閑話 時間と金 (2)
現実世界でタロウがネットオークションをし始めて4週間後。タロウは、10万の売り上げを手にしていた。
「以外に増えないなあ・・・」
ネットオークションも最初のうちは、調子よく売れていたがここ最近売れ行きが思わしくない。
アクセサリーなどと言うものは、個人の感性にあわなければ売れないものである。
また、もう一つの原因としてはやはり換金率に問題があるようだ。
リアルマネー:銀貨=0.5:1である。品物を売って行商すればするほど、ミノスでの持ち金は減り、仕入れができないのだ。
「うーん、考えがあまかったなあ・・・ 現実で売れば売る程、元手が無くなる・・・ 今の現状は、ミノスから輸入してばかりの状態だ。逆に銀貨を獲得する、輸出をしなければ・・・」
しばらく、ミノスに輸出する物を考えていたが、一向に浮かんでこない・・・
「これは、一時ネットオークションを休業してミノスで下調べが必要だな。」
そうタロウは結論づけると、さっそく転送門を開いてミノスに向かうのだった。
サイド ミノリス(港街)
「さて、何処へいこうか・・・」
今日は新しい輸出のアイディアを得ようと、いままで行ったことがない場所に行ってみようとタロウは
考えていた。
タロウは行ったことがない場所が無いか、頭の中でリストアップしていく。
半ば、異世界時間で1年半近くいればミノリスの大体の場所はいっていた。
「何処かないかなあ~」
次第にタロウは、行ったことないところ → 行った回数が少ないとこ を考え始めた。
「あ、そういえば。 神殿はあまりいったことないなあ~」
今更だが、タロウは神聖魔法を使うので職業のくくりから言えば、神官である。ただ、迷宮に潜る前に神官としての登録くらいしか神殿にはいってなかったのであった。
「よし、今日は神殿にいこう!」
こうして、タロウは神殿へとむかうのであった。
タロウの向う神殿は、港町の北に位置する小高い丘に建っていた。大理石の太い柱が建ちならび、見たとこはギリシャのアテネにあるような神殿である。
石畳の敷かれた参道を通り、神殿の中へと入っていく。神殿は、神官のギルドとしての建物と、併設する病院がある。今日は、併設する病院にいってみることタロウはした。
病院にはいると、まず人々が集まるロビー(待合室)。さらにそこから奥に進んでいくと、神聖魔法を使って病を癒す、施術室。そして最奥に薬を出す薬局があった。
ミノスでの病の治し方で一般的なものは、神聖魔法による自然治癒力を高めて薬湯を飲むのが一般的である。
そして、タロウが薬局までくると。1人の薬局職員と思われる老神官から声をかけられた。
「もし、そこの方。薬剤を届けにこられた方ですか?」
「いえ、私は医術の見聞を広めるためにきた、下級神官です。」
さすがに、ただ興味本位で病院に来たなどと言えず、それらしいことをタロウは言う。
「そうですか、・・・」
あからさまにタロウの言葉に、老神官が溜息をはいた。
「どうかされたんですか?」
「はい、実は。ミノリスのさらに南の小島からいつもなら薬草がとどくはずなんですが、先日大規模な火災がありまして、薬草が焼失・・・ 今は、陸路を使い他の生産地から取り寄せているんですが、まだ届かないのですよ・・ その薬草は、カッハ呼ばれるもので、さまざまな薬の原料なんですが、。。」
「そうですか、・・ 見たところ患者さんもたくさんおられるようですし、あと何日くらいで薬が底をつくんですか?」
「そうですねえ。。 もってあと半月でしょうか・・・」
老神官は、苦渋にみちている。
「それは、お困りですね。。。私でよければ何かお手伝いできればよろしいのですが。ちなみに、そのカッハを見せていただいてもよろしいですか?」
「どうぞ。」
老神官がおもむろに、緑の葉っぱを手渡す。
タロウは、それを受け取り、しげしげと眺め匂いを嗅いでみた。
すると、鼻に独特の清涼感が吹き抜ける。
(これは、ペパーミントだ・・・)
「あの~、薬効について保障はできないんですが。これとにた香草なら1週間以内に用意できると思います」
「本当ですか!ぜひ、おねがいします。」
老神官は、床に頭をすりつけて懇願してきた。
「はい、わかりました。 本当の薬効については、自身がないので・・それでも持ってきます!!」
「ありがとございます!!」
「でわ、1週間以内には持ってきますので・・」
こうしてタロウは、神殿を後にし急いで現実世界に戻ったのだった。