二季と四季と「秋」野菜
季節は秋。
ここ数年…「四季」ではなく「二季」といったほうがいいのでは、と思えるほど夏が長い気がしている。
単身赴任前では、ちょっと信じられないほど「スーパーに通う日々」が増えた…野菜売り場を見ているだけでも、季節の移ろいがわかる程度になっていた。
…俺は「二季など認めん。春野菜ある。秋野菜も…ええと、多分ある。やはりなんだかんだと四季はある。」
そう強く思い込むことにした。
俺はいつものようにスクーターにまたがり、いつものスーパーに向かう。
残暑ぶり返しがあったりはするものの、とにかくスクーターで走り回るにはいい季節…ならば、秋の味覚をぜひ楽しもう…
春ならば「キャベツ」に代表される「春野菜」
夏ならば「ナス、ピーマン、キュウリ」に代表される「夏野菜」
俺はふと「秋の野菜」ってなんだろか、と考え込んだ。
…秋野菜…秋野菜ってあるのかな
いつしか信号が変わり、車が走り出す。その流れに乗りながらスクーターを走らせる。
秋野菜か…店を見たらわかるだろな…俺はそう考えながら、いつものスーパーに立ち寄った。
…なんか、薄暗い…人気も全くない
スーパーの扉に近づくと「店舗内改装のため臨時休業」という紙が貼られていることに気が付く。
…うーわ、やっちゃった
仮住まいにはほとんど食材がない。
俺は「どうするべきか」としばらく思案を巡らせたのち、スマホを取り出し、近隣のスーパーを検索した。
ほどなく数件のスーパーが見つかり、俺は「現在地から一番近いところ」にあるスーパーに向けて、バイクを走らせた。
ここも「北関東を根城とするスーパーの一店舗」らしく、店舗名に全くなじみがない。
そのうえで…普段とは違う店…調味料ひとつとっても、店舗内配置が違う。
野菜も肉も魚も…同じなのかもしれないが、どことなく違う表情を見せている。
…パッケージがちょっと違うだけで、違和感てあるんだな
俺は変な感想を持ちながら、店舗の中を彷徨い歩く。
今夜を食べるかすら考えていなかった俺は「考えなしに安定しそうなメニュー」に思案を巡らせた。
どのみち食材の在庫はないから、何を買ってもロスは出にくい。
いろいろ考えても時間は立つばかりだし、手短にできるもの…何かないだろうか…と、思考を巡らせて行き着いた先…それが「麻婆豆腐」だった
「素」を伝えば安定的な味が簡単に再現できるうえ、調理時間も調理技術もさほどは必要としない。
そう結論付けた俺は、食材をかき集めることに専念をし、「きぬ、とひらがなで大書された、小さい豆腐3個パック」に…「ふりかけメーカーの雄が作った、おそらく日本で一番有名であろう麻婆豆腐の素(辛口)」と、長ネギを購入した。
ポイントカードなんかもお勧めされたので、とりあえず作ってもらったが…帰り道とは方向が変わる上に…普段行くスーパーのような「安い感じ」がしない。
普段行く店は「外国人労働者の方もかなり使う」わけで、品ぞろえについては謎方向に振れるが…基本とにかく安い。
このお店には申し訳ないが、困ったとき以外は来ないだろうな、という印象を、つい持ってしまった。
・「きぬ、とひらがなで大書された、小さい豆腐3個パック」 1つ 118円
・「ふりかけメーカーの雄が作った、おそらく日本で一番有名であろう麻婆豆腐の素(辛口)」 198円
・長ネギ 1本 128円
俺は、この麻婆豆腐の素はわりと好きだったので、単身赴任前でも、たまに作っていた。
だから作り方に迷いは特に持たない…大体この手の「素」は、説明書にきちんと従えば同じようにできるものなので…特に不安に思わず料理の手を進めた。
やがてできたものは「以前作ったものと同じ」…きちんとうまい、非常に手軽、何ら問題を感じない、本当に悪い部分が特にない。
だが、ここ数か月…自炊の楽しさをしっかりと覚えてしまった俺が持った感想はこうだった。
…やっぱ、なんか違うよなぁ…うまいし、安定はしてるんだけど…こう、なんか、こう…
うまく言えない部分がもどかしくもあり、俺は寶焼酎25度ウーロン割を濃いめに作って、杯を重ねた。
明日は、ちゃんと考えてみよう




