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呪いを佩びて



「ヒィ…!ヒィ…!」


 痛いよ、痛い。


 頬を大粒の涙が伝う。

 抱えた左腕から血が零れ落ち、地面に線を引く。


 それでも俺は止まらなかった。

 後ろを振り返れば、あの狼が俺を追っている。

 そんな妄想に取りつかれて、恐怖に駆られるままに、ただ何時間も走り続けた。


 どうしてだ?

 俺が何をした?

 水の一滴くらい、飲ませてくれたっていいだろ?


 逃走の最中、不思議と腹痛はあまり感じなかった。


 しかし、あとになってわかったのだが、ただ俺は全てを垂れ流しにして走っていただけのようだ。


 そんな五里霧中な逃走劇も、岩壁に開いた洞窟に駆けこんで終わりを告げる。


 真っ暗な洞窟には何の動物もおらず、酷く静かだった。


 まるで熊でも潜んでいそうな穴倉であったが、生物の気配がない事を確認し、俺はゆっくりと洞窟の奥へ進む。


「ァ…?」


 すると、奥には焚火の跡や散乱した荷物、腐った動物の死体などが散乱していた。


 明らかな人工物が放置されており、中には書物や大き目の杖なんかが置いてある。


 察するに、ここはかつて人間の野営地だったのだろう。

 放置されている動物の死骸は狩った獲物を備蓄していたのか、あるいはこの洞窟に住んでいた主を倒したのか。

 けれど、ここを野営地にした人間も洞窟の外で死に、この洞窟は腐った死骸も相まって他の動物が寄り付かない場所になった、といったところか。


 ここなら少し休めそうだ、と俺は洞窟の端で座り込む。


 散乱している荷物を見遣ると、中には白い布がある。

 治療用の包帯に使えそうだったので、腰を浮かして右手を伸ばし、包帯を取った。

 暗かったのでよく見えなかったが、近くで見て見ると、死骸に集まった蛆が数匹、布にくっついていた。

 それを一匹ずつ引きはがし、未だに血を流す腕に巻き付ける。


 応急処置を追え、俺はさらに荷物の中から大きな杖を回収した。


「……?」


 手に持ってみるとずっしりと重く、その杖は十分武器として使えそうではある。

 しかし、それだけではない。

 杖の先端はとぐろを巻いているのだが、その中心に宝石が埋め込まれている。

 まるで、そう、ゲームなんかで見た事がある魔法の杖だ。

 だが、埋め込まれた宝石は酷く濁っており、この洞窟の闇に溶けてしまいそうな色だ。


 さながら、呪われているかのように。


 少々不気味ではあったが、それでも今は護身用の武器が欲しい。


 一日中走り回って疲れていたのか、俺は杖を抱えたまま気付けば眠りについていた。





────────────

Race:ロー・ゴブリン

Name:無し

Level:1

Status:

HP(1/10) MP(1/1) SP0/2)

Attack(1) Defense(1) Speed(3)

Critical(10) Luck(2) Skill(1)


《種族スキル》

〈呪い耐性Lv.1〉

《通常スキル》

〈悪食Lv.1〉〈痛み耐性Lv.2〉

《固有スキル》

──

《Extraスキル》

──

《称号》

──


〈呪い耐性〉

取得スキル概要

呪具への接触や呪い魔法を被弾する事で取得できる。狂化を和らげ、呪いへの適正パラメータをわずかに上昇させる。デメリットとしてカルマ値にマイナスの補正がかかる。

種族スキルであり、カルマ値がマイナス属性の種族しか獲得できない。

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