表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/19

第一章 第五話 かけがえのない存在として

それに対し、セナはアリシアの規模が大きすぎる発言に、驚きを隠せないでいた。

世界創世神話に登場するドラゴン。それは、この世の全ての森羅万象を司る。

「そのドラゴンは、今どこに?」

セナが恐る恐る聞くと、アリシアは左肩に手をかざした。すると、そこから幼竜程度の大きさの竜が現れる。しかしその竜は、決定的に他の伝承で伝わっている竜とは違う部位があった。

それは、額から出ている、一本の角。

それこそ、世界創世神話に登場するドラゴンの特徴だった。

「この子の名前は、イグドラシル。意味は、古語で創世」

「っ!!」

驚きで、セナは声にならない悲鳴を上げた。

伝説上のドラゴンであり、この世を創世したドラゴン。驚くのも当たり前と言える。

『リーア。なぜ我を現に現した』

「別に構わないでしょう?それに、暇だったのだから」

クスクスと笑いながらイグドラシルと会話するアリシア。

「あ、あの、皇女陛下」

「何ですか?」

「その………まさかとは思いますが………イグドラシル様も、晩餐に?」

アリシアは彼女の質問に、数回瞬きする。

すると、とんだ発言をするではないか。

「そうしますよ。もう、隠せないとも思いますから」

「え?」

「貴女は、まだ信頼に値しません。もし、貴女にイグドラシルのことを言われれば、私の立場なんて、簡単に、脆く、崩れてしまうのです。貴女の発言一つで………。それなら、私から話す方が楽です。それに、イグドラシルの力を奮えば、この国を簡単に護れますから」

「し、信頼に値しないとは!?」

「そのままの意味ですよ。貴女は今日私の側付きになったばかり。なのに、信頼するとでもお思いですか?」

アリシアの言葉に、セナは絶句させられた。

そこまで信頼されてないとは思わなかったのだ。

「へぇ〜」

「っ!?」

奇襲かと思い、アリシアは身構えた。けれど、すぐにそれを解いた。

「魔女、あんた禁術に手を出してたの?」

「答える義理など、ありませんよ」

「それが、姉に対する物言いかしら?」

妖艶な声に、アリシアは寒気を覚えた。そして、イグドラシルはアリシアの肩から飛び立ち、空中に留まる。

「そのドラゴンで、私を消しかけるの?」

そして、また妖艶な声で問いかけるクレアシア。

「ま、いいわ。私は会場に入ってくるわ」

そう言って、立ち去ったクレアシア。呆然とアリシアは、その背中を見つめることしかできなかった。

「もう、入っていい頃かしら?」

その問いは、セナに向けられたもので。

「はい、大丈夫だと」

「解ったわ。………イグドラシル」

アリシアがイグドラシルを呼ぶと、彼は左肩に乗る。

「扉を」

アリシアの言葉を合図に扉が開き、廊下の一部を照らした。

「行きましょう、イグドラシル」

そう言って、アリシアは大広間へと足を踏み入れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ