子供と結婚2
さっきから何だかな会話が変だわ。
『けっこん』だとか、『おめでとうございます。』とか。
「私は、買われた訳じゃない…の?」
「買う?けっこんだぞ?」
けっこんはよく分からないけど『人を買う』って事じたい知らないんだ…この子。って事は売られてないんだ!
…けど、誘拐だよね。
はぁ…3年前から良い事なし…。私が何をしたっていうの…。
それにしてもアイザック坊っちゃん、まだまだ子供なのに、何故『けっこんする』とか言い出したの?田舎の靴屋の女と。
会った事ないと思うんだけど……。
「む…こっち見るな!オレ様の顔を見るのは有料だ!」
顔が真っ赤…
「じゃあ見ない。」
「…っ!」
あ、涙目に!
「ウソウソ、ちょっと言っちゃっただけだからね。」
「そうか、なら許してやる!!」
何だろう、この子…。偉そうに…。
ツンツンして可愛いけど。
「あの…シロというと所にはいつつくんでしょうか?」
「あと10日です。今日はここに泊まります。」
「…っ10日!?」
って事は、その間に逃げられるわ!
「帰ったら、すぐけっこん式だぞ!」
「……」
「答えろ、売られたいのか?」
この男…、人の意識おとしておいてよく言えるよね。だけど、売られるよりましよ。
「うん、そうだね。」
私がいうと、ニコっと笑った。その顔は可愛いんだけど、『けっこん』はしないわ。
「今日はドロシーと一緒に寝る!うれしいか?」
「……」
「うれしくないのか?」
「嬉しいよ。」
「そうか、やっぱり『いしんでんしん』だな!」
何がやっぱりなの…?
「…服がありませんので、帰らせてくさい。」
私の服は泥まみれ。
「こちらで用意します。」
「そうだぞ、可愛いの選んでやるからな!」
男の子がニコニコしている。
「用意しなくてもいいし、選んでもらわなくてもいいし…帰らせて…。」
「…けっこん…するんだ。もうけっこんしたんだっ!」
「え?」
「それは冗談ですが、将来はそういう事になります。」
勝手なこと言わないで欲しいわ。
「何処の貴族なのかお金持ちなのか知りませんけど、お断りします。」
「ハァ…、アイザック・ルートニア様と聞いて『わからない』…など、どういう教育を受けているのですか。」
ムカつくわ、この髭眼鏡のオッサン…
「どこの誰だか知らない程度の貴族様なんですね。」
「口を慎みなさい!彼はこの国の王太子なのですよ!」
「へぇ…王子だか王太子だか何だか存じませんが、そんなに有名な方がなぜ私と結婚する事になるのか、それの方が解らないわ。」
「それはもうどうにもなりませんので。」
「…どうにでもなるでしょ。家に帰して。」
私と髭眼鏡が話してるのも気にせず、坊っちゃんが話に割って入ってきた。
「ドロシー、この水色のワンピースにしよう!」
目がキラキラしてる。
「服じゃなくて、何を聞いてたの、アイザック坊っちゃん……ん?」
…ちょっと、アイザック坊っちゃん、その服の値札見ましたか!?私がいつも買う服の100倍の値が…!
後で請求されたら、私はとぶわよ。
「…オレの選んだ服を着たくないのか?」
「いや、そうじゃなくて…え?あの、泣かないで。着るから。」
我が儘にも程があるでしょ。まわりも何とか言いなさいよ。
「はぁ…。わかりました。とりあえず1度行きます。」
「ドロシーは帰らないぞ。ずっと城で住むんだ。うれしいか?」
「……」
「う、うれしくないのか?」
「嬉しいよ。」
「そうか!やっぱりドロシーもオレのこと好きなんだな。」
もう、そういう事にしておこう。
それから9日間、我が儘なアイザック坊っちゃんとお買い物したり、ご飯を食べたり。
『ご飯を残さず食べなさい』って言って泣かれたり、夜は一緒に寝たり…これは子守りじゃないの?
逃げようとしても、このノートンとかいう男に絶対捕まるし…。
『けっこん』だなんて言ってるけど、そのうち彼女が出来て『金はいくらでもやるから出ていけ。』とか言われるんじゃない?…それもアリだわ。別に結婚て執着ないし、1人でこの先暮らせるお金を手に出来ればいいよね…。