表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/19

第一章 第三話 父との再会、愛を感じて

ほどなくして、〈謁見の間〉の扉の前に来た、アリシアとイリア、サナリエ。

「私は、レクソンの第四王女です。国王陛下にお目にかかりたいのです」

近くにいた門番に声を掛けると、門番の男性は騎士礼をし、〈謁見の間〉の扉を開けた。

露わになった〈謁見の間〉の奥の玉座には、一人の男が座っていた。アリシアには、あの男がこの国の王であり、自分の父だと、直感的に解った。

けれど、今まで見たこともなく、会ったこともない男に、歩み寄れるはずがなく。

アリシアは一歩踏み出したところで、固まってしまった。

「「王女殿下」」

その時、イリアとサナリエはアリシアを呼び、歩みを進めるように促した。

その声は、暖かな、いつも自分を見守ってくれた声、導いてくれた声。

二人の声に導かれるままに、アリシアは歩みを進めた。〈謁見の間〉の中央にアリシアがつくと、〈謁見の間〉の扉が音を立てて閉まった。

そして〈謁見の間〉の空間には、アリシアと、レクソン国王レイナード・ウル・ド・レクソティアンの二人だけになった。

そしてアリシアは、深く頭を垂れ、一礼した。

「御挨拶申し上げます、レクソン国王陛下。母ティターニア、父レイナードの間に生まれし娘、レクソンの第四王女、アリシア・エル・リーア・レクソティアンに御座います」

そう挨拶すると、レイナードから苦笑の声が聞こえ、アリシアは頭を上げた。

「余を、陛下というか」

低い声は、イリアとサナリエに聞いた通りだと思った。

「たとえ父といえど、今まで会わず、私は離宮におりましたので」

「そうか。もう少し、そちを早く離宮から出すべきであったな」

悲しみを含んだその声は、この国を統べる国王ではなく、父としての言葉だった。

「そちには、今夜の晩餐のためのドレスを用意してある。それを着なさい」

「え………」

「前持って、そちに合うドレスを用意させておった。着てもらいたくてな」

「陛下………」

レイナードはまた苦笑した。そして玉座から下り、アリシアの目の前まで歩み、「これからは、父と呼べ」、と言って、彼は〈謁見の間〉を後にした。

その後ろ姿を見て、アリシアは、やっぱりレイナードが自分の父だと、改めて確信したのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ