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「ねえ、おかしくない? ねえ…! ちょっと!」
誰か、誰かこの暴走した二体のロボットを止めてくれ…!
あれから即行動を起こした私達は、トイレで藻掻きあっていた。
――――そう。この言葉。
「ティッシュって、どこにあるの?」
この騒ぎは、私のこの考えなしに発した言葉から始まったのである。
「これを、いい感じの長さにちぎって配る!」
「さぁ、やるわよ!」
「…う、う~ん?」
い、いい感じの長さ? ちょっと…!
何、この温度差。私は氷点下二度ぐらいにまで冷めているというのに、この二人。目が燃えとる。
「…まさか、本当に配るの?」
そう言って、乱雑に私の手に載せられていく三十センチばかりに切り取られたトイレットペーパーを見た。
―――ティッシュ違う!
どう見たってゴミだった。目をこらして頑張ったけれどゴミにしか見えなかった。
…なにこれティッシュ? …――――違うじゃん! 明らかにゴミじゃん! これは下手をしたら、私たちは校内(口内)を荒らす(虫歯)菌みたいなものになってしまうんじゃないのか! それは流石にアホすぎるんじゃないのか! ていうか小学生か!
と、頭の中ではさんざん喚いている私だけれども実際口を衝いて出た言葉は。
「ちょっと…! 二人とも…! おい! えーっと…」
情けない限りである。
そして事態は、正常だった私をも感化しておかしな方向へと進み続けた。
そして現在に至る。
止める人は、誰一人として―――――いなかった。
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スッ――。スッ――。
素通りする人々。
…何だろう、これは。
廊下に佇む女子高生。そいつは、ゴミを配っていた。
つまり、――――――私だ。
私が友達だと信じていた奴らは。
『あんたなら出来るさっ!』
『お前なら出来ると信じているっ!』
という青臭いセリフと共に颯爽と姿を消した。
――――――何、これ?
泣いてもいいですか?
私は誰にともなく許可を請うた。