03.フェリチータ
カンナーレは深いため息をついたあと、ジュネーロの後を追うように急いで部屋から出て行った。
向かう先はフェリチータ。
長い長い廊下を抜け、白い大きな扉を開くと、その部屋の中央に煌びやかな装飾が施された大きな扉がある。
その扉がフェリチータへと行くことができる幸福の扉だ。その扉の前で白が2人警備していた。
「お疲れ様。今から魂の逢瀬を取り仕切ることになったの。ミナコさんを連れて狭間に行くからよろしくね。」
カンナーレがそう声をかけると、2人は敬礼をし、扉を開けてくれた。その扉を通るとフェリチータだ。
フェリチータは魂の休息の地。生を受けた者の世での疲れを癒し、至福の時を過ごす。
フェリチータに行く者は皆生まれ変わることができる。生まれ変わりはそれぞれが望む時に生まれ変わることができる。
カンナーレはフェリチータにおいて絶大な人気を誇っている。
フェリチータはとても美しい場所だ。草花は生い茂り、空気は澄み、雲ひとつない青空、暖かな日差しが差し込み、人々の笑い声が響き、動物たちは野原を駆ける。のどかで平和。そしてその人の望むものが手に入る。
カンナーレは迷うことなく草原を抜け、森を通り、川を渡り、ある花園のところへ来た。
そこにタケムラ ミナコはいた。花に水をやり、笑いかけている彼女のもとにカンナーレは近寄った。
「ミナコさん。」
そう声をかけると、タケムラ ミナコは目を丸くした。
「カ、カンナ様!?」
「魂の逢瀬の許可が降りましたよ。ヨシヒトさんと会うことが出来ます。一緒に行きましょう。」
その言葉を聞くとタケムラ ミナコは涙を流し喜んだ。
「…!!ありがとうございます…カンナ様!!」
カンナーレはタケムラ ミナコの手を引き、幸福の扉のところまで戻った。
「どうやって会うことができるのでしょうか…?」
「この幸福の扉からフェリチータとアスチータの狭間に行くことができます。見ててくださいね。」
カンナーレはそう言ってウィンクすると、左手を扉に、右手を自分の胸に当てて目を閉じた。
「ティースト03適用」
たちまち彼女の右手が光り、その光りが左手へ、そして扉へと流れて行く。
「我、魂の逢瀬を取り仕切る者。
魂の流れを途切れることなく循環させるために、魂の悲願を叶えるために、フェリチータとアスチータの狭間へ。
フェリチータ最高総轄官長の名の下に。」
ガチャリという音がしてゆっくりと扉が開いた。
「さぁ、行きましょう。魂の逢瀬ですよ。」
カンナーレはタケムラ ミナコの手を引き、扉の向こう側へと消えて行った。