薬草を届けよう (前)
サイド 現実世界
タロウは、現実世界にもどると急いで自宅の庭へときていた。タロウの母も、数年前のガーデニングブームで庭にハーブを植えたりしていたからだ。もちろんお目当てのペパーミントも庭一面に生えている。
(ぺパーミントも路地に植えてしまうと、管理を怠ると庭一面に生えてしまう・・・)
数時間かけて、大体、直径40㎝くらいの束を5つ収穫した。
「よし、これをもっていこう!! カッハであってくれればいいんだが。。。」
淡い期待をしながら、急いでミノスへとトンボ帰りをするのであった。
数日後・・・・(ミノス時間)
「もって、きました。」
タロウが、老神官に手渡す。
「おお、これは!まさしく、カッハですよ!! ありがとうございます。」
「いえいえ、お礼は薬効を確認してからおねがいします。」
「であ、さっそく確認をいたします。よろしければ、ご一緒に薬房にどうぞ。」
「はい、」
タロウは、老神官につれられて薬局裏にある薬房に向かった。
薬房の中は、ところ狭しと薬草やら、乳鉢・窯などの機材であふれている。
老神官は、タロウの持ってきたペパーミントを乳鉢にいれるとすりつぶし始めた。
「薬草、とりわけカッハの薬効ですが。薬草どうしの副作用を抑える働きです。いってみれば、中和剤ですよ」
「ふむ、なるほど。やはり薬とは、毒でもあるんですね。」
「まさしく、その通りです。使い方や、数量などなど。大事ですな。 さて、このすりつぶしたカッハですが、薬効の強さは含まれる神力に影響されます。そして、これがその神力を計る試薬です。」
「神力が強いと、どうなりますか?」
「これは、雪石英を砕いた粉でして。神力の強さに反応して、薄い青~深い青になります。」
「強さは、含まれる神力が少ないのが薄い青。多いが深い青ですか?」
「その通りです。 でわ入れてみましょう。」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
「ふむ・・・、 これは、薄い青ですね。薬草としては、、、使えませんね。。」
老神官は、ひどく落胆する。
「なんとか、使えないのですか?」
「そうですね、現実的でわないのですが。大量の聖水と混ぜて精製すれば。おそらく使えます。 ただ、これだけの薬のために必要な量というと。 神官が5人がかりで3週間かかってしまいます。それでわ、間に合いません・・・・」
「じゃあ、大量の聖水があればなんとかなるんですね?」
「はい・・・」
タロウは、老神官から見えないところでチョーカーから”聖水の杯”を取り出した。
「これは、迷宮で手に入れたものですが。傾けると聖水がでてきます。よかったら、差し上げあげますので、病院でお使いください。」
(実際には、タロウが聖別して作ったものである・・)
「ほ、ほんとうですか!? 聖水が本当にでてくるのならば、聖遺物ですよ!?」
「聖遺物とは、なんですか?」
「聖遺物とは、我々の祖先が次元を渡りこの地に来る前に作られた遺物です。現在では、とても貴重で、めったにないものです。」
「そうなんですか!?」
(俺が、作ったんだけどなあ・・・)
「ええ、それひとつでこの街がそっくり買えます・・」
「!!!! そんなにすごいものなんですか。。。」
「はい、ですです!!」
「ですが、私にはもう一つあるので、この街の方々の為にお使いください。」
(実は、迷宮でもう一つ”旅人の杯”をてにいれて、聖別して持っていのだ・・)
「!!! ありがとございます。受け取るかは、別として大事にお借りいたいします。」
深々と老神官は、頭をさげた。
「いえいえ、私にできることをしたまでですから」
(なにより、平凡だった自分がこんなにも人の役にたてるのだ。嬉しい!)
「でわ、さっそく薬の調合にはいりますので。2週間ほどしたら、またおいでください。その頃には、調合もひと段落しておりますので。」
「はい、わかりました。また、」
こうして、タロウは無事に薬草を届けたのであった。