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01.アニマ・ジャッジメント

死者の裁判を行う機関、アニマ・ジャッジメントの裁判の話です。



「プルーブス【裁きを受ける者】は前へ。」


虚ろな目をし、手首を拘束された中年の男が証言台へと進む。


証言台の正面には裁判長の席が2つあり、そのサイドに2つずつそれぞれ席があった。

それらの席に座るのは白の裁判長、白の裁判官、黒の裁判長、黒の裁判官たちだ。

白のローブを羽織り、白髪にワインレッドの髪が混ざったオールバックで、ワインレッドのネクタイを締め、片眼鏡をつけた老紳士が重々しく口を開いた。

彼の名はゼン。白の裁判長だ。



「プルーブスの名は、タケムラ ヨシヒト 。ショウ。ミツ。人生の書を読み上げよ。」


ショウと呼ばれた男は白の裁判官で、白のローブを羽織り、緑がかった白い髪をしていて、左目の下には涙ボクロがあり、緑のネクタイを締め、その手には分厚い黒の書類を抱えていた。

ショウが口を開いた。


「タケムラの黒の人生の書。

彼は妻が入院していた病院の医者を1名、看護師を1名殺害。そしてその場で自殺。それ以外の犯罪経歴はありません。」


ミツと呼ばれた女は黒の裁判官で、黒のローブを羽織り、黒い髪に紫のメッシュが混ざり、片目が隠れていて、紫のネクタイを締め、その手には分厚い白の書類を抱えていた。

ミツが口を開いた。


「タケムラの白の人生の書。

彼の妻は認知症と癌で入院していた。その病院では認知症なのをいいことに殺された医者や看護師を中心に目に余るような酷い扱いを受け亡くなった。

その現場を目撃したタケムラが激怒し、2人を殺害。

自らの行いを悔いた彼は後追い自殺をした。」


再びゼンが口を開いた。


「リツ、リョウ、それぞれの法の該当部分を読み上げよ。」


リツと呼ばれた女は白の裁判官で、白のローブを羽織り、ウェーブがかり少し紫が混じった白い髪、白い眼鏡をかけ、薄紫のネクタイを締め、その手には黒く分厚い本を抱えていた。

リツが口を開いた。


「アスチータに行く条件。殺人を犯した者はアスチータへと連れて行かねばならない。タケムラの罪の重さは018。

タケムラは2人も殺していますからアスチータへの連行条件は満たしていますね~」


場にそぐわない、おっとりとした口調でいう。


リョウと呼ばれた男は黒の裁判官で、黒のローブを羽織り、黒い髪に緑のメッシュが混ざり、右耳にピアスをつけ、緑のネクタイを締め、その手には白く分厚い本を抱えていた。

リョウが口を開いた。


「フェリチータに行く条件。犯罪者はフェリチータに行くことはできない。

しかし例外として本人の反省、及び後悔の度合いによっては行くことが許される場合もある。

タケムラが2人を殺した理由が理由ですから、本人の反省及び後悔の度合いを見極めるべきでは。」


ゼンの隣に座っていた、黒のローブを羽織り、黒い髪に赤のメッシュが混ざった髪を1つに縛り、片眼鏡をかけ、赤いネクタイを締めた男が口を開いた。

彼の名はカイ。黒の裁判長だ。


「タケムラ。俺が直々にお前に問う。

自分の罪の重さを自覚し、深い反省及び後悔はあるか?」


タケムラが俯いたまま、答えた。


「…はい。自分の行いをとても悔いています。とても愚かで罪深いことをいたしました…」


タケムラの言葉を聞き、リツが眼鏡を外しタケムラを見つめる。


「リツ…見えましたか?」


ゼンがリツに問いかける。


「はーい。バッチリ見えました~!

反省のはの字もないですね~?

"あんな奴ら死んで当然だ。"だそうですよ~?」


リツの言葉を聞き、タケムラが顔を上げ、睨みつける。

「ふむ…この世に死んで当然の人間などいない。そのことをアスチータで学び、悔い改めよ。」

「俺もじいちゃんと同意見だ。

自分の罪の重さもわからないやつは悪魔と同じだ。

アスチータに行け。…反対意見は?」


裁判官たちも2人の裁判長の意見と同じだというように頷く。

「全員一致でプルーブス【タケムラ ヨシヒト】のアスチータ行きを決定する。」


ゼンがそういうと、カイが黒の木槌で机を叩いた。

するとタケムラの前に黒い扉が現れた。

「タケムラ。その扉はアスチータへと繋がっている。すぐにアスチータへと行け。」




「…裁判長…私の…妻はフェリチータへと行ったのでしょうか…」



タケムラが必死な顔で尋ねる。


「ええ、彼女はフェリチータで幸せに過ごしていますよ。」

ゼンがそう言い、穏やかに微笑んだ。

その言葉を聞き、タケムラは涙を流し、

「…よか…った…ありがとう裁判長…」

そう行って扉の向こうへと消えて行った。


次の話はフェリチータとアスチータを司る機関、アロモニアの話です。

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