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自己否定する「塩」

俺は、企業が持つ研修所勤務ということもあって「朝食と昼食は学食」「夜は何となく食事をする」生活をしている。

そんな生活サイクルの中で決めていることは「基本的に、朝と昼で食べたものは、夜は食べない」であった。


会社は気を使ってか「夜も食べていい」とは言ってくれるが…


・朝400円

・昼600円


に対し…


・夜800円。酒は出ない。食堂に限らず、研修所敷地内では飲酒禁止。


こんなもんに三食頼るつもりはない…俺はそう決めていた。


「大の大人に何を言う…国家が運営している矯正施設でもあるまいに…私企業のくせに生意気だぞ! ホントただでもいらん…いや、ただなら考える!」と、決めていた。


地縁がない場所での勤務だけに、スーパーがどこにあるかもわからない。

新聞も取っていないから、チラシが手に入らない。

だから「どこがお買い得か」もわからないし「スーパーが持つ得意分野」もわからない。


ゆえに「不審者扱いされたスーパー」をまた頼りにする。


地縁がない俺にとっては「出身地では聞いたこともない、北関東にゆかりを持つスーパー」だけに、つかみにくい部分はある。

かごをもってスーパーの中をうろうろする。

今まで気が付かなかったが…店内は中には、かなりの数の外国人労働者が買い物をしている。


「…それでか」


俺はやっと思い当たった。

なんだかよくわからない、外国語表記の調味料や、食材がかなりの幅を利かせている。

ポテチなんかも「大都市圏だと、好事家が捜し歩いて買い求めるレベル」の「フラダンスをしている女性の絵がパッケージ」の、えらく歯ごたえがあるものが所狭しと並んでいる。

チョコ菓子に至っては「どこで作ってるんだ、これ」というほど奇妙なものが幅を利かせている。


俺は「先日買い求めた海外産豚バラ」と「新生姜」がまだ残っていることを思い出し…調味料類のみを買い求めることにし、調味料コーナーをさまよっていた。

そこへ「親切な店員…ただし、警察通報とか辞さない、勤務先ファーストなしっかりした店員」がまた、声をかけてきた。


「本日は何をお探しですか?」

「ああ、今日は、教えてもらった豚バラ新生姜のアレンジでもできないか、と思い、調味料を買おうと思って…」


店員さんはにこやかに「あれは基本、塩ですよ。でも、黒胡椒とか、ガーリックソルトとかも似合うかもしれませんね。」とアドバイスしてくれた。

するとそこにあった塩に目が留まった。


「緑色のキャップが憎いほどの存在感を示す、減塩タイプの調味塩」


いや、待て待て…塩が減塩ってなんだよ…それは塩なのか?もはやそれは塩とは言わないのではないか?塩が塩を否定してどうするよ?

本当にあっけにとられてしまったが…ついついそれを手に取り、かごに入れる


すると店員さんは「それ、意外といいんですが…」と前置きをしつつ…


・腎臓に病気がある人は医師に確認したほうがいい


と注意してくれた。

俺は、特に思い当たる部分はないし「減塩タイプの塩」に妙な興味を持ったので「昔の宇宙刑事のようなメーカー名の粗びきの黒コショウ」と併せて、衝動買いをした。


今日はこれで…豚バラ新生姜を作って食べるか


・「昔の宇宙刑事のようなメーカー名の粗びきの黒コショウ」 1缶398円

・「自己否定をしている気がしてならない、減塩の塩」 1瓶248円


帰宅後、それらをフル活用して豚バラ新生姜を作って食べてみたが…黒コショウにしても、自己否定塩にしても、味が大きく損なわれることはなく…俺は満足しつつ…いつものように「寶焼酎25度ウーロン茶割」を飲み干した。

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