東大会決勝、連続剣対連続剣
「決勝!!ユウキ選手対ラック選手!!」
審判がそういった時、ラックが口を開いた。
「・・・お前、さっき連続剣を使ってたな」
「!!」
・・・こいつ、俺の試合を見ていたのか。
「・・・どっちの連続剣の方が上だろうな・・・俺の方が強かったとしても、お前の方が強かったとしても、どっちにしろすぐ決まるだろうな」
・・・・・こいついきなり連続剣を使う気だ。それもさっきのより強力な。
今のセリフから考えたら、この勝負は・・・・・
連撃数が多い方が勝つ。
・・・・・アレを今の俺に出来るのか?
やるしかない。
出来たとしてあいつに勝てるのか?
やるしかない。
あいつの方が上だったらどうする?
そしたら負けてもしょうがないが、今出来ることをやるべき。だから、やるしかない。
いくつか自問自答していた結果。
・・・・・ダメもとでもやってやる。
「双方、構え!!」
両選手が剣を構える。
「始め!!」
開始の合図が出された瞬間、両者の剣が輝く。
ラックの剣は、薄い黄色に。
ユウキの剣は、薄い緑に。
そして、
ラックとユウキは同タイミングで地面を蹴った。
ユウキ・・・大丈夫かな?
そう思いながらシノはユウキの試合を見ていた。
シノは、準決勝のラックの試合を見ていた。ラックの連続剣を。
あの人も連続剣を使っていた。連続剣は、二連撃以上の奴もあった。ユウキが見せてくれた連続剣は、三連撃が最高だった。・・・もし相手の連続剣の連撃数がそれ以上だったら・・・。
そしてシノは、ユウキの構えを見て気づく。
あの構え・・・見たことない。
黄と緑がぶつかり、火花を散らす。
まず一撃目。
そして二撃目、ラックの右斜め上段斬りを下段からうち、受け止める。
三撃目、ラックは水平に斬り掛かる。それを、また受け止める。
「・・・・・終わりだ」
ラックは勝利を確信したように笑みを浮かべ、上段斬りを繰り出した。
四撃目。
「・・・・まだ終わりじゃねーよ」
ユウキの剣はまだ輝きを失っていない。
ラックの上段斬りを今度は受け流した。
「何!?」
ラックの剣は光を失った。四連撃奥義。
しかしユウキの剣はまだ輝いている。
「・・・・・そしてこれが、本当の終わりだ!!」
そう言ってユウキは下段からの斜め切りを繰り出した。
シノに見せていた三連撃、ラックがさっき使用した四連撃を超えるとっておきの中のとっておきと言える。
五連撃奥義。
ユウキの五撃目はラックの胴体に命中し、吹っ飛ばした。
「・・・・・五連撃奥義・・・・・俺より上に行くのか・・・・・俺の負けだよ。優勝おめでとう」
「勝者!!ユウキ選手!!よって東大会、優勝はユウキ選手!!」