「逆臣」
中世ヨーロッパの
とある王家。
国王陛下が后を
娶る事に相成った。
后を娶るにあたり、
国王は重臣達から
猛烈に強固な
反対を受けた。
その后候補が
身分の低い家柄で
しかも奔放で
男にだらしないとか、
良くない噂が
有ったからである。
「…陛下、かの娘は
見栄えこそ美しいですが
家柄の低い男爵家、
しかも今の当主は
商人あがりですぞ。」
「没落貴族の元へ、
父親が財力で婿入り、」
「しかも娘の母親は愛人、
つまりあの娘に男爵家の
血は入っておりません。」
「構わん!!!
余はあの娘を后にする!!
伯爵の館での仮装夜会で
余は、余とあの娘は…、
この出逢いは運命だ!!」
「出会い厨かよ、
あ、陛下、一国の后とも
成りますと、それなりの
気品と血筋が重要です。」
「気品だと?!
あの娘の美しさは!!
そちも見たであろう、
しなやかな体つき、
きめ細かな白い肌、
なんと言っても
仮面から溢れ出る色気、
…互いに手を取り合い、
再会を約したのだ!!」
「これだから童貞は…、
あ、まさか、ご身分を…」
「言うた、言うたわ。
国王として、
そなたを后に迎えると!」
「あちゃー」
重臣達は会議を行う…。
「先ずは、
あの娘の方から辞退、
と云う形を取りたい。」
「伯爵殿、…説得、
と云う事か?」
「左様。
…侯爵殿にお頼みしたい、
お願い出来ますか?」
「うむ、男爵家とは
先代からの
縁が多少は有るが、」
「早い方が良い、」
「では、今夜にでも…。」
「うぶな陛下は
あの娘にたぶらかされて
いるのだ、」
「しかしあの娘にしたって后になりたいと云う
打算が有るはず、
説得に応じるか…。」
「なんとか陛下には、
脳ミソお花畑から
目を覚まして頂きたい。」
…翌日、再び重臣会議。
「侯爵殿、
男爵の娘の件は、
首尾良く?」
「いや、
実に美しい娘であった、
まれに見る美貌、
わしの手を取ってな、
…なんとかお力添えを…
たまらんわ、涙ぐんでの、
あのしなやかな体つき、」
「ダメだ、こりゃ。
籠絡されて来たわ、
ミイラ取りがミイラ。」
「ならば
伯爵が行けばよい、
…私は、侯爵家としては、
反対しない事にした。」
「ふん、左様ですか、
では今夜にでも私が…。」
…会議は紛糾した。
そして
…再び翌日の重臣会議。
「伯爵殿、昨夜の…、」
「男爵家の娘、
あれはよい。美しい娘だ、気立ても良いし、
なんと言っても、
…あの、しなやかな、、」
「ダメだ、こりゃ」
…こうして何日間かの
重臣会議の間に
反対者は居なくなり…、
晴れて国王陛下は
…后を娶った。
何故、急に話が進んだか、
あ、そこのお嬢さん、
貴女は貴族の娘さん、
…ですよね?
少しお話いいでしょうか?
「あぁ、男爵家の?
あの方、ああ見えて
すごいのよ?大方、
重臣のお歴々も
彼女の誘惑に
負けたんじゃなくって?
あら、わたくしったら!
嫌だわ、
おほほほほほ!」
(音声は変えています。)
…その頃、隣国の情勢が
不穏になりだした。
「陛下、東のブラキア公国
からの出兵要請です、
タタール人から襲撃を受けているようですぞ!」
「陛下、北の
モスクワ大公国からも!
タタール人は侵略を繰返し新たな汗国を打ち立てる
勢いの様です!!」
「は?余は忙しい。
隣のフランク王国の后が
人形を贈ってくれたんだ、可愛いだろ?
美少女剣士だぜ?
フィギアっての?
これを着替えさせて
后と遊ぶんだ!
着替えさせたら、
絵師に描かせて
画像を日記にアップして、
アバターって奴さ…、
…あー、コメント
どんだけ付くかなー!
イイネされたいー、
楽しみー!!后ー!后〜!!」
「ダメだ、…取り敢えず、
陛下は病気と返事だな。」
…しかし、情勢は厳しく、
もはや…、
猶予は、ならなくなった。
「陛下、もはや、
時が有りません、今です、
今でしょ、
派兵しなければ、
我が国は国際的に
信用を失います、、
万が一、隣国が滅びたら、
次の戦地は…、
…我が国ですぞ!」
「陛下が、
自ら御出陣なされば
士気も上がります!」
「えー、だるーい、
行きたくなーい、
后と離れたくなーい!!」
「陛下…。」
「だって后さ、
余がいない時に
浮気←しそうじゃん?
知ってんだよ??
ま、別にいいけど??」
「ギクッ、
あ、いえ、ならば陛下、
下々の者が使う物で、
良い物が有ります…、
貞操帯と云う物ですが。」
「えー?何それー?」
「兵役に就く夫が
自身の出兵中に、妻が
浮気しない様に履かせる
言うなれば鍵付きの
下着です、、、」
「ロック・パンティー?」
「まあ早い話が。」
「おしっことか、
その、、大、とかは、
どうするのだ?」
「私も詳しくないのですが
妻は大丈夫だったと、」
「え?」
「…あ、いえ…。」
「?ふーむ…、!
…早速取り寄せろ。」
「ははー。」
翌日、陛下の住まう宮殿に
貞操帯なるものが。
「これか。なんか、
…陳腐だな…。」
「…はぁ、
目的が目的ですので。」
「后に相応しく、
最高級の毛皮を使い、
宝石を散りばめよ!」
「かしこ参りました。」
「待てよ、
…更に細工を施せ…。」
「??どの様な??」
「その場所に不法に
侵入を試みた者のモノを
スパッと断ち切る様にだ!
スパッと断ち切る様にだ!
重要だ、2回言っとく。」
「ひえー、
わ、分かりまちたー!!」
重臣達は金物細工師に
出来上がりを急がせた。
…その出来栄えが
国家の安寧を
左右しかねない。
さて、品物は出来上がる。
…色々な揉め事は
長くなるので省く…、
いよいよ国王自らの出陣。
「王妃付き近衛連隊は
国内に留まり、
后と宮殿守護にあたれ。」
「はっ!」
騎兵隊と歩兵隊が
長い列を作る。
兵糧と武具を運ぶ荷車。
…行軍中の馬上にて…、
「…陛下、近衛兵は
イケメン揃い、
何ゆえに?
…ご心配では、
ございませんか。」
「何を申す。王妃付きの
近衛兵まで連れて行く程、
でもあるまい。第一、
后が反対したのだ。」
「成る程、やはり。」
「何がじゃ。
あの装置を
后に装着したのだ、
何も心配は要らん。」
…援軍として、
慣れない土地での、
異民族との戦いは
想像を絶するものだった。
しかし連合軍は
タタール勢力を、
南からブラキア公国と
我が国王の軍隊が、
北からはモスクワ大公国が南北より挟撃し、
辛うじて勝利を修めた。
「陛下、
おめでとうございます、
これで
王妃の元へ帰れますな!」
「うむ、その事だが、
伯爵よ、、、
近衛連隊は、今?」
「第4連隊まで、
ございます。」
「国へ帰ったらば、
連隊長を呼び出すのだ、
式典の前にだ。」
「ははっ。」
…元来、王妃付きの
近衛連隊と云うものは、
言うなれば
王妃のお飾り人形だ。
名門貴族の子弟の中から
文武両道に秀でた
イケメンが
その任務に就く。
…時代も国も違うが…、
「フランスは
ルイ16世の治下、王妃
マリー・アントワネット
付きの近衛連隊長の
オスカル・フランソワ・
ド・ジャルジェと云う
人物は、その最たる者、
である。」
(ワキペニアより一部抜粋)
…国へ戻った国王は
帰還の式典も、
王妃の挨拶も受けず、
…重臣達を集めて
大会議室に…
「王妃付き近衛連隊」の
第1連隊から第4連隊、
…4人の連隊長を
呼び出した。
日頃、、、
王妃の寵愛を受けている
イケメン揃いである。
「その方らを
呼び出したのは
他でもない。
身に覚えがあろう。」
…4人の連隊長の顔は
蒼白となり…。
「これより詮議を
執り行う。伯爵、やれ。」
「はっ!では、
第1連隊長!前へ!!」
「はっ!」
…恐怖と後悔、、、、、
「スボンを下げろ!」
「あっ!!!!」
第1連隊長の逸物は、
先っちょが…、
…頭が、無かった…。
「陛下!」
「うむ、死刑。
断頭台に送れ。」
第1連隊長は
逸物の頭だけでなく、
自身の頭も失う事に。
「次、第2連隊長前へ!」
「はっ!」
結果は…、
第2連隊長の逸物は、
根元から無かった。
「ちくしょー、貴様!!、
根元までズッポリか!」
「陛下、餅ついて、
いや落ち着いて下さい!」
「死刑!国家反逆罪!!」
「次!第3連隊長!!」
「はっ!」
…第3連隊長の
逸物は、なんと、
根元どころか、
たまたまも無かった。
「貴様!
后とどんなプレイを?!
いつもか?!
いつもたまたままでか?」
「たまたまです!」
「ええい、うるさい!
死刑、ギロチン!!」
「陛下、餅ついて下さい、
落ち着いて下さい!!」
「何を?!
これが
落ち着いて居られるか!!
居ないのか、忠臣は?
皆、皆、
后の誘惑に屈したのか!」
「陛下、後一人、
残っております、
あの者の忠義に期待を
掛けましょう…。」
さて、第4連隊長の
詮議が始まる…。
「ズボンを下ろすのだ。」
静まり返る大会議室…、
皆、固唾を飲んで、
国王陛下と、
重臣達の視線が、、、、
第4連隊長の
股間に集中する…。
「…おおー…。」
どよめきが起こり、
安堵の溜め息が
沸き起こる…。
「陛下…、」
「…うむ、、
余は満足じゃ。
忠義に厚い者がいた様だ。…その方、
名を何と申す?
何なりと褒美を取らす、
何か希望は無いか?」
「……………………。」
「…これ、陛下が
御下問で在るぞ。」
「……………………。」
「その方、直答を許す、
何なりと申してみよ。」
「……………………。」
「これ、あまりの遠慮は
かえって御無礼である、
先ずは名を申さんか!」
しかし、
第4連隊長は、、、、、、
「これ!陛下に御返答を!」
…不審に思った侯爵が、
連隊長に近付いた、、、
と、連隊長が突然!!!
…逃走!!!
「…は?!…な、なんだ?!
と、取り押さえろ!!」
「わ、どーした?!」
人払いしていた為、
護衛の兵士が少ない!!!
何とか重臣達と審議官で
取り押さえる!!!
「貴様!!」
「あう!あう、あうー!」
「…へ、陛下!!!
こやつ、舌が根元から
有りません!!!」
「…死刑。」