エピローグ ~出席番号3番 飯島愛花~
てんせいしてから、なんじゅうねんたっただろう?
それとも、なんびゃくねん?
ともだちだったひとたちは、もうだれもいない。
いや……ひとりだけ、まだいるはずだ。
ずっとさがしている、あのこが、わたしとおなじように、なんびゃくねんでも、いきつづけているはずのあのこが、どこかにいるはずだ。
わたしは、ぜんせでも、このせかいでも、りょうしんにすてられた。
だれからも、ひつようとされずにうまれてきた。
ただ、いっしょにいて、わたしをひつようだと、ほんしんでいってくれるひとをもとめた。
そうだ……あのこは、そんなわたしに、やくわりをあたえてくれた。このせかいには、わたしがひつようなんだと、ほんしんでいってくれた。
そんなやさしい、たいせつなともだちなあのこ。
なまえは……なんだっけ?おもいだせない。
たいせつなはずなのに、なんでだろう?なんで、なまえがおもいだせないんだろう?
……あれ?そういえば、わたしのなまえってなんだっけ?
おかしいな?なんで、なにもおもいだせないんだろう?
そういえば、ここはどこなんだっけ?
きりがふかいもり……なんでわたしは、こんなばしょにいるんだっけ?
「お久しぶりですねレイナさん。お元気でしたか?」
とつぜん、きりのなかからでてきたおんなのこから、こえをかけられる。
そのこは、ぎんいろのながいかみをもっていた。
……なんだろう?わたしは、このこをしっている?
なにもおもいだせない。でも、すごくなつかしいかんじがする。
「あ……うあ…………がが……」
あれ?ことばって、どうやってしゃべればいいんだっけ?
「魂の摩耗が激しいようですね。ですが心配しないでください。私が何とかしてあげます」
よくわからないことをいいながら、そのおんなのこがちかづいてくる。
「もうこれ以上、大切な友人を失わずに済みそうです。色々と試行錯誤した事が無駄にならなくてよかった……」
そういって、てのひらを、わたしのほうにむけてくる。
もしかして、まほうをつかおうとしてる?
わたし、なにもしてないのに、こうげきしてこようとしてる?
じゃあ、このこは、てきなの?
だったら、やられるまえに、さきにやらないと!
「エぐず、ぶロージョン!」
やった!さきにまほうをはつどうしたぞ!
ぎんいろのかみのおんなのこが、ほのおにつつまれていく。
「身体に染みついた行動というのは恐ろしいものですね。ですが無駄ですよ。存在次元を少しずらしてしまえば、私に攻撃を当てる事は不可能になりますから」
なにもなかったように、おんなのこが、ほのおのなかからでてくる。
あれ?なんで?
いままで、わたしがまほうをつかえば、あたったあいては、みんなしんでいた。
なんで、このこはしなないの?なんでへいきなの?
「少し手荒な事をしますが、我慢してくださいねレイナさん。アナタの身体から魂を引きづり出すために、一度殺します……『不老不死』のスキルがあるので、すぐに復活するでしょうが、少々痛いおもいはしますからね」
ころされる?ころされるの、わたし?
わたし、なにもわるいことしてないよ。
「私には、アナタの助力が必要なのです。また一緒に、この世界を盛り上げていきましょうレイナさん」
このこが、なにをいっているのか、いみはまったくわからない。
でも、なぜだろう……なみだがかってにながれてくる。
しぬのがこわいから?
ちがう。
うれしい?
わたしはいま、よろこんでいるの?
なんでだろう?すうひゃくねん、こんなかんじょうは、わいてこなかったのに。
なみだがとまらない。
なぜかわからないけど、うれしくてなみだがとまらない。
わたしは、このこにあえたことが、うれしいの?
「一度サヨナラですレイナさん。魂の扱いは、それなりに慣れてはきましたが、もし失敗しても恨まないでくださいね」
のばされてきたてが、わたしのむねをつらぬく。
いたい……くるしい……こきゅうがうまくできない。
ち、がいっぱいでている。
いたい、いたい、いたい、くるしい……
でも、なんだろう?
あたまのなかは、すっきりしてくるきがする……
「来るの遅いよアンちゃん……私…………ずっと、待ってたんだ……よ」
あれ?いま、わたし、なにかをかってにしゃべった?
なにをいったの?わたし?
いや、いまは、そんなことはどうでもいい。
とにかく、いたくてくるしい。
ち、がないぞうにはいってくるような、きもちがわるいかんしょくがする。
いえきが、ぎゃくりゅうするみたいなかんかく。
くちから、たいりょうのちがでてきて、むせる。
くるしい、くるしい……いたい……
いつのまにたおれたのか、じめんがめのまえにある。
おきあがることができない。
めがかすんでくる。
しぬのかな?わたし……しんじゃうの?
わたしに、ころされてひとたちも、こんなかんじだったのかな?
いたかったよね?くるしかったよね?
ごめんね……
ころさなくちゃならないりゆうが、わたしにはあった……あったきがする。
でも、もう、なにもおもいだせない。
ごめんね……ごめんね、みんな。
もうすぐ、わたしもしぬから、それでゆるしてくれるといいな。
やっと、しねる。
もう、しんでもいいんだ……
なにも、おもいだせないけど、もくてきはたっせいできた……そんなふうに、なぜかおもえる。
わたしは……もう…………
ごめんね……みんな……
ごめん……ね……




