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スライムで王都に帰る!

胸ポケットから周りを見ているとヘルミネが話しかけてきた。


「その姿だと小さくなる以外に何かできたりするのか?」


「えっとね、えーと酸?が出せるんだって」


「酸?…あぁ、スライムが出していた液体のことか」


「うん。そうそう。ちょっと出してみよっか~」


「見せてくれるのか。だが危なくないのか?」


「当たらなければだいじょぶ~でもここからじゃ危ないからおろしてー」


下におろしてくれたので[酸]を使ってみよ~!スライムが酸を出したときをイメージしてみる。

すると喉に液体がたまるかんじがしたから近くにある草に口からはきだしてみた。


「うーーぷぇっ」


はきだした酸は草に当たった。草は煙を上げてとけた。


「おぉ~!すごい!とけたぁ!」


「ほんとに酸を出したのか…しかもなんかスライムの酸より強くないか…?」


「そうー?わかんない」


「…とりあえず王都に帰ろうか」


「うんーそうだねー」


また小さくなってヘルミネのポケットに入る。ポケットに入ったらねむくなってきた。なんか疲れたぁ…もしかして酸を出すのには魔力を使うのかも?後で考えよう。今はもうねむいや…


「ちょっと疲れちゃったからねるね?何かあったら起こして-」


「あぁ、わかった。王都に入るときに起こす」


ヘルミネの言葉を聞いて目を閉じた。



「……い、おーいフウガ起きろー」


ヘルミネの呼ばれてで目をさました。まだねむい…

起きたての頭でポケットから顔を出して周りを見るとたてものの中のようで、前のイスにはこまった顔のカインがいるのを見つけた。


「おぉーカインだーやっほー朝ぶりだねー」


「………おう、お前…ほんとにフウガか…」


「そうだよー」


「そ、そうか…今度は何だスライムか?」


「うんー」


「今度は姿どころか口調まで変わってるじゃねぇか!?一体どうしたらそんなことになるんだ…」


「スライムのはいた酸を浴びたら変身しちゃったんだーあとなんか頭がふわふわしててうまく考えられなんだー」


「頭がふわふわってお前…前も聞いたが大丈夫なのか?」


「うんーだいじょぶーあと1時間くらいで元に戻れると思うよー」


「そうか…大丈夫ならいいんだ大丈夫なら…」


「ヘルミネ…フウガはずっとこんな感じなのか…?」


「あぁ、森で変身してからずっとこんな感じでな。たまらず王都に連れて帰ってきたがこれは極力他の連中にみせないほうがよさそうだな」


「そうだな…とりあえず今日の所は。ギルドの部屋に連れてってやってくれ。一応本人確認のために元に戻ったら明日南の大門に来てくれと伝えてくれ。今言っても良いが本人がこの様子じゃ憶えてるかどうかわからん」


「了解した。伝えておく。それはそうとこのスライム状態のフウガも狼の時と同じくらい可愛いと思わないか?」


「お、おう…そうだな…?」


「砕けた口調になっているのもたまらん。加えてこの無防備さときた」


またかわいいなんて言って…ボクは男の子だよ?可愛いなんて…


「それに人と違っていかにもぷにぷにじゃないか!是非触れて見たいがフウガ自身がこの状態じゃさすがにーー」


「あーわかったわかった触れていいかどうかはギルドの部屋で本人に聞いてくれ。とりあえず今日は終わりだから早く部屋に連れて行ってやれ…」


「…すまないつい熱くなってしまった。フウガは責任持って送り届ける。元々こんなことになったのは私のせいでもあるのだからな」


「何があったのかは聞いたが礼は後で本人に言え。フウガも、あんまり無理するなよ?」


「うんーわかったー」


「ほんとにわかってるのか…?まあいい。じゃあな、俺はまだ仕事が残ってる」


カインは仕事にもどっていった。


「我々もギルドに向かうか」


「うんー!」


ポケットの中に身を潜めギルドに向かう。

ときどき見える外の見え方がだいぶちがった。



しばらくしてギルドについた。そのまま部屋に行く。


「部屋の鍵をポーチから出してもいいか?」


「うん。おねがいー」


ヘルミネが持ってくれていたボクのポーチから鍵を出す。鍵を使い中に入る。

ヘルミネはボクをポケットから出してゆかにおろしてから言う。


「シャワーを貸して貰っていいか?戦闘の汗もそうだが冷や汗なんかも合わさって気持ちが悪い。」


「どぞー」


スライムなこのからだでベッドに行ったら湿っちゃうのでイスにすわってぼーっとする。

20分くらい経った。ヘルミネはまだ出てこない。シャワー長いなーと思っているとからだが

魔力につつまれる。おーやっともどるのかー2つ目の変身なのに随分と変わったのに変身する…まって滅茶苦茶恥ずかしいんだが!?

変身解除にあたって、頭の靄が晴れてくる。晴れてくるにつれてスライムの姿に変身したときの口調言動考え方ヘルミネやカインへの接し方を正常になった頭で考えれば考えるほど恥ずかしい。穴があったら入りたい…そうだ壺にならスライムで小さくなれば入れ…いやいやいやいや何考えてるんだ自分は!?…落ち着け、一旦落ち着こう。

椅子から立ち上がりベットにうつ伏せでボフンとダイブする。

改めて思い返すと、スライムに変身した途端に頭に靄がかかり難しいことを考えられなくなったように感じる。

その後は……


「うわぁぁぁぁ!」


正直悶絶して大声で叫び床を転げ回りたいがここはギルドの一室である。しかもシャワールームにはヘルミネがいるので枕に顔を埋めて極めて小声で絶叫する。スライムへの変身はいろんな意味で危険だ。あまり変身しないようにしたいと思いつつスライムの姿の時の能力について考える。まず小さくなれる。これはヘルミネのポケットに入るのに使用したとおりだ。次、酸だ。これもスライムと同じ、もしかしたらあの時ヘルミネが言ったようにスライムより強い酸を出せているのかも知れない。

3つ目は物理攻撃無効だ。これは言わずもがなスライムになることで物理的に傷を受けなくなるのだろう。

そういえばスライム状態では魔法は使えるのだろうか?狼娘の時はちゃんと思考できたがスライムの姿だと頭に靄がかかるため

発動できるかは謎だ。できるだけスライムには変身したくないが検証はしなければ。明日ヘルミネに手伝って貰うかして検証をしよう。


「おぉ、変身が解けたか。スライムの酸を食らった傷は残ってないか?」


ヘルミネがシャワーを浴び上がったようだ。それを確認し、一応傷を確認してみるが綺麗に無くなっていた。


「ああ、大丈夫だ」


「そうか…よかった。すまない、私の不注意で結果的に傷は無かったが危険な目に遭わせてしまった。そして助けてくれたこと、心から感謝する。ありがとう」


「いいんだ。僕が自分の意思でやったことだからな。ただスライムに変身した後のことは…」


「わかってる。他の連中に個のことは言わないようにする。だが…可愛かったぞ?」


ニヤニヤした顔で言われ、顔がかぁぁっと熱くなる。


「やめてくれ…」


顔を再び枕に埋める。


「口調と無防備さが特に…な」


「ぁぁぁぁぁ」


再び枕で絶叫する。


「それはそうと、その様子だと憶えてそうだが一応言っておく。カインが明日南の大門に本人確認で来てほしいそうだ。」


「……あぁ憶えてる。わかった」


「それにしてもさすがにあの状態のお前にぷにぷにさせてくれなんて言い出せなかったが今ならいいだろう。是非ぷにぷにさせてくれないか!一目見た瞬間にぷにぷにしたいと思ってたんだ。昨日の延長だと思って!」


またか…そんなに触りたいのか…?


「頼む!明日剣を教えるから!」


………剣を、技を習うのは早い方がいいだろう。なんだか口車に乗せられている気がするがしょうがない。


「しょうがないな…わかったよ」


「おぉ!そうか!なってくれるか!」


ほんとこの時はテンション高いな…

変身、スライムと念じると魔力につつまれる。

……また、頭がふわふわと……

変身してすぐに体を抱き上げられベッドの端にすわっていたヘルミネのひざの上にのせられる。


「あぁ~!やっぱり可愛いぃ!狼娘の時とはまた違う可愛さがぁ!」


ほっぺをどっちもうにうにぷにぷにされながら気付いた。さっきより頭のふわふわが軽い…?

どちらにしろさっきよりも()()()な返事と思考ができそう。

考えをやめて前にしせんを向けるといつのまにかヘルミネに抱きかかえられてかがみの前に着ていた。

スライムと化した自分の姿が目に入った。…見事にヒト型のスライムだぁ。狼娘のときと顔の形は同じだけど足先から頭まで見える範囲全てすき通っていて自分の体越しにヘルミネの服が見えているのがなんともふしぎだ。

普通髪があるところを見てもそこには髪のようなスライムの体がある。ためしにさわってみるとさわられれている感覚がある。

これもふしぎな感じだ。

まじまじと自分のすがたを見ていたら急に後ろから抱きしめられた。


「うぇ!?」


急に抱きしめられたのにもびっくりしたけどそれ以上に、自分の体が抱きしめる手に合わせてぐにょんぐにょん変形しているのにびっくりした。しかも人だとあり得ないかたちになっても痛みとかを感じないのがちょー不思議。


「体もぷにぷにしてる!あぁ、幸せだぁ…」


ヘルミネはひとしきりボクの体に触れて満足したのかイスにおろしてくれた。



しばらく放心してると30分経ったようで魔力が体を包み元の体の感覚と思考力が戻ってきた。

窓から見える景色はすっかり夕方だ。

よほど嬉しかったのか手を未だにわきわきさせながら心ここにあらずなヘルミネに苦笑しつつ話しかける。


「嬉しいのはわかったからとりあえず依頼の達成報告しに行かないか?」


ヘルミネははっとした顔になって顔をこちらに向けた。


「あ、あぁ、そうしよう」


各々のポーチを持って受付へ向かった。



受付にはリラさんが居た。

「フウガさんにヘルミネさん!お疲れ様ですお二人が一緒に居るって事は森で会ったんですね!

あれ?でもさっき1回を通りかかったのはヘルミネさんだけでしたよね?フウガさんはいつギルドに着かれたのしょう?」


見られてたか…だが正直に話すと碌な事にならなそうなので白を切ろう。


「ヘルミネとは少しずれてギルドに入ったから僕が入ったときには見てなかったのかも知れないね」


「そうですか。ま、何か隠している気もしますが今はお二人が無事帰って来られたことを喜んでおきます!」


…なかなか鋭い。だが見抜かれてないから…


「では改めて、依頼の完了ですね!魔石を確認します!」


スライムの魔石を渡す。


「フウガさんは30個、ヘルミネさんは23個ですね。合計でフウガさんは18000イム、ヘルミネさんは13800です!」


銀貨一枚と大銅貨八枚を受け取った。だいたい宿屋で四泊できるくらいの値段だ。


「お疲れ様でした!またお願いしますね!」


受付を離れた僕らはこのまま夕飯を食べるべく、黒猫の宿屋に行くことにした。

ギルドを出て黒猫の宿屋に向かう。ヘルミネは黒猫の宿屋に泊まっているのだという。

ヘルミネもエルさんと同じく黒猫の宿屋の太鼓判を押していた。



黒猫の宿屋に着くと今日もミルが接客をしていた。


「いらっしゃいませ!あっ!フウガさんとヘルミネさん!二人は知り合いだったんだね!今日は二名様でよろしいでしょーか?」


「うん」


「二名様ご案内です!空いてるカウンターにどうぞ!」


厨房が見えるカウンターに通された。

今日は何にしようか…


「ここはオムライスもあるがウルフ肉のごろごろ焼きもおすすめだぞ」


肉料理か…ん?


「魔物は倒してしばらく経つと魔石になって消えるのにどうやって肉を採ってるんだ?」


「実はな、しばらく経って消える前に頭から切り離すと肉体は残るんだよ。だからよほど余裕が無いとき以外は戦闘終了後に頭から切り離して持ち帰ったり剥ぎ取ったりするんだ」


だからワンピースに付いた血は残っていたのか。


「へぇ~そうなのか…次にウルフと戦うときは憶えておいて損は無さそうだな」


「あぁ、体を持ち帰るとそれなりの値段で買い取ってくれるしな。普通ウルフの肉は臭くて食べれたもんじゃないがここのウルフの肉は格別でな、臭みがほぼ無い上に柔らかいから人気なんだぞ」


それは食べてみるしか無いな。ちょうどミルが通りかかったので二人してウルフ肉のごろごろ焼きを頼んだ。

待っている間ヘルミネが教えてくれたが、皮膚が硬かったり鱗が硬い魔物の素材は入手難易度が高いため、とても稀少らしい。しかもそういった魔物は決まって倒すのも容易ではないため更に希少価値が高いのだそうだ。

話しているうちに料理が届いた。


「お待たせしました!ウルフ肉のごろごろ焼き二つお持ちしました~!」


料理を受け取り早速食べる。肉を口に入れた瞬間味が口の中いっぱいに広がった。しかもこの味、元の世界の味付けに似ている!


「こ、これは醤油の味に似ている…!」


「おぉ、よくわかったな。ここの味付けはしょーゆというもので味付けしているらしい。だが前店主に聞いたがこれでも本来の味には及ばないらしい」


たしかに、元の世界の醤油の味とは少し違うがこれは十分すぎるほど[醤油ソース]として機能している!

それ以降は無言で食べ進め、気付いたときにはもう肉が無くなっていた。オムライスの時にも思ったが異世界にきて醤油の味に触れられるとは思わなかった。とても嬉しい。

ヘルミネが食べ終わるのを待って会計をする。900イムであった。

会計を済ませ、ヘルミネに明日は剣を教えてと頼むと「無論そのつもりだ。」と返ってきた。地下練習場で待ち合わせをし、ヘルミネと別れてギルドの部屋に戻る。

シャワーを浴びて寝よう。

シャワー室に向かいシャワーを浴びる。ふと鏡を見ると一瞬狼の耳と尻尾が生えていないものの変身後の女の子の

自分の姿が映った気がして二度見するがそんなことは無くいつもの見慣れた自分の姿だった。ただの見間違いだったようだ。

その後何度か鏡を見たが同じ事は起こらなかった。

胸の奥に少し、ほんの少しのもやもやを抱えたまま、ベッドに横になり外を見ている間に寝ていた。

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