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07.ルチューナ部隊

ケイがオルディーネ本部を疾走していた頃、時を同じくして別の場所でケイと同じように疾走している者がいた。


場所はモンド・アニマ内のBー13地区。

白と黒が住む世界、モンド・アニマは大きくA~Fに分けられ、そしてその1つ1つがさらに20の地区に分けられている。


疾走していた男、彼は黒髪に青のメッシュが混じり、黒い軍服に身を包み、焦ったような表情を浮かべながら、黒を10人引き連れていた。

彼の名はシン。シンはオルディーネのルチューナ部隊長だ。


シンは立ち止まり、イライラしたようにインカムに向かって怒鳴りつける。

ある程度の距離ならばテレパシーで会話をすることはできるのだが、相手はAー1地区にいてテレパシーの範囲外のためインカムを用いている。


「エイ!!応答しろ!警報があった地点はどこだ?!」


するとインカムの向こう側から眠そうな声が返ってきた。


『ふぁぁ…そんな焦るなって~…えっと~、そこから10m先を右折、したらその先に欠落した道が見えるはずだよ~』


こう返してきたのは、黄色のメッシュが混じった少し長めの黒髪を1つに縛り、顎に髭を生やし、黒い軍服に身を包み、眠そうな顔をした男。彼の名はエイ。

エイはオルディーネの両部隊最高司令官だ。


「…また寝てたんだろ?…まぁいい。了解。現場に急行する。」


そう返すとシンは再び走り出した。

警報があった場所につくと、そこは道の一部が欠落していた。周りの部分も崩れ、脆くなっているようだ。


「道を封鎖してくれ。」


シンは黒にそう指示を出すと黒が2つに別れ、バリケードを作る。

通常、道が脆くなったり崩れたりすることはまずありえない。これは人為的な力が働いたものだ。

だが、白と黒にこんな力はなく、動機もない。

とすると考えられるのは…


「侵入者だな…」


そう呟くと、シンは再びインカムに向かって話し始めた。


「エイ。ここ最近Bー13地区で起きている道の欠落と同じものだ。おそらく侵入者…人の魂が紛れ込んでいる可能性がある。ただちにBー13地区を封鎖してくれ。」


『了解』


5分後、Bー13地区は完全に封鎖され、魂の捜索が始まった。


『シン~、魂の反応があったよ~。その場所から30m離れたところ~。道も欠落してるみたいだからよろしく~。』


「了解。すぐに確保へ向かう。」


エイが言った場所に黒を連れて向かうと、道の1部が欠落しており、その上を魂がふわふわと漂っている。

黒はシンの考えを感じ取り、魂を囲い、追い詰める。

シンは鎖と魂の大きさと同じくらいのカプセルを取り出し、鎖で魂を拘束すると、カプセルに入れた。


「エイ。魂の捕獲完了。このまま道の復元をした後Bー13地区の封鎖を解除する。」


『はいよ~』


シンはインカムで報告した後、すぐに欠落した道へ近づいた。


「崩壊部分を復元。」


そう言って欠落部分をなぞるように手を滑らせた。するとだんだんと道ができて来て元の道に戻った。もう脆くはなっていないため欠落することはないだろう。

他の箇所も復元した後、Bー13地区の封鎖を解除した。


「Bー13地区異常なし。これより本部へ戻る。…エイ?…エイ!!聞いてるか!?」


インカムでエイに語りかけると、案の定、少ししたら眠そうな声が返ってきた。


『…ふぁあ…な~に~?終わった~?』


「エイは帰ったらお説教。」


そう言うとシンは白の姿になり、立派な翼を大きく広げ、目にも留まらぬ速さで飛んで行った。


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