表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/184

招かれざる放浪者



「きゃああああああ!!誰か、誰かぁ!ゴブリンが!」


 目を開けて開口一番、俺が聞いた言葉がこれだ。


 うるさい。

 何を騒いでいるのか。

 甲高い女の声に顔を顰めて、俺は顔を上げた。


「ひぃ!こっちを向いたわ!誰か村の駐屯兵を呼んでよ!」


 どうにも俺は見覚えのない森の中にいるようで、少し離れた場所には腰を抜かした間抜けな女がいた。

 コスプレでもしているのか、真っ赤な髪に見た事もない、ダサい服を着ている。

 なんかこう、どこぞの西洋の村で牛乳でも注いでいそうな雰囲気だ。

 しばらく女と目が合ったまま呆けていると、森の木々が揺れて誰かが走ってくる音が聞こえた。


「アァ…ア?」


 寝惚けた頭でも、女が俺を見て驚いている事はわかった。

 だから声をかけようとして、獣が唸るような音が自分の口から漏れる。

 困惑しながら目ヤニを取ろうと顔の間に手を持ってきて、その異様を理解した。


「アァァァァ!?」


 俺の手は、人間のそれではなかった。

 緑の肌に、蜥蜴のような鱗。鳥のように伸びきった爪と、四本しかない指。おまけの驚いてあげた自分の声はやはり、獣の金切声だった。


「きゃああああああ!」


 俺が威嚇をしたとでも思ったのか、女が襲われているかのような悲鳴をあげた。

 その瞬間、森の奥から風を切る音が響き渡り、一本の矢が俺の肩を貫いた。


「アッギィ!?」


 痛みもさることながら、なんだこの情けない声は。

 こんなの俺の声じゃない!


「ゴブリンを発見!一匹だ、すぐに駆除する!」


 刺さった矢から顔を上げると、二人の皮鎧を着た男が矢を弓に番えながら俺を睨んでいるのが見えた。

 意味が分からない。なんだこの状況は。このやべーコスプレ集団はなんだ?完全に傷害事件なんだが。

 だが、四の五の言っている時間はない。

 もう既に男たちは俺に弓矢を向けている。

 冗談じゃない、こんな意味不明な奴らに殺されてたまるか。


「アァァァ!!」


 眠たい体を無理やり起こし、俺は必死に背を向けて逃げ出す。

 しかし、次々に矢は放たれ、俺の横を通過していく。

 あいつら本気だ。本気で俺を殺す気だ。


「ギィ…ヒギィ!」


 矢が俺のケツを貫いた。

 いてぇ。けど、咄嗟にあげてしまったこの豚みたいな悲鳴の方が、恥ずかしくて死にそうだ。

 走りながら、自分の視界がやけに低い事に気づく。


 何となく、今自分がどういう状況なのかを察しながらも、俺は現実を受け入れまいと森を走り抜けた。




────────────

Race:ロー・ゴブリン

Name:無し

Level:1

Status:

HP(3/10) MP(1/1) SP(2/2)

Attack(1) Defense(1) Speed(3)

Critical(10) Luck(2) Skill(1)


《種族スキル》

──

《通常スキル》

──

《固有スキル》

──

《Extraスキル》

──

《称号》

──



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ