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****

***

 泣いてもいいですか? と聞いたところで誰かが返事をくれるはずもなく。

なんか悔しくなった私はもういっそ泣いてやろうと必死にまばたきを我慢していた。


さて、ここで泣けないのが私という人間であったりする。




 瞳孔を見開きながら明らかにトイレからとってきたであろうゴミを配る女子高生というのは、なかなかシュールな光景らしく、誰も近寄ってこない。


 そして、驚くべきことに嘲笑の笑いすら起こらない!




 もしかすると、いや、もしかしなくてもあの時のティッシュの君よりもひどい状況なんじゃあないのかという考えが脳裏をよぎったりもしたが、既に私は何かを超越している存在になりつつあったので(気分だけ)気にせず瞳孔を開きつつ、華麗に人々にティッシュを差し出してまわった。



スッ――。スッ――。

素通りする人々。



 …ちくしょう! 誰か誰か、せめて、かつて私の友達だった役二名!!!!

こっちへ来い!! 




 アイツ等せめて貰うくらいしろよ!!そんで私の机とか拭いて。

もういっそあぶらとり紙として使ってもいいから。むしろトイレで使っていいから。

量少なかったらほら、こんなにあるし!


 ていうか私がトイレ行こうかな…………………。




すでに本来の目的忘れつつある私は、誰かにこのティッシュを一枚でもいいから受け取ってもらうことだけを考えていた。


と、ここで私の瞳孔見開きトレーニング(あなたも、今日からマイナス5歳肌!)が功を成した結果、涙目になった私の瞳から一滴の涙が。



あぁ、これ―――――――役者いけるわ。

余裕のハリウッドだわ。



涙一滴でここまでのお花畑に浸れるのは、現実がすこぶる寒く、厳しく、痛いからだろう。

現実逃避、私の必殺技だ。(またの名を、現実殺し)



私は現実逃避に成功した。

そして、目の前にはティッシュの君が―――――――。


……ん?


「ティッシュの君があああああああ????」

「…は?」



現実殺し、失敗。




「何、それ。ハンカチ王子の弟?」

 いえ、あなたです。



「そいつ、鼻炎っぽいな」

何そのイメージ。ていうかあなたです。



「何で黙ってんの。ていうか何でゴミ散らしてんの」

ティッシュじゃボケぇ!!!!!!



脳内イメージでティッシュの君に頭突きをかます。


その後、私の華麗なる、体全身を使ったツッコミを神が祝福するかのように私たち二人の周りをティッシュが舞うのだ。

(いける!!!!!!!)←何が?


これでティッシュもうかばれるだろう。

最後に花となって私を飾り立てられるのだから。


さて。


私が俯きながらイメージトレーニングを終了した後、

顔を上げる。




目の前には――――――手があった。





……………………はい?




もちろんそれは、私の手―――なんかではなく私の好きな人の手。


そうなると次に取る行動は決まっている。日の目を見るくらい明らかだ。

少し動揺してしまった自分が恥ずかしいくらいだった。




それじゃあ、いただきますと内心照れながらも私はその手を握った。




「ちっげええええええよ!!!!!」

その言葉と共に私の手は乱雑に振り払われた。


チッゲエエエエエエヨ?

韓国料理? あ、いやそれはチゲか。






否、現実殺しはもうやめよう。





私は、彼に、―――――――――拒否されたのだった。





あぁ、先ほどの瞳孔見開きトレーニング(あなたも、今日からマイナス5歳肌!)がまだ続いていたのだろうか。無意識に、私は続けていたのだろうか。



私の視界は、恐ろしいほどに歪んで、彼の顔も歪んでしまって目の周りは痛いくらいに熱くなった。



そんな私の顔を見た彼は、瞳孔見開きトレーニング(あなたも、今日からマイナス5歳肌!)を一瞬してから、こう言った。



「………あぁ! もう! 貸せって!!!!」



 乱雑に私の手から彼曰くゴミ、を奪い取ると、次の瞬間。



目をぐりぐりと圧迫される。

私は、ゴミを目に―――――――――



「…うっ…っ…ご、ご…ゴミなんでしょ? …そんなものっ…! …目に…おっ…押し付けないでよ…!」



ゴミを―――――――





「……はい? お前大丈夫? そんなもん―――――――








――――――――――ティッシュに決まってんだろ」





「う、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!! 涙拭くときはハンカチ王子でしょうがあああああああティッシュは鼻水だああああああああばかああああ!!!」




私は、泣きながら何を叫んでいるのだろう。

私は、泣きながら何をこんなに喜んでいるのだろう。




「うるっせえよ! 何をそんなに喚いてんだ。あ、ほら大丈夫だ――――」

「…………へ?」

 


 そう言うと彼は私の手からもう一度ティッシュを奪い取った。そして今度は鼻に圧迫感。



「鼻水も出てきた」

「……う、ぐ」



苦しい、息が出来ない。



「ほら、」

「…………?」



「早く」

「…………?」



「汚い、」

「……うん」







「………鼻をかめ」

「……………………………。」






「「惚れたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああァァァァァァ」」



「「え?」」




私達は見事にシンクロナイズドティッシングなるものを成功させたのだった。














あなたも、今日からマイナス5歳肌!無事、完結しました!!!!!!!!

 読んでくださってありがとうございました!!!!





 …あれ? そんな題名でしたっけ?

 えぇ、そんな名前でした(真顔)



(※違います

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