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「なんでそのセリフで惚れるのさ!」
「こいつ、ちょっとずれてんのよ」
うるさいな! と返して私は押し黙る。
この二人は、『超可愛いんだけどー』と『え?』である。
あれから私はこの二人と友達になった。
「もうすぐ卒業だよー。なんかさ、こう、ぐいっとね? いこうよ」
「は、はぁ…」
「どこに行くのよ、あんた達は」
ため息で促された。
「「………………」」
「答えなさいよ!」
この通りまあ、仲が良い。と、思う。
「…だって、あの人、ティッシュあれから配らないじゃん」
私はあごで机を叩きながら不平をこぼした。
「えぇ? ティッシュ配ってないといけないわけ?」
「何よそれ、ティッシュ配ってたとしてもあんたにゃあ無理ね」
この通りまぁ、言いたい放題である。
「うーん。友達は選ぶべきだった…」
「聞こえてるわよ! 心の声!」
睨みつけられた。白目をむくな、怖いわ。
あれから私とティッシュのその人は、あたり前のように何のかかわりもなく。日常を全くの無関係の状態で過ごした。そしてとうとう卒業間近。
私はティッシュを卒業しなければならない。まぁ、おむつを卒業しなければならない、みたいな感じだ。(全然違う)
「一番簡単な方法は、告白して振られる、だよね」
「ほんとの意味で『当たって砕けろ』ね」
「…私に出来ると思う?」
「「……………………」」
「「どうするかなー」」
二人同時に強引に話を逸らされた。あんたらは神か!
せめて、何か返事をくれよ! 私は別に、『あんたなら出来るさっ!』『お前なら出来ると信じているっ!』みたいな青臭い青春劇をやりたいわけじゃないんだ。せめて、こんな変な空気にならないような返事ぐらいしてほしい訳よ。
ここで、大げさにため息をつかれた。(なぜだ)
それから私の脳内を垣間見たかのような絶妙なタイミングで言われる。
「…もう、あんたがティッシュ配れば?」
「は?」
「そうだよ、何かめんどくさい」
おい、本音本音。
「それで、何がどう変わるって言うの?」
「そんなの――――」
「知らないわよ」
何とも、冷たい。
友達は、―――――――選ぶべきだ。私はひしひしと痛感した。