紅く輝く剣、放たれた奥義
赤い大樹。200年間ずっと切り倒されなかったあの樹を氷雪剣で切ることにしたユウキ。そもそも剣を振れるかも怪しいのにユウキは大丈夫なのか
「剣持ってきたよーユウキ」
「ありがとシノ」
「ユウキさ、剣振れるの?」
「分からん」
「分からないのかよ・・・そんなので大丈夫なの?」
「まあこのユウキさんに任せなさい」
「・・・ユウキなんか壊れてない?大丈夫?」
「・・・大丈夫。心配しないで。てかそんな目で俺を見ないで悲しくなるから」
まあ実際どうするか。取り敢えず剣を持つか。
「シノ」
「うん。どうぞ」
「ありがと・・・・・!!」
剣を握った瞬間何かを感じた。俺は剣をもって木の前に立った。
・・・なぜだろう・・・懐かしさを感じる。剣を握ったことなんて無いはずなのに・・・。
今なら・・・剣を振れる気がする。
俺は剣を構えた。
構えた瞬間、剣が赤く、いや紅く光った。血よりも深い紅に。
「ぜあああ!!」
俺は紅く光り続けた剣でその木を斬った。
紅く光った剣は、赤い大樹の幹を切り裂いた。
「すごい・・・今の奥義だよね。白亜の塔の騎士とか衛士とかが使う・・・。ユウキ凄いよ。どうやってやったの?」
「分からない。何故か出来た」
俺は持っている剣を見た。紅く光っていた剣はもとの色に戻っていた。
なぜ俺は剣を扱えたんだ。
そう考えてた時
「ユウキ!!前!!前!!」
「え?・・・うお!!」
俺は前を見た瞬間、目の前に迫っていた赤い物体をギリギリで避けた。 何かと思ってみたら・・・
「・・・マジか・・・」
見た先にあったのは、切り倒されていた大樹だった。200年間切り倒されなかった大樹が今切り倒されたのだ。氷雪剣の1振りで。
「嘘でしょ・・・」
シノはただ唖然としていた。
そりゃそうだよな。長い間切り倒されなかった大樹が剣の1振りで目の前で切り倒されたのだから。
「ん?」
「シノ?どうした?」
「あれ何だろ?」
「あれ?」
シノが見ていた方向を見てみた。切り倒された大樹の所に青い宝石のようなものがあった。
あれはいったい・・・
「俺ちょっと見てくるわ」
「あっちょっとー!」
俺は青い宝石に近づいてみた。宝石は青く輝いている。なんだろう・・・。なんとなく手にしてみようと思いその宝石に触れた瞬間、
「うお!!」
宝石は触れた瞬間、輝きを増した。そして輝きながら、だんだん溶けていき、俺の身体に流れ込んだ。
「うっ」
宝石が身体に流れ込んだあと、突然頭痛が起きた。
「ユ、ユウキ!?」
「あっ・・・あっ・・・」
頭に何かが流れ込んできた。
なんだこれは・・・・・・ゆ、うか、わ・・・?
・・・これって・・・まさか・・・き・・・おく・・・?
あれは・・・きおくの・・・かけら・・・?
「うっ・・・ああああああ!!」
・・・ああ・・・。
「ユ、ユウキ?大丈夫?」
「・・・・・」
「ユウキ?」
・・・思い出した。