旅立ち
とある国で二人が出会った。
それは二人の人生を大きく変えた。
「ねぇ私の記憶を探す手助けをしてくれない?」
そんなことを言われたのはどれだけ前だろう。
···ソナタと出会えていなかったらどれだけつまらない日常のひだまりに居ただろう。
ミーンミーンと蝉がなきたてる夏のある日、そいつと出会った。身長は150cmくらいで碧眼というのが特徴的だ。初めは、異国の者かと思ったがどうやら違うらしい。
「私はソナタ。貴方は?」
ソナタという少女は名を尋ねてきた。そこに悪意など欠片も無いことを悟り、俺は名を名乗った。
「俺は九寺浦奏介だ。ソナタとか言ったっけ?偽名か何かか?」
「嘘ではないよ。私は母も父も覚えていないけど、名前だけは自信があるんだ」
そう言う少女は何だかとても寂しそうな顔で笑った。
「親の顔がわからないって···どういう事なんだ?」
俺はそう少女に問う。
少女はまるでこの言葉を言うのが何千回目のような滑らかな口調で答えた。
「私は、記憶がないんだ。だからこの国のことしかわからないし知っている範囲もとても狭いんだよ。···ねぇ、私の記憶を探す手助けをしてくれないかな?」
なっ、えっ!?
突然の誘いに驚きつつも興味はあった。
···もう、このつまらない日常には飽きていたところだ。ちょうどいい。でも俺は慎重派なんだ。
「少し考えさせてくれないか?時間がほしいんだ」
じっくりと考えないと決まりそうもない。俺は考える時間がほしかった。
「いいよ。考えてくれるだけでも今までの人とは違うね。あっ、そうそう君は私にどんな見返りを求めるのかな?」
見返りということと今までという言葉からするに、この少女には何か大きな苦労があったのだろう。
「いいよ、俺は自分自身のためってのもあるし」
それは良かった♪いい返事お待ちしております!
といったソナタはとても嬉しそうだった。
その夜、俺は悩み、そして決めた。
「俺はこのつまらない日常に居てもダメだ。男ならドンと旅に出よう!」
···親父の言葉パクっただけだけど。
「決めたかい?私と一緒に旅に出るか、この島で今まで通り過ごすか」
なんか、まるで全て知っている用な口ぶりでソナタは聞いてきた。
「俺は行くことにしたよ。これから宜しくな!ソナタ」
「うん!宜しくね♪奏介」
この2人の辛くも楽しい旅は今、幕をあげた!
「とりあえず食べ物とか買いにいこー」
「そうだな、買いにいくか!」
これは元々短編として出そうと思ったのですけど、何か壮大になりそうなので連載にしました!
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