残暑厳しき夏野菜
季節は進み盛夏期を…なかなか超えてくれなかった。
さすがに40℃に迫る外気温、ということは少なくなったが、それでも30℃は軽く超えてくる日々が続く。
変なもので「こうした異常な高温」に対しても、耐性はできるようで…32℃くらいだと「涼しい」と言い出す人々もいる
…俺は、そんなの絶対に認めない。
俺はスクーターにまたがり「いつものスーパー」に向かう。
スクーターで加速すると、風の影響で体感温度は少し下がるが、それでも「ぬるめのシャワーを浴びている」といった感がある空気に体が包まれる。
スーパーに入り店内をうろつく。結局のところ「暑い」「熱い」が一向にに収まらない日々…俺は「また、おぼろ豆腐にでもするか」と思い、手に取る。
…背後に気配を感じる。
振り返ると「ホントなんで営業職とかやらないの?ホント大成すると思うんだが?」と思わせる、いつもの店員さんが立っていた。
「今日もおぼろ豆腐ですか…悪くない、と思いますが…」といいつつ「もしよければ、ご提案ありますので、ついてきてもらっていいですか?」と俺を別のコーナーへといざなう。
連れていかれた先は…野菜売り場だった。
「このあたりは、隣県が高原野菜作っている環境です。県内でも、県北はもう南東北という環境です。」と土地事情を説明しながら、野菜売り場を見回す。
そして「今日は、これがいいですよ」と品定めしながら、俺が持つかごに入れだす。
…おいおい、マジか、作るのは俺だぞ?
と、瞬間思ったが、彼女の料理センス知っている俺は「何」を提案するのか、という興味が勝り、黙って受け入れる。
かごの中は「なす」「ピーマン」「ししとう」…これで何をしろと、と思っていると…「次はこっちに来てくださーい」と促される
…お、おう、おうおう、今行くけど…
はい、と手渡されたのが「2袋をテープで止めてあるソーセージ。日本語直訳なら『この食べ物を見てください』というド直球なもの」であった。
彼女は「ナス、ピーマン、ししとうを好きなだけ、食べやすい大きさに切ります…で、ソーセージは半分に切ってやはりお好きな量を準備します。最初に軽くピーマンとししとうを炒めて、野菜の少し色が少し濃くなりだしたところに、化学調味料をどばーって振って…どばーが大切です。化学調味料嫌う人いるけど、あれは素人には福音です。遠慮なくどばーっと振って、ソーセージを入れてください」と一気にまくし立てた。
俺は「あの……ナスは?」とおずおずと尋ねる。
「今からです、ナスはっ!」と前置きしながら「炒めた野菜ソーセージを取り出し、サラダオイルを少し追加して、ナスを炒めます。ナスが後なのは、ナスは基本スポンジ体質なので、油とか全部吸い込んじゃう。だから…うまみと油をナスに無駄なく吸わせるために、ほかのものを炒めた後、なんですっ!」
…場所が和室なら、正座して聞いているところだ
「ナスにしっかり火が通ったら、先ほどのものすべて加えて炒めなおすだけ。注意点は、炒める順番、食べやすい大きさに切る、化学調味料をバカにしない、これだけです!」
…場所がお白州なら、お裁きを待っている下手人のように縮こまって聞いているところだ
「食べる直前に、お好みでお醤油垂らすと最高ですよ」と付け加えた彼女の力説を…俺はすべて受け入れ…すべてを購入し、帰宅した。
・ナス1袋(5本)198円
・ピーマン1袋(5個)198円
・ししとう1袋(20個やそこらはいっている)128円
・「直訳すると『この食べ物を見てください』というソーセージ」 2袋298円(大特売品記載あり)
夏野菜、ということもありすべてが大振りだったので「ナス1つピーマン1つ、ししとう5本、ソーセージ半袋分」をそれっぽく切る。
フライパンに油をひき、言われた順番に炒めていく。もちろん、化学調味料も躊躇なく振りかける。
野菜の色が濃くなりだす。ししとうあたりにうっすらと焼き色がついたころ、すべてを取り出して、ナスを炒める。ナスはどんどんと油を吸い取り、フライパンをきれいにしていく。
…ホント、スポンジっぽいな
そう思いながら、火が通ったところに先ほど炒めておいたものをフライパンに戻す。
野菜たちがフライパンの中を駆け巡る。部屋中によい香りがただよう。もう野菜の色見ているだけで空腹感が爆発する。
…いやもう、これさ…負ける要素ないじゃんか…800円程度で夕食4回分とか、ものすげぇコスパだし…
俺は、仕上がった「夏野菜炒め」に少量のしょうゆをたらして楽しんだ。
いつもの寶焼酎25度ウーロン割…はかどって仕方ないな、と苦笑した。




