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初依頼

目を覚ます。昨日と同じ状況だが今回目覚めたのはベットだ。昨日起こった事は夢だったのでは無いのかとも思うが、自分の部屋では無い場所で寝ていたこと、微かに聞こえてくる外からの喧騒が夢である事を否定してくる。

昨日聞いた話だと、1日は前の世界と同じく24時間だそうだ。今は…9時ぐらいだろうか。

そういえば、お金の単位であるイムは大小の鉄貨、大小の銅貨、銀貨、金貨で分かれ、小鉄貨は1イム、大銅貨は10イム、小銅貨は100イム、大銅貨は1000イム、銀貨は1万イム、金貨は10万イムがあり、それ以上に高価な硬貨もあるようだが商会などの人で無ければ一般の人はまず使わないそうだ


軽く身支度を整え、昨日通った通路をなぞり受付がある1階に向かう。

僕が1階に来たことに気付いたエルさんが受付のカウンターから出てきてこちらに向かってきた。


「おはようございます。昨晩はよく眠れましたか?」


「おはようございます、エルさん。おかげさまでよく眠れました」


「そうですか。それはよかったです。ではとりあえずおなかも空いてるでしょうし、朝食を食べててきたらどうですか?」


といいつつ大銅貨5枚、5000イムを渡される。


「いいんですか?5000イムも貰ってしまって」


「気にしないでください。ギルドにも転生者が来た時用に予算があります。そこから出してますから遠慮せずに受け取ってください」


経費で落ちるというので素直に受け取ることにする。


「実はギルドには食堂兼酒場があるんです。場所はこの二階に上がる階段の反対側に入り口があります」


昨日はフロアの左にある階段を使って二階に行ったので気付かなかったが、フロアの右側には通路があり、そこから行けるようだ。


「行ってみます」


「食事が終わったら声をかけてください。早速依頼をお受けになるなら、依頼選びを手伝いますので」


「わかりました、様子見を兼ねて依頼を受けようと思ってるので後でまた声をかけますね。」


エルさんと別れ、食堂兼酒場に向かう。


通路を抜けると元の世界で言う学食のような食堂がある。カウンターに行って注文する形式のようだ。

カウンターに近づき、カウンターの中にいるおばちゃんに話しかける。


「注文いいですか?」


おばちゃんはこちらに気付き反応を返してくる。


「はいよー、何にする?」


注文もなにもメニューを見てないことに気付いた。


「何かおすすめはありますか?」


と聞いてみる。


「んーそうだねぇ日替わり朝食かハムと野菜のサンドイッチってとこかね」


無難にサンドイッチにしておこうか。


「じゃあサンドイッチでお願いします」


「サンドイッチだね。今空いてるからすぐできるよ。そういやアンタ見ない顔だねぇ、あっもしかして昨日来たって言う転生者の兄ちゃんかい?」


もう結構広まっているのだろうか。


「いちおう、そうみたいです。まだ実感はそれほど湧いてないんですけど…」


「そうかい、そりゃあそうだろうねぇ、まぁうちの飯食べて元気出していきな!」


「はい、ありがとうございます」


パワフルだなぁ、食堂のおばちゃんって感じがする。


「名前を聞いてなかったね。アンタ、名前は?」


「楓翔っていいます」


「フウガちゃんか、憶えとくよ」


ちゃんって…と思いながら少し待つとサンドイッチができたようだ。


「はい、おまちどうさま!」


「いくらですか?」


「今日は初めてだし、おばちゃんのおごりにしとくよ。またきておくれ!」


払うお金はギルドから貰った者だが、せっかくだからお言葉に甘えよう。


「ありがとうございます。また来ますね」


おばちゃんにお礼を言い、適当な椅子に座りサンドイッチを食べる。


「あっおいしい」


昨日のパンもそうだが、異世界ということで勝手に硬いパンや味気ない料理だと思っていたが全然そんなこと無く美味しい事に驚く。

とても美味しかったのですぐ食べ終える。

おばちゃんに少し会釈をして食堂を後にしエルさんがいる受付に向かう。


「エルさん、お待たせしました」


「いえ、今はだいぶ空いているので問題ありません。では、早速依頼を選んでみましょうか。」


そう言ってフロア中央の掲示板に歩き始めたのでついて行く。


「昨日も申し上げたように慣れるまでは魔物を相手にするより、薬草などの採取依頼がいいです、いや、そうしてください。多く見つければそれだけ報酬も上がりますから」


「わかりました。今日は薬草採取を受けてみますね」


「そう言っていただけて嬉しいです。薬草採取は常時依頼ですので種類や採取量に合わせて報酬が変わります。

薬草図鑑と、もし魔物に襲われた時のために武器を貸し出しますから王都からも見える位置にある、王都から見て南西にある森に行ってみてください。森には薬草が多くあるはずです」


エルさんはあらかじめ持っていた薬草図鑑を僕に手渡すと、一旦カウンター内に戻り短剣付きの大きめのポーチと成人男性の腕の長さほどの長剣を持ってきた。


「王都にいくら近くても森の奥にはウルフなど、弱いながらも魔物がいるのでまだ近づかないようにしてくださいね」


念を押されたが今日は魔物と戦闘するつもりはないので問題は無いだろう。

エルさんに見送られながらギルドを出て昨日とは反対方向に向かう。南の大門に向かう途中、ポーチの中を確認すると、下級回復ポーションとラベルが貼られたほのかに光る液体と[もし怪我をしたら患部にかけるかそのまま飲むかしてください]

と書かれたメモ書きが入っていた。エルさんが入れてくれたのだろう。エルさんに感謝しつつしばらく歩くと南の大門に着いた。商人が乗っているのだろう馬車などが並んでいるがそれほど混んではいないのですぐに出られるだろう。

待っているうちに自分の順番が来た。審査を行なっていたのはカインだった。


「お!フウガじゃねえか」


「昨日ぶりです。カインさん」


「その様子だと無事冒険者になれたみたいだな。外に行くって事は初依頼か?」


「はい!薬草の採取に行ってきます」


「そうか、城壁内と違って外は魔物が出るからな。十分気をつけろよ!」


と通してくれた。そういえばカインの[特技]は何なのだろうか。門番だから槍術とかな?今度聞いてみよう。

と決めつつ西南へ向かう。

南の大門を出てから数十分歩くと森に着いた。

周りに誰も居ないのを確認し剣を鞘から出して、少し振ってみる。あまり奥に入らない予定ではあるがもしも剣を使わざるおえない状況に陥った場合、その状況で初めて振る。ではまずいだろう。

少し手に馴染むまで剣の素振りと感触を確かめる。今日は魔物と戦闘をする訳ではないので、また今度でいいだろうと薬草探しを始めることにする。

木々の間には草が生い茂っているので、それほど時間もかからずに採取できるだろう。



森の奥に入らず、少し歩けば外に出られるくらいの場所で薬草探しを開始してから数十分が経過した。

まだ一房も採取できていない。


「おかしいなぁ…エルさんが言うにはこの森には緑陽草と運が良ければ陽黄草が採れるはずなんだけど」


緑陽草は一般的に今ポーチの中にあるような下位ポーションの材料であり珍しくは無いらしい。

色は緑だが淡く発光しているため薬草図鑑を判別すればすぐわかるそうだ。

陽黄草は緑陽草より珍しいがその分効果が高く、買い取り価格も高い。是非陽黄草も見つけたいものだ。

陽黄草はおろか、緑陽草すら見つからないので少し奥に入ってみることにする。するとこれまで見てきた雑草とは明らかに異なり、淡く発光している草があるのが見える。近寄って薬草図鑑に記載された特徴と照らし合わせてみると緑陽草であるとわかった。

無事見つけられたことに喜びながら薬草は傷があると効果が薄れて買い取り金額も下がるので、なるべく傷が付かないよう採取する。


なんとか傷を付けずに採取することができた。周りを見渡すと奥にまた淡く光る草があるのがわかり、嬉々として近寄り採取を開始する。

森の奥に少し入っただけでとんとん拍子で緑陽草が見つかったのであまり奥に入らないようにという警告を完全に忘れ、森の奥に入っていった。

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