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02.アロモニア

フェリチータとアスチータを司るアロモニアの話です。



緊張感が漂う広い部屋の中に、微妙な距離を保つ2人が椅子に座り、向かい合っていた。


「カンナーレ。フェリチータの状況報告を。」


長い黒髪にピンクのメッシュが混じった髪をポニーテールでまとめ、黒い燕尾服を身にまとい、鋭い眼差しをした美しい女が苛立ったように言った。


彼女の名はジュネーロ。


「…状況報告…ねぇ?…問題ありませんよ?」


カンナーレと呼ばれた女は淡いピンク色の長い髪に、淡いピンク色の煌びやかなドレスを身にまとい、ニコニコとした笑顔を見せる可愛らしい女だ。

ジュネーロはアスチータを司る最高総轄官長。

カンナーレはフェリチータを司る最高総轄官長。


この2人がトップの機関、アロモニアはアスチータとフェリチータの均衡を保つ機関である。


「…今はフェリチータとアスチータのバランスを保つ上で最重要の会議中です。真面目に答えなさい。

先日タケムラ ミナコがそちらに行ったはずだ。

彼女と、その他の者の様子は?」


カンナーレの答えに対し、よりいっそう苛立ちを覚えたかのようにジュネーロが言う。


「…はーい。ミナコさんは、夫であるヨシヒトさんがアスチータへ堕ちたことを知り、とてもショックを受けています。

私のところへ毎日来て、どうにかして会うことはできないかと言っています。

ヨシヒトさん次第ですが、フェリチータとしてはティースト03を適用したいです。

その他の者に特に異常は見られません。魂の休息及び生まれ変わりの準備に励んでいます。」



ティースト03とは魂の逢瀬のこと。


フェリチータにいる者、アスチータにいる者、双方が望み、またアスチータにいる者に魂の救済がある場合、つまり深い反省があり生まれ変わりの権利を取り戻せる者は一度だけ2つの世界の狭間にて会うことができるというものである。



カンナーレの言葉を聞き、ジュネーロは少し考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた。


「アスチータの様子ですが。暴動等は特にありません。ほとんどが反省し、懺悔しています。


タケムラ ヨシヒトについてですが…彼は反省のはの字もないということでアスチータへ堕ちました。


ですが、今はもう深く反省し自らの行いをとても悔いています。

この傾向なら生まれ変わりの権利を取り戻せるでしょう。ティースト03を適用することを許可します。

タケムラ ミナコの生まれ変わりの日程はいつですか?」


カンナが手元にある分厚い資料をめくる。


「ミナコさんの生まれ変わりの日程は…本人の希望によると、魂の逢瀬終了後であればいつでもいいとのことですので、2週間後を予定しています。


準備期間に1週間必要ですので魂の逢瀬はできる限り早い方がいいかと思います。」



その言葉を聞き、ジュネーロが立ち上がる。



「了解した。それでは今から1時間後、アスチータとフェリチータの狭間にて魂の逢瀬を開始する。」


そう言い残し、ジュネーロは部屋から出て行った。




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