第2話
お父様たちに騎士になることを許してもらってから1ヶ月。
明日はついに王都へ行く日。
この1ヶ月間、剣や魔法の練習とか色々な準備をしてきた。
・・・・・・けど。
「この洋服の量はどうしよう・・・・・・」
今、私の目の前には男物の洋服が山になっている。
一ヶ月、騎士になる許可をもらった翌日の早朝
「ユリア! 起きなさい! 今日は街に出かけるから早く準備しなさい!」
「??????」
それから私はあっという間に準備と整えられて街へと連れ出された。
街に着いたはいいけど・・・・・・。
「まだどこのお店も空いてないみたいね・・・・・・」
「当たり前じゃないですか。こんな早い時間に大瀬を開けているところなんてほとんどありませんよ」
「私はもう屋敷に帰りますよ」
こんな朝早くに連れ出してお母様は何をしたかったのかしら・・・・・・。
今日は弓の練習をしなきゃいけないのに。
「まだ帰ってはダメよ。それに、もうすぐお店も開くようよ」
「・・・・・・」
「何を買うのかと思ったら、私の男装ようの服ですか?」
「そうよ。師父は持って行った方がいいでしょ?」
確かに、1枚ぐらい持って行ってもいいかもしれないわね。
「じゃあ、1枚だけ選んでいきます」
「1枚だけじゃなくてたくさん買えばいいじゃない」
そんなにたくさんあっても使わないわよ。
そもそも、騎士になれたら制服が支給されるのだから私服なんてそうそう着ないし・・・・・・。
「一枚で大丈夫です」
「・・・・・・」
あの沈黙はこういうことだったのね。
こんなに山になるまで集めていたなんて全然気が付かなかった・・・・・・。
「お母様、この量は流石に使いきれないのですが・・・・・・」
「好きなものを持っていけばいいわ。さあ、早速着てみてちょうだい」
それから地獄の試着祭りが始まった・・・・・・。
「はぁ、疲れた・・・・・」
やっと解放されたと思ったら外はもう真っ暗になっていた。
途中からお父様やお兄様も参加することになった時にはどうなるかと思ったけど楽しかった。
王都に行く前に家族で過ごすことができてよかったかもしれない。
お母様に感謝しないといけないかしら?
コンコン
その時、誰かが扉を叩く音がした。
「?」
誰かしら?
「ユリア。起きてる?」
この声、お兄様だわ!
「ええ! 今行くわ!」
「お待たせしました」
「ごめん。もう休もうと思ってたよね?」
「大丈夫です。それより何か私に用事があ流のでは?」
「うん。それなんだけど」
そう言って、お兄様はポケットから箱を取り出した。
「これは?」
「開けてみて」
箱を開けてみると、中にはトパーズが埋め込まれたネックレスが入っていた。
石言葉は、成功や希望で家族や友人に渡すこの国では定番の宝石ね。
「僕の風魔法で付与を施しておいたよ。いざという時にユリアを守ってくれるように」
付与魔法・・・・・・。
全然気が付かなかったわ。
「お兄様、ありがとうございます」
「気に入ってくれた?」
「はい! もちろんです!」
私がそう答えるとお兄様は優しく微笑んだ。
王都に行ったらお兄様にもなかなか会えなくなってしまうわね。
なんだか、今更寂しくなってきたかも・・・・・・。
「ネックレスなので、いつでも付けられますね!」
「服の中にしまっておけば邪魔にならないしね」
「ユリア、寂しくなってきたんでしょ。それとも、怖い?」
両方かも・・・・・・。
自分でもよくわからなくなってきた・・・・・・。
「ユリアなら大丈夫だよ。今までずっと頑張ってきたんだから」
「お兄様・・・・・・。ありがとうございます」
一生のお別れなわけでもないんだし、こんなにしんみりしててもお兄様わ困らせてしまうわね。
「それから、言っておくけど僕もそのうち王都に行くからね?」
「え? そうなんですか?」
「うん。仕事で行くことになるよ」
なんだ、ならちゃんと騎士になって王都で待ってないと。
騎士になれずにそこらへんでうずくまっているところを見つかったら笑われてしまうわ。
「なら、騎士になった姿をお兄様にしっかり見せられるように頑張らないといけませんね」
「王都に行く楽しみが増えるね」
「じゃあ、僕はそろそろ部屋にもどるよ。ユリアもしっかり休んで。お母様にたくさん服を着せられて疲れてるでしょ?」
「それは言わないでください・・・・・・」
思い出すだけで疲れてくる・・・・・・。
「あはは。おやすみ、ユリア」
「もう! 笑い事じゃありませんよ!おやすみなさい、お兄様」
翌日、私は男装をして玄関へ向かった。
今日は、いよいよ王都へ出発する日だ。
玄関にはこの屋敷の人たちがたくさんお見送りに来てくれていた。
「ユリア、忘れ物はない?そんなに荷物が少ないと王都に着いた時に困ってしまわない?」
「大丈夫ですよ、お母様。そんなに心配しないでください」
「娘が1人で王都に行くのに心配しないという方が難しいわ!」
お母様、こんなに心配性だったかしら?
「ユリア、騎士団の入団試験頑張ってね」
「はい、ちゃんと騎士になるので王都に来た時には見にきてください」
「その時はうっかりユリアって呼ばないように気をつけないとだね」
「私も、お兄様って呼ばないように気をつけないと・・・・・・」
「ユリア、気をつけて行ってこい」
「はい。お父様」
お父様もお見送りに来てくれるとは思わなかったな。
その時、王都に向かうようの馬を使用人が連れてきた。
王都の途中までは馬車ではなく馬でむかう。
そこまでは使用人を一人連れて行って馬を持ち帰ってもら右予定だ。
ほんとは馬車で行く予定だったのだけど・・・・・・。
家の家紋が入っていない馬車がなくて結局馬で行くことになった。
この国の貴族のほとんどが家紋を入れているけれど、今回初めていらないって思ったわ・・・・・・。
でも馬でもたひもきっと楽しいわよね。
「お嬢様、そろそろ」
「ええ。そうね」
「それじゃあ、行ってきます!」