09.猶予
深夜。オルディーネ本部のアルベロ・サクロがある部屋に人影があった。
その人物はアルベロ・サクロに近づき、口を開いた。
「あなたは…何者ですか…?」
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俺の存在を感じとっている者が俺に話しかけてきた。
「あなたは…何者ですか…?」
俺が何者か…俺はまだ何者でもない。俺が生まれるまでは俺は単なる魂の1つに過ぎない。
しかし彼が聞きたいのはそういうことではないのだろう。
彼はさらに問いかけてきた。
「アルベロ・サクロの中にとてつもない霊力を宿した者がいるのは感じとっています…
この声もきっと聞くことができていますよね?
あなたが生まれてくるのはそう遠くない…違いますか?」
そうだ。俺はもうすぐ生まれる。そう遠くない未来の話だ。だがまだ近くない。
奴が動き始める気配がしている。だがまだだ。まだ猶予はある。
「あなたが生まれたらこの世界は大きく変わるのでしょう…
僕は…このことを人に言う勇気がない…なぜなら確証がないからです。
ですが、あなたの声を聞くことができる者がいます。次はその人をここに連れて来ます。
それからでも遅くは…ないですよね…」
そう言うと彼は去っていった。
遅くはない。本当にそうだろうか?猶予はある。と言っても俺が生まれてからでは遅いのだ。
奴はすでに策を講じている。そして4つの球も手にしている。
あぁ…俺にできることは今はまだない。
彼はどれだけ早く動いてくれるだろうか。
上の者達がどれだけ早く気づいてくれるだろうか。
彼らは強力だ。彼らが気づき、結束すれば、奴を足止めすることができるかもしれない。
…………それも厄災が真の力を発揮するまでの話だが。




