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初めての魔法

目を覚ます。

少しずつ見慣れてきたギルドの一室の天井が見える。

寝ぼけながらも、寝ている間に[特技]が勝手に発動してないかを確認しつつ身だしなみを整え食堂へ向かう。夜にまだ食堂に来たことがないので酒場としての一面を見たことが無い。

今度来てみようと思いつつ、食堂のおばちゃんに今日はサンドイッチでは無く日替わり朝食を頼む。

おばちゃんに「昨日は大変だったみたいだねぇ」と笑いながら言われおばちゃんの情報の早さに驚きつつ「えぇ、大変でしたよ。本当に」と返しつつ今日はお金を払う。日替わり朝食の値段は300リルだった。

日替わり朝食はその名の通り日替わりで内容が変わる。その日何が出てくるかはおばちゃんの気分次第だ。

今日のメニューは、卵の目玉焼きと米に味噌汁…っぽいスープだった。なんだかとても和風チックだが自分以外にも稀に転生者が来た事があるとのことなので珍しくは無いのだろう。

食べ終わり、受付に居るエルさんに一旦南の大門にいる門番のカインの所に行くので少し待っていてほしいという旨を伝えギルドを出て南の大門へ向かう。

南の大門に務めている方に取り次いで貰いカインさんと顔を合わせる。

お互い微妙な雰囲気が漂ったが、カインの方から切り出してくれた」


「…ここに来たってことは本当に昨日の女の子はフウガだったんだな」


とものすごく微妙な顔で言われる。


「正直たちの悪い冗談か夢かと思った」


「もういっそ笑い飛ばしてくれた方がぐらいですよ…」


「じゃあ次に女の子の姿になったときは笑い飛ばしてやる」


「なんかそう言われるとやめてほしい気持ちでいっぱいになります…」


「ちなみに今やろうと思えば女の子の姿になれるのか?」


「えぇ、なれるはずです」


なれるからといってそう頻繁になりたくはないけど…


「じゃあ本人だとわかったことだし一応冒険者証を見せてくれるか?」


「わかりました。」と冒険者証を渡す。

カインは冒険者証を一通り見て一応間違いが無いことを確認した後返してくれた。


「これで昨日の一件は終わりだ。すまなかったな、こっちまで来てもらって」


「いえ、こちらこそご迷惑をおかけしました」


用事も終わったのでカインと別れて、冒険者ギルドに戻る。

再び受付でエルさんに声をかける。


「お待たせしました」


「いえ、大丈夫です。ところでなんの御用事だったんですか?」


「いやあ…昨日女の子のまま門で検査を受けたんです。こういう変わった[特技]なんですって正直に言って信じてもらえたんですけど一応確認のためって事で、今日元に戻ってたら本人確認させてくれって言われたので行ってきました。」


「なるほどです……大変ですねふうちゃ…いえ、フウガさん」


リラさんは昨日言っていたように包み隠さず話したようだ…


「もう…からかわないでくださいよ…さ、さぁ今日は魔法を教えてくださるんですよね!」


多少強引だが無理矢理話を変える。


「そうですね。しかし初歩とはいえ少し危険なので場所を変えましょうか」


そう言い今度はフロア左の階段の方に歩き出す。そっちには階段以外にあるのだろうか。

エルさんは階段…では無く階段の裏側にある扉を開ける。


「そこに扉あったんですね」


「ありますよ。特に隠していると言うわけでは無いんですけど場所が場所だけにあまり知られていないですね。」


扉の中は地下に繋がる階段があり、階段を抜けると広い空間が広がっていた。


「ここは魔法や武器を練習するのに使えるようになっているんです。小規模ですが防魔結界が張ってあるので多少魔法が暴発しても大丈夫です」


どうやら魔法の練習にはうってつけな場所のようだ。


「まず魔力を感じる所から始めましょうか。感覚としては、心臓を中心として血管を血液とともに流れているものを知覚する感じですかね」


心臓を中心として…?ふと昨日元に戻るときに感じた心臓のあたりから温かい光に包まれる感覚を思い出す。

もしかしてその要領だろうか。感覚を思い出しながら集中する。

すると心臓の辺りから体中に向かって流れる温かい流れがあるのがわかった。


「あっなんか温かいのが流れてるのがわかります」


「早いですね…もっと時間がかかるかと思ったんですが…もしかしたら才能があるのかも知れませね。魔力が感じられたなら次の段階に進みましょうか。

そうしたらまずは魔法をどうやって出すのかを教えましょう。まず魔法を使用するのに一番必要なのは想像力です。こんなふうにまずは手の指先に火を出す練習から始めてみましょう」


そう言って手の指先から火を出して見せてくれる。初めて見る魔法っぽい魔法に心が躍る。

とりあえず見よう見まねでやってみる…だがつかない。イメージが足りなかったのだろうか。

今度は体内の温かい力を出せるだけ出し、燃える炎をイメージして発動しようと試みるがつかない。

ただイメージするだけではだめなのだろうか?

すると、


「体内の魔力は呼び水だと思ってください。体内から出した魔力を触媒にして魔法を発動させる感じです」


なるほど、なら元の世界でいうガスコンロのようなイメージはどうだろうか。ガスを体外の魔力として火種を自分の魔力としてイメージし、再度発動を試みる。

するとボッと音がして指先に小さな炎が現れた!


「やった!できた!」


しかしそれで集中が途切れたのかポンッと音を立てて消えてしまった。


「おめでとうございます。発動できましたね。ですがまだまだ練習が必要なようです。基本はできたみたいなので後は練習有るのみです。私は一旦仕事に戻りますね」


どうやらギルドの仕事を後回しにして魔法を教えてくれていたようだ。

部屋を出て行くエルさんにお礼を言い、エルさんが外に出るまで見送った後練習を再開する。

とても集中していたため、昼になり午前中の仕事を終えたエルさんが昼食を持ってきてくれ、声をかけられてその声に気付くまで魔法の練習は続いた。



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