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仮面の少女

終わりまで書いてあるので、安心してお読みください。


 

 ⭐︎⭐︎⭐︎


 ある星の話。海を挟み大きく2つの大陸が東西に分かれて存在していた。西の大陸の形はちょうど握り拳のような形をしており、そこには3つの王国が存在していた。互いに交易があり、経済はそれぞれの特徴品を輸出したり必要な物を輸入したりして交流し発展していた。時代的には中世ヨーロッパに近い世界。

 

 3つの国の位置は、中央にモス火山、モス火山を囲むようにぐるりとネザネー大森林があり、回りに大陸を3等分に、北西に『ベルカファ国』、北東に『リトアモ国』、南に『アクア国』が存在している。

 リトアモ国の南には大森林とアクア国との国境を管理するシェラード侯爵家の領地が広く存在した。大森林には魔物も存在するので、侯爵家は兵力も充実させている。そう、ここは魔物も存在する、剣と魔法の世界なのです。


 ⭐︎


 ーリトアモ国 シェラード侯爵・領地邸ー


 私、転生者です。2歳頃、頭をぶつけて思い出しました。

 が、まぁまぁ計算が早く、物覚えがいいぐらいの普通の女の子です。

 まぁ、変わった所と言えば、あるのはあるのですが……。


「お父様ー! 見て、キレイなお花でしょ? 」


「走ったら危ないよ? ふふふ、うちのお嬢さんはいつになったらレディになれるんだい?」


「まぁ、お父様ったら、私、もう立派なレディですわ! 10歳ですもの!」

 私は息を整えると、長いシルバーブルーの髪の毛を手で整えながら、少し口を尖らせて言った。


「そうかい?レディは走らないのでは?」


 お父様が私の頭を撫でながら言うけど、

「仕方ないわ。だってお父様に早く見せたかったんですもの。お花、キレイでしょ?」


「あぁ、本当だね。とてもキレイだ。でも、うちのかわいいお嬢さんの方がもっとキレイだよ?」


「うふふ。ありがとう。お父様、はい、お花あげますわ」


「ありがとう、では1輪は胸に刺していこう。後は飾ってもらおうかな?アンバーこれを部屋に飾ってくれるかい?」


 と、侍女に花を渡すお父様。嬉しい、胸に飾ってくれるなんて。


「これから私はイーサンと王都に出かけるけど、お母様とお留守番しているんだよ?」


「イーサンお兄様と?わかったわ、いってらっしゃい。気をつけてね」



 お父様の後ろ姿に私は大きく手を振るとまたお花を摘みだした。


「あ、そうだわ」


 今、アンバーもいない。ふふふ、あそこに行ってみよう!

 私は思い立ち、もう少しだけ森林寄りの草原にある一本の大きな木の側までやって来た。


「この木、大好き。ここのお花は何が咲いて……! だ、誰?」


 ここは庭ではないけれど、我が家の領地だ。私のお気に入りの場所でもある。

 滅多に人を見ない場所。

 なのに、大きな木の反対側に投げ出された足が見える。


「……す、すまない。大きな声を、出さないで……もらえるかな」


 ゆっくりと回り込む。


「! けがしてるの?」

 見ると、金髪のキレイな男の子が大木に寄りかかるように座っていた。


「! あ……あの、君もケガを?」


「あぁ、これ? 私は違うわ。この仮面はケガを隠してるわけじゃないの」



 そう、変わっている所、私は顔上半分を仮面で覆っている。



「それより、ケガを治すわね。 ここね、『ヒール』」


 足をケガしている。手をかざし、ヒールを唱える。


「え? ヒール……。わぁ、ありがとう。助かった……」


 破れたズボンからキズがふさがったのが見えた。

「よかったわ。1人でここまで?」


「ううん。今、侍従が薬を取りに行ってるんだ。」


「ケガはどうして?」


「森の中だったから、油断したんだ……襲われたんだよ」


「まぁ、強盗? じゃぁ、逃げて来たのね?」


「騎士たちが返り討ちにしてくれたけど、戦ってたらはぐれてここまで来ちゃって」


「そう、怖かったわね。助かってよかった」

 戦ってたなんて……お兄様ぐらい? 12歳ぐらいかしら? なのにすごいわ。


「君は……、なぜ仮面を?」


 ふふふ、気になるのね。


「ん〜〜、私もよくわからないの。お母様が、『時が来たら外れる』って言うんだけど……時っていつなのかわからなくって。生まれてすぐ着けられたんですって。キミ悪がってお友達も出来ないわ。付与してある魔法で仮面も成長するのよ?」


「そう、友達もできないのか……見ていい?」


「どうぞ? 何をしても取れないわよ?」

 手を伸ばしてくる男の子に顔を近づける。


「そうなの? え?」


「え?」


 取れた。


 ……仮面が取れた。


 すると、みるみる真っ赤になる男の子。


「キレイだ……それに瞳の色が虹色だよ。なんてキレイなんだ初めて見た」


 言われて、私も真っ赤になるのがわかる。

「キレイ……? 瞳が虹色なんて私も知らなかったわ」


 2人で仮面を握り、下を向く。こ、こんな時……何を言えばいいの?


「あ、そういえば、名前聞いてなかったわ」


「あ、僕の名前は」


 ここまで聞いた時、後ろから

「殿下〜〜〜お待たせしました! え! だ、誰だ、お前は!」


 すぐに仮面をつけ、振り向く。


「ここは私の領地よ? お前って失礼だわ!」


 と、走り寄ってくる男に言う。腰に手を当て、プンスコ怒っている風にしてみた。


 でも、殿下って言ってなかった?


「ヘンリー失礼なのはお前だ。この方にキズを治していただいたのだ」


「っは! これは大変失礼を致しました。ありがとうございます」

 と、直立不動になり、お礼を言い直す。なので、許してあげるわ。


「ええと、殿下って……」

 そっと彼を見る。


「……ごめんね、まだ言えない……でも、必ずもう一度会いにくるから。」


「え? ええ、わかったわ」

 なんだろう? 心がツキンと痛む。


「侍従が来たから、もう行かなくちゃ。急いでやらないといけない事があるんだ……。絶対、会いにくるから!」


 立ち上がると2人は国境に向かって走って行く。


「え? アクア国に行くの?」

 と、つぶやく……。


 すると、男の子がくるっと向きを変えてこちらに走ってきた。

「絶対!!会いにくるからね!! それまで、婚約なんかしないでいて! お願い!」


 いきなりぎゅっと私を抱きしめる男の子。


「は、はい。大丈夫よ……」


「うん、……ほんとに行くね。じゃぁ、また!」


 頬にキスを落とし、走り去る男の子。


「き、きす。……抱きしめられちゃった」


 熱くなる頬に手を当てながら、しばらく彼が走り去った方を見ていた。


 アクア国との国境は今は検問無しで通れる。事件が起こった時だけ人が配置されるようになっていた。


「今は関所には人もいないし、無事に通れるわよね……また、会えるかな」


 会えたらいいな。


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