「岩」の「下の新」しい「生姜」の活用法
地縁がまったくない場所での単身赴任。
昨日は不審者扱いされたスーパーだったが、それがきっかけで親切にされた“思い”もある。
今日の夜は何にしようかと迷いながら、かごには何も入れず30分……また声をかけられた。
昨日、親切にしてくれた店員さんだ。
「お立ち寄りありがとうございます」と言いながら、かごの中をのぞく。
しばらくして「何かお探しですか」と聞かれ、探すものを探している最中だと正直に伝えた。
身の上を簡単に話すと、店員さんは俺を漬物コーナーへ導いた。
「そうですね……なら、これはいかがですか?」
そう言って手に取ったのは“新生姜”
出身地でも見たことはあるが、棚を見ると“当地の名物”というだけあって種類がやたら多い。
「これ、当地の名物ですよ」と教えてくれた。
名物、というだけあって……スライス、細切り、カットされていないもの、減塩タイプ……違いはそんなところだが、妙に存在感がある。
店員さんは、カットされていない新生姜を指さして言った。
「これ、メイン食材に化けますよ。しかも手抜きと思えるくらい簡単で」
俺は素直に教えを請うた。
店員さんは俺をあちこち引き回しながら、新生姜を“メインに化けさせる食材”を次々と紹介してくる。
もちろん、徹底的に手を抜けるようにと「青いキャップの瓶詰めの塩製品」も勧めてきたので、併せて購入した。
帰宅して、言われた通りに調理を始める。
カットされていない新生姜を3cmほどに切る。
勧められた“化けさせる食材”を丁寧に1枚ずつはがし、10cm弱に切って新生姜に巻きつける。
いくつかできたら爪楊枝で刺し、アルミホイルを敷いたトースターに並べる。
仕上げに、青いキャップの塩をちょいちょい振る。
タイマーを10分に合わせて放置。
タイマーが進むにつれて、「新生姜を化けさせる食材」の脂が溶ける香りがじわじわ広がっていく。 トースターの中から、「新生姜を化けさせる食材」の脂が「そろそろ食べ頃だぞ」と言わんばかりの香りを放ってくる。そのあとを新生姜のつんとした匂いが追いかけてきて、台所の空気が一気に“飯の時間”へと様相を変えていく。
チン、という泣かせる音を聞き、トースターを開くと……“それ”は完成していた。
「新生姜を豚バラ肉で巻いて、塩を振って焼いただけ。」
実にシンプル。
だが、色も香りもとにかく食欲をそそる。
冷めないうちに、と早速頬張る。
「あっっっっっつ……でも、これホントにうまいなぁ。簡単だしな……」
寶焼酎25度のウーロン茶割を準備しながら、思わず笑った。
・新生姜198円
・海外産豚バラ肉200g 198円(お見切り品)
・青いキャップの塩製品 198円
今度、粗びきのコショウでも買うかな…などと考えつつ、ウーロン茶割を飲み干した。




