とある薬味の超電磁砲
俺は、企業が持つ研修所勤務ということもあって「朝食と昼食は学食」「夜は何となく食事をする」生活をしている。
朝食は、勤務先の学食、400円、給与天引き。
「半」バイキング形式、とでもいえばいいのか…主菜こそひとりあたりの数量制限があるが、副菜は取り放題で、ご飯と汁物はお替り自由。
納豆、ふりかけ、海苔などが別においてあり、これも好みで取り放題。
かなり自由度があるようにも見えるし、内容もそこそこ濃く見えるが…不満が一つだけある。
それは「納豆」についていたら、非常にうれしくなるはずの「薬味」が一切ないこと。
薬味がない納豆なんて「箱根駅伝で、箱根山中がコースから除外されるくらいあり得ない」と思っている俺。
納豆は、基本的に自己主張が強い…ネギなどは、それに負けずに自己主張をしてくれるので、ネギは本命。
だが…研修生も同時に利用する学食で、毎度毎度ネギを刻むことはむずかしい。
学食運営会社にしても「朝から学食で利用者がネギを刻む行為」は、嫌がらせとかテロ行為にしか見えないだろう。
…こう考えた俺は、また「挙動不審者即通報スーパー」によることにした。
大げさでなく、開封後も湿度なんかの影響を受けないもの、それでいて「納豆の主張に敢然と立ち向かえるもの」…そんな都合のいいもの、なかなか思い当たらない。
店舗内をあてもなく歩いていると…「いろいろなことを教えてくれる、とても親切な、それでいて防犯意識がしっかりした店員さん」に出くわす。
学食での「納豆に薬味がついてこない」話をしてみると…「これなんていかがですか?」と取り出してきたのが「ニンニク入りなめたけ」
「これ、いいですよ…スライスニンニクと鷹の爪を混ぜ込んであって、パンチきいてます。納豆に負けませんし…それに…」ともったいを付けてから…「ついてきてください」と俺をいざなう。
着いた場所は「豆腐コーナー」だった。
「ニンニク入りなめたけって、冷ややっこの薬味にだって向いてます。わたし結構はまっているんです。」と、いいつつ「しもぶくれ色白の、かわいらしい感じの女の子風味キャラクター」が描かれている豆腐を取り出して「はいどうぞ、と言わんばかりに押し付けてくる。
…お、おう
圧倒された俺は「ニンニク入りなめたけ」と「しもぶくれ色白系のかわいらしい女子風味キャラクター豆腐3個パック」を購入して帰宅した。
豆腐をざるにいれて水切りし、皿にのせる。
冷蔵庫に入れておいた「豚バラスライスを新生姜に巻き付つけたもの」をトースターで焼いて、併せて食卓に。味つけで使った塩は、もちろん、減塩タイプの自己否定塩。
そして…ニンニク入りなめたけの瓶を開封し、豆腐の上にちょっと乗せる…つもりが…ドバっとあふれて…見込みの5倍ほどをのせてしまい…ちょっとしょげる。
・ニンニク入りなめたけ 1瓶128円(処分品)
・「しもぶくれ色白系のかわいらしい女子風味キャラクター豆腐3個パック」 1パック98円(20円引きシール付き)
ニンニク入りなめたけ…やるな。
「白飯、持ってこーい」って叫びたくなるほど、有能。
比較的あっさりしているはずのなめたけ…その概念が鮮やかに打ち砕かれる。
口の中を超電磁砲で打ち抜かれたか、と思うほどニンニクが自己主張し、それを鷹の爪が補強する。そして、それらを豆腐がゆっくりと冷ましていく。
「これ、納豆に混ぜ込んでも主張するし、間違いなくうまくなるぞ」と一人ほくそ笑む。
俺は、またもや寶焼酎ウーロン割を…今日は、ニンニク入りなめたけの分、ちょっと濃いめにして…飲んだ。




