表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/19

第一章 第六話 国王の決定は

「余の末娘で、この国の末姫、アリシア・エル・リーア・レクソティアンだ」

レクソン国王レイナードの言葉と共に、大広間を歩むアリシア。

けれど、晩餐に呼ばれた貴族達の目は、アリシアの肩に集中していた。

「あ、あれは何ですの?」

「この世界に住む生き物でしょうか?」

「でも、あんなドラゴンは見たことないぞ?」

この国でもドラゴンは存在しても、異空間で暮らしているためにお目にかかれることは数少ないが、何十体かはこの世界を気に入り過ごしているが、全てが下級ドラゴン。

イグドラシルのような神竜に出会うことなどまず無い。

そして、アリシアは大広間の中央に着くと、反転し、ドレスの裾を持ち上げ、優雅に一礼した。

「お初にお目にかかります、レクソンを支える貴族や重臣たちよ。私の名は、アリシア・エル・リーア・レクソティアンと申します。この国の第四王女であり、この国唯一の王宮魔導士の役目を果たす者にございます」

王宮魔導士。その言葉を聞いた途端、貴族達や重臣達が騒いだ。

「そして、皆様が気にしているこの子は、イグドラシル。私と盟約を結びしドラゴンであり、世界創世神話に登場した、光の角持つ竜です」

この言葉には、誰しもが驚いた。

なんせ、その竜は空想とされ、ただ神としてしか崇めたことがなかった国の者にとっては、見ることなど叶うはずがないからだ。

「リーア」

アリシアを第二の幼名で呼んだのはレイナード。

アリシアは振り向き、玉座に座る自身の父を微笑みながら見上げた。そしてその隣には、現王妃が座っている。微笑んでいるが、その瞳は怒りでいっぱいだ。

「なんでしょうか」

「余は、そちにこの日をもって、王太子妃の座を与えたい」

もう、この場は驚きに満ちていた。

なのにそれを、それ以上にしてしまったレイナードの発言。それに、そう簡単にはそれが決められないということは、彼自身が一番よく解っているはず。

そして、その言葉に一番反応する人達のことも、解っているはずなのに。

「国王陛下!」

「父君様!」

反応したのは、レクソン王妃リスティアルとクレアシアだ。

「なんだ、王妃」

「それは、第一王女に与えられるべき座です!」

「だが、決定権は余にある」

「そうですよ!父君様、どうか御考え直しを!」

悲痛な声で叫んだのは、クレアシア。それも、アリシアの目の前で。

「それはせぬ」

クレアシアの言葉を間髪入れずに否定したのはレイナードだった。その声音は、誰もが平伏したくなる声だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ