スキルツリー
アウラを助け出し、俺はしばらくその場に留まる事にした。
アウラと非常食の消耗が激しく、先に進む前に一旦休んだ方がいいだろうという判断だ。
因みに、アウラを助け出して触手を消し去ったタイミングで第二層はクリアした判定になったらしく、一切触れる事無く勝手にパズルが揃って壁が駆動して開いた。
これがゲームだったらギミックの開発者に少し申し訳なく思うほど、無視してクリアしてしまった。
「ゴブリンさんは、疲れてなさそうだね?」
ぐったりとしているアウラから聞かれて、俺はステータス画面から顔を上げる。
「〈不眠不休〉の効果かな。疲れとかはあまり感じない。それに、自然回復も早いんだ。もうほとんど消費ステータスは全快してる」
また、常に〈空腹値〉が最大というのもかなり大きいだろう。
自分の〈空腹値〉を見ると、そこは既にマックスであり、どれくらい超過しているのかは自分でもわからない。
けれど、感覚的にはもう既に10年絶食しても問題なく生きていける程度には、貯蓄できていそうだ。
「凄いね…私はちょっと疲れちゃった…」
「好きなだけ休むといい。時間はある。俺も、自分のステータスをじっくり読んでおきたい」
「そうだね。じゃあ、お言葉に甘えて…」
アウラはそう言って目を瞑り、うとうとし始めた。
俺は自分の胡坐をかいた膝のうえで眠っている非常食を左手で撫でながら、スキルツリーを見る。
上の方には俺が現在保有しているスキルポイントが表示されているのだが、それが結構溜まっているのだ。
スキルの獲得には通常1ポイント消費し、これが種族スキルや進化スキルになると2ポイント消費、Extraだと3ポイント、固有スキルだと5ポイントとスキルによって必要なポイント数が変わってくる。
アウラ曰く、スキルツリーに出現するスキルは人によって異なり、Extraや固有が現れる事はほとんどない。
万が一現れた場合は、そのスキルアイコンだけ金色に輝いて見えるらしい。
そして現在、俺のスキルツリーには金色に輝いたスキルアイコンがいくつもある。
よほどスキルに恵まれているらしく、全部取ろうと思うとポイントが足りない程。
「うーん、ポイント余らせるともったいないしなぁ。取った方がいいんだろうけど…」
鑑定水晶に触れなければ、スキルツリーのスキルは詳細が見れない。
それでも名称から何となく効果は想像がつくので、俺は一個ずつ見ていく。
「スキルによっては、ポイント使わなくても獲得できるやつもあるだろうし…それ取っちゃったらもったいないよな…」
ラストエリクサー症候群的な感じで、中々使えないかもしれない。
などと考えながら、俺はスキルツリーを眺め続けた。




