7.見た目が…
前回に続き、会話文です。
よろしくお願いします。
「うーん?シェリー、話していなかったのかい?」
「あら?私は、アヴァンがお話しになっているとばかり…」
「父上、私やオリヴィアは、お祖父様達にお会いしに、何回か行った覚えはありますが、イレットが産まれてからは行っていないですよ。しかも、私達は仕事で王城に行きますが、イレットは行けないですから…」
そうお父様達に言ったお兄様は、私を見て、説明してくださいました。
「イレット、私達のお祖父様は、先代国王の弟であり、先代補佐官だったお方だよ。今も王宮にある、王族達が住むエリアにいらっしゃる。先代国王と共に、ご意見番として、会議に出たりしているから、私達は会う機会があったから……すっかり、イレットの事を忘れていたよ。」
と、とても困った顔をしたお兄様を見ていたお母様も、同じように困った顔をして、手を頬に当てながらいいました。
「私の方も、国王妃のお茶会に出席する際、お母様も参加なされるものだから、わざわざ会いに行く事もしなかったわね…。」
それを聞いた私も困った顔をし、言いました。
「私は、お母様からお祖父様達のお話を聞いたことがないので、亡くなられているか、疎遠なのかと、気にして聞くに聞けず…。」
言い表しにくい微妙な空気が流れてしまったこの場を、何とか変えたのは、お父様でした。
「ま、まぁ、とりあえず、その話しはあとにしよう!先に、ブレスレットの事を話さなくてはいけないからね!」
そう言ったお父様は、ブレスレットの説明を続けて、教えてくれました。
「このブレスレットには、攻撃魔法の書を読めなくする呪文、他にも様々な呪文があるが…。それよりも大事なのは、15歳の誕生日に魔力解放の儀式をやるんだけど、結界が施された場所で、解放された魔力による事故防止のため、解放者と家族以外は立ち会い不可能となっている。」
「この儀式で、魔力の属性が最終決定する。イレットは、王族の血が強いため、魔力封印の宝石の数が12個だから…。もしかすると、父上、解放後で髪や目の色が変わる可能性があるかもしませんね。」
今度はお兄様から、爆弾発言ですか?!と、私は驚いた顔をしました。
「えっ?属性が変わるんですか?!」
「いや、もともと持っている属性というのは変わらないよ。だが、魔力と共に、弱い属性も封印されてしまう時がある。たとえば、イレットのブレスレットに填まっている宝石は12個だね?そのうち6個が木属性、4個が水属性、2個が光属性だとする。光属性が封印されて、見た目は木と水の属性をしているという感じかな?」
私が身を乗り出して聞き返したのを見て、苦笑しながら、お父様は答えてくれました。
「成る程…。だから、髪や目の色が変わると、お兄様がおっしゃったのですね?」
"金と緑のオッドアイや、髪の毛がグラデーションになる"という感じ?と、私は納得し、頷きました。
「そういう事だね。まぁ、あまり3属性以上を持つ者はほとんどいない。だから、イレットも解放の時に、何も気負う必要はないからね?」
お父様は、私が髪や目の色が変わることに抵抗があると思ったようで、少し心配そうに言いました。
「ここまでは、理解できているかい?これは、余談なのだが…。100年に1度の周期で、六侯爵家の一つ闇属性のディングス家には、黒い髪と目をした全属性持ちが現れる。そして、その者は、17年前産まれた…。来年度から、イレットの先輩になる、アルフレッド ディングス様だよ。」
お兄様は、少し考え込みながら言いました。
「彼を初めてお見かけしたのは、御披露目のパーティー。彼が会場に入ってきた時、会場内は静寂に包まれ、皆、彼を見ていたよ。ディングス家の皆様は苦笑いしながら歩いているのを見たのが印象的だったね。」
「全属性持ちで、黒い髪と目ですか…。」
この世界では珍しい黒い髪と目は、前世で日本人だった私にとって普通でしたから、少し素っ気ない返答になってしまったのを聞いて、お母様は不思議そうな顔をして、聞いてきました。
「彼の魔力は強くて、惹かれる者と恐れる者達の視線が注がれていましたわ。それに、とても美男子でしたし、黒い髪がシャンデリアの光に反射していたから、若いご令嬢達がお近づきになろうと、騒いでいたわね。イレットは、あまり興味がないのかしら?」
「そうですねぇ。顔を拝見したも話をしたこともない方に、どうこうと思う事はないですわ。ただ、全属性持ちというのは、気になりましたわ。」
真面目に答えた私に、お父様は苦笑いをして言いました。
「『命短し、恋せよ乙女』と言うくらいなのだから、真面目なイレットは、少しくらい羽目をはずしていかないと、結婚相手を探すのに苦労するよ?」
ご覧いただきありがとうございました。
話だけだけど、やっとヒーロー出せました。次回は早めに、投稿したいと思います。