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夏の俳句(その3)

作者: まのやちお

『実習の 試食 汗散る赤鬼か』


 私が(かよ)っていた中学校では、年に一回夏休み前に男子の調理実習があり、メニューはきまってカレーライスでした。

(ちなみに、女子は別日程でデザート付きの和定食)

 試食は各クラスの担任の先生のお役目です。どの先生も朝からソワソワしていました。

 うちのクラスは学年一のワルガキ揃いのクラスでしたから、先生も覚悟はしていたようですが。

 その年のカレーは歴代一の激辛で、ライスが隠れてしまう大盛り。しかも先生のライスにはタバスコがたっぷり振りかけられていました。

 お盆に一緒にのっていたコップの水をこっそり持ちさろうとしていた悪戯っ子が他のクラスの先生に捕獲されるにいたり、職員室は大笑い。

 先生は苦笑いしながら豪快に一口ほお張ったあと水を一気に飲み干し、

「美味いっ!」と叫びました。

 その時の先生の顔はまるで赤鬼のようで。

 首まで真っ赤になった顔から汗が噴き出し、普段からおっかない顔がさらにおっかなくなっていましたね。

 保健の先生だけが「血圧、血圧が……」とオロオロしていました。

 先生って大変ですね。本当に。

 この後、うちの男子も同じ激辛を食べたわけで、「辛いよぉ。ニンジンが固いよぉ」と泣いていました。




『風呂帰り 遠き闇より 牛蛙』


 牛蛙の鳴き声って、ちょっとユーモラスでのどかに聞こえますけど、正体を知らないとけっこう不気味なものです。


 幼い頃、(うち)には風呂が無く、近くの銭湯に(かよ)っていました。

 若い父と母は働き者でしたがお金はあまり持っていませんでした。

 将来を考えると不安だったろうと思います。

 風呂上がりのフルーツ牛乳が楽しみだったあの銭湯は、今はもうありません。

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