覚醒
人体実験をするつもりか。
でも何もしなかったら無条件に殺される。
俺には選択肢がなかった。
錠剤の薬を4個ほど一気に飲まされた。
20分程たったが、何も感じない。俺の肉体、精神状態はボロボロだった。
もうこのまま死ぬかもしれない。そんな事を思い始めた。
成功だ。
いきなり鬼束が自分の腕時計を見ながら叫んだ。
そして黒服に縄をはずすように答えた。
1週間。1週間で200万稼いで来い。
その間、朝、昼、晩、その薬を飲み続けろ。
俺はなぜ解放されたのか、そして何が成功したのかよくわからないいまま外に薬を持ったまま出された。今まで見ていたのは夢だろうか?
そんな事を思いながらふらふら傷ついた体で家に帰った。
途中、すれ違う人たちが、絶句した表情で俺の事を見ていた。
だが誰も俺を助けようとはしなかった。
腐ってやがる。この世界。
自分が腐ったような人間と自負しながらも、周りの人たち、世界に怒りを覚えた。
それからなんとか家に辿り着き、薬は飲み続けたものの、怪我のダメージが酷く3日間何もすることはできなかった。
3日目の朝、洗っていない顔を洗おうと、洗面所に向かって自分を鏡で見た。
傷が治ってる・・・
あれだけ強打され、ボコボコにされた自分の顔の傷が完治している。
不摂生の生活をしてニキビだらけだった肌も心なしか綺麗になっている。
おかしいな。確かに傷が酷かったんだけどな。こんなことありえるのか。
まあいいや。そうだ風呂も3日間入ってないから、シャワーでもあびるか。
服を脱いだらそこにはもっとすごい光景があった。
腹筋は6っつにわれて、腕も血管が見えるくらい筋肉マッチョになっている。
なんだこれ!?
小学校からゲーム、アニメ、アイドル。ダークサイドに落ちた俺は、スポーツはおろか、部活にも所属していなかった。運動会も親戚のおじさんが死んだとか、ペットのタマが死んだとか、適当な事を言ってサボリ続けた。
身長163cmで体重は86kgと完全に糞デブだった俺がいきなり体がしまった
マッチョに変身してしまった。
どうなってるんだコレ.....
直樹の覚醒が始まった。