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転生したら世界を止めれるブレークポイント打てるデバック能力ありました ブレークポイントで時間を止めてやりたい放題 最強ハーレム勇者の誕生です

作者: BrainOfKeios
掲載日:2026/09/03

三十二歳、職業システムエンジニア。


連日の障害対応の末、俺は会社の机に突っ伏したまま死んだ。


次に目を覚ましたとき、俺は剣と魔法の世界で赤ん坊になっていた。


貴族でも王族でもない。辺境の村の、ごく普通の農家の三男だ。


少し変わっていたのは、十五歳の成人の儀で授かった固有スキルだけだった。


《デバッグ》


神官は首をひねった。


「聞いたことのないスキルですね」


俺には聞き覚えがあった。


嫌というほどあった。


試しに念じると、視界の端に半透明の画面が開いた。


```text

HP 128

MP 34

STAMINA 96

AGE 15

```


自分の状態が変数として見える。


さらに、村の外でゴブリンに襲われたとき、俺は反射的に叫んだ。


「ブレークポイント!」


棍棒が俺の額に触れる寸前、世界が止まった。


鳥も、風も、舞い上がった砂粒も静止している。


視界には処理の流れが表示されていた。


```text

attack_hit()

damage = 18

player.hp -= damage

```


俺は三行目を実行せず、そのまま処理を再開した。


棍棒は確かに俺を殴った。


だが、痛くない。


HPも減っていなかった。


「……これ、時間停止なんかより悪質だな」


それからの人生は、だいたい思いどおりになった。


攻撃されれば、ダメージ処理を止める。


毒を盛られれば、状態異常を付与する前に止める。


疲れたらスタミナを書き戻す。


老化処理は二十歳になったところで無効化した。


暗殺者が寝室へ忍び込んできたこともあるが、俺が眠っている間も設定済みの条件付きブレークポイントは正常に動いた。


```text

BREAK WHEN player.hp decreases

```


目覚めると、短剣を振り下ろした姿勢のまま固まった暗殺者がいた。


世界最強の剣士でも、伝説の魔法使いでも、処理されなければ何も起こせない。


魔王討伐も簡単だった。


魔王の必殺魔法が発動する直前で止め、魔力をゼロにしただけである。


そんな俺にも、ひとつだけ後悔している操作があった。


幼馴染のリナの好意を、ほんの少しだけ上げてしまったことだ。


あれは十六歳のころだった。


リナはいつも俺の後をついてきたが、それが恋愛感情なのか、ただの幼馴染としての親しさなのか分からなかった。


だから出来心で、彼女のパラメータを覗いた。


```text

AFFECTION 090

```


上限は、おそらく999。


たった九十なら、脈はない。


俺は少しだけ落ち込み、それから本当に少しだけ、数値を変更した。


```text

090 → 091

```


一くらいなら誤差だ。


人の心を作り替えたことにはならない。


そう自分に言い聞かせた。


ところが翌日、リナは俺の腕に抱きついてきた。


「どうした?」


「別に。こうしたくなっただけ」


これはまずい。


俺は慌てて数値を戻した。


```text

091 → 090

```


その後、二度と好意の数値には触れなかった。


にもかかわらず、俺の周囲には女性が増え続けた。


魔王討伐の旅に同行した聖女。


救出した王女。


降伏した魔王の娘。


全員の好意を確認したが、表示は似たようなものだった。


```text

リナ 090

聖女 082

王女 074

魔王娘 099

```


誰一人、上限には遠い。


それなのに全員が俺との結婚を望み、誰も身を引こうとしなかった。


俺は彼女たちの意思をパラメータで操作することだけは避けた。


あの一度で懲りていたのだ。


その結果、俺は世界を救った英雄として、四人全員と暮らすことになった。


昼間は平和だった。


問題は夜だった。


翌朝になるたび、HPとスタミナが大きく減っている。


俺はそれぞれの減算処理にブレークポイントを設置した。


```text

BREAK WHEN player.hp decreases

BREAK WHEN player.stamina decreases

```


これでHPもスタミナも減らない。


死ぬことも、疲れることもない。


そう思っていた。


ある朝、俺はベッドから起き上がれなかった。


HPは最大。


スタミナも最大。


毒も病気も検出されない。


なのに指一本動かせない。


視界の隅を、見覚えのないログが流れた。


```text

HIDDEN_PARAMETER depleted

SEIRYOKU = 0

terminate(player)

```


「そんな……パラメータ、知らな……」


存在を知らない変数に、ブレークポイントは置けない。


俺の意識はそこで途切れた。



暗闇の中で、俺は妙な安堵を覚えていた。


HPを減らさず、老化もせず、神にさえ干渉できる人生だった。


だが、あの生活から解放されたのなら、死も悪くない。


転生するにしても、次は静かな人生がいい。


できれば幼馴染も聖女も王女も魔王の娘もいない世界で――。


```text

BREAKPOINT HIT

target: reincarnation.execute()

```


時間が止まった。


いや、死後の世界の処理が止められた。


誰かが暗闇の向こうから歩いてくる。


「見つけました」


リナだった。


「どうして、ここに……」


「死神様に聞きました」


「普通、死神は教えてくれないだろ」


「ですから、教えてくださるように少し権限を変更しました」


彼女が指を動かす。


見たことのない管理画面が、俺の前に開いた。


```text

DEATH_ADMIN RINA

REINCARNATION_ADMIN RINA

DEBUG_PERMISSION ROOT

```


「お前……《デバッグ》を持っていたのか?」


「はい。ずっと」


「同じ権限?」


「同じですよ」


リナはにっこり笑った。


「あなたが私の好意を一つ上げてくださったときも、ちゃんとログで見ていました」


「あれは出来心だった! すぐ戻しただろ!」


「ええ。恥ずかしくなって取り消したんですよね」


「違う!」


「でも、わざわざ私の好意を上げてくださったんです。私のことを愛しているからですよね?」


「一だぞ! たった一!」


「私には十分でした」


新しい画面が開いた。


そこに表示されていた数値を見て、俺は言葉を失った。


```text

RINA.AFFECTION


before 1000000090

after 1001000090

```


「待て。俺が上げたのは一だ」


「はい。ですから嬉しくて、私の中では百万ほど上がりました」


「俺の画面では090としか……」


「表示欄が三桁しかありませんから。四桁目より上は見切れています」


俺が九十だと思っていた数値は、十億と九十だった。


慌てて一を戻したところで、十億九十一が十億九十に戻っただけ。


文字どおり誤差だった。


リナが別の一覧を開く。


```text

聖女 800000082

王女 600000074

魔王娘 900000099

```


「全員そうだったのか……」


「皆さん、あなたを心から愛していますから」


「俺のハーレム生活は、強制イベントじゃなかったのか?」


「いいえ。完全な自由意思です」


そちらの方がよほど恐ろしかった。


「と、とにかく俺は死んだんだ。死んだ人間を連れ戻すのは世界の仕様に反する」


「もう直しました」


「直すな!」


```text

player.alive = true

player.SEIRYOKU = MAX

```


身体に感覚が戻ってくる。


俺は即座に復活処理を止めようとした。


```text

BREAKPOINT SET

target: resurrection

```


だが、その直前で別のブレークポイントが発動した。


```text

BREAKPOINT HIT

owner: RINA

target: player.set_breakpoint()

```


「俺のデバッグ操作にブレークポイントを置いたのか!?」


「あなたなら、そうすると思いました」


同じ権限。


先に仕掛けた方が勝つ。


俺が死亡している間に、リナは必要な仕込みをすべて終えていた。


「また死んで逃げようとしても無駄ですよ」


「逃げるなんて言ってない」


「転生先に私たちがいない世界をご希望でしたよね?」


心も読めるのか。


いや、死者の思考ログまで取得していたのだ。


リナはさらに二つの項目を選択した。


```text

module PLAYER

module RINA


strong_coupling = true

lifecycle.shared = true

destination.shared = true

```


「待て。それを実行するな」


「あなたと私のモジュールを強結合しました」


「今すぐ解除しろ!」


```text

unbind(PLAYER, RINA)


ERROR:

Dependency cannot be removed.

Protected by RINA.

```


「これで何があっても一緒ですからねー」


俺は世界中のあらゆる処理を止められる。


攻撃も、毒も、老化も、死も、神による転生さえも。


しかし俺と同じ権限を持ち、俺より先に手を打ち、好意が十億を超えている幼馴染から逃げる方法だけは、どこにも存在しなかった。


リナは満足そうにうなずくと、ふいに空を見上げた。


その視線は神々の世界よりもさらに上――この物語の外側へ向いていた。


「そうだ。このままでは題名が内容に合いませんね」


彼女はページの外へ手を伸ばした。


「題名も変更しますね」


```text

TITLE UPDATE


旧:

転生したらスキルが『デバッグ』だった件


新:

幼馴染と永久に幸せな人生を送り続けています

```


俺には、それを止める権限すら残されていなかった。


なんでこんなやばい権限を幼馴染に与えたんだ!!!


こんなやばいやつを作った責任を取って何とかしろ!!


……


あ、俺だった……。


幼馴染様のご依頼により、二人は永久に幸せな人生を送り続けています。


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― 新着の感想 ―
物語としては、可もなく不可もない感じで、文化祭で見つけた優秀な作品のような気分ですね。ただクセがなさすぎて、物足りなさは感じるタイプかな。
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