず、食料も全くない。


 そのため、食料を得るには、人がいるところに行かなくてはいけない。しかし私はお尋ね者。姿を消しながら盗みをしなければならない。

 元王女が盗人など、滑稽なことこの上ないが、生きるためには仕方ない。

 しかし、姿を消すにも魔法を使う、移動にも魔法を使う、生命活動を営む上でもエネルギーを使う。

 そのため、食料が不足し、エネルギー不足。疲労もあったため、私の体は、限界に近付いていた。



 ※



 明くる朝。

 結界の中で目を覚ますと、周囲の状況が一変していることに気付いた。

 魔法で調べると、多くの人が、ゴルゴタにいるようだった。

 何らかの方法で、私の潜伏場所がばれたのかもしれない。

 逃げようとすれば、逃げられる。殲滅しようとすれば、殲滅できる。


 しかし、結局、その場しのぎにしかならない。

 やがて、魔法を使えなくなって、飢え死にか、処刑かを選ぶことになるだろう。

 遠くに行こうとしても、マスグレイヴを経由しなくては地理的に無理だ。魔力が持つかもわからない。


 もう、詰みだった。

 死以外、私を待つものはなかった。

 だんだんと、私への包囲網が狭まる。


 生きるためには、もう、切り札を使うしかなかった。

 使えるうちに。

 ヤサコミラ・ガリルトを、今、ここで。

 それに、すがるしかない。


 守ろうと思っていた国民に、分かり合えると思っていたノア派に裏切られた。

 母や父たちを失った。

 リベルは消息不明。情報がない。


 私は、今、空っぽだ。

 こんな、空っぽな女なんか。

 王女でも、何でもない。

 ただの屍だ。

 屍が動いているにすぎない。

 そんな屍を求める人間など、私を求める人間など、ここには、存在しない。

 そんな何もできない私が、嫌になって、悲しくて、情けなくて。

 涙があふれる。


 だから、逃げていいと思った。

 こんな私など、ここにいるだれもが必要としていないのだから。

 もう、敵がすぐそばにまで迫っている。

 やるしか、ない。

 私の生きるための、最後の希望に、すがるしかない。


 ……最後まで、もがいてやる。

 だから、私は。


「ごめんなさい、みんな……」


 何もできないことへの謝罪を。

 独り言のようにつぶやいて。

 ヤサコミラ・ガリルトとのつながりを維持したまま。

 その呪文を唱えた。


「……アウェイキング・オブ・ヤサコミラ・ガリルト」


 その瞬間、ヤサコミラ・ガリルトが輝き。

 ゴルゴタ一帯を光に包み。

 その鏡面に、私は吸い込まれていった。


次回の投稿は、令和二年一月三十一日です。

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