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魔力過多と道具屋番外編集  作者: 梅谷理花
新キャラが登場したので2
5/11

レイフが休暇を申請したわけ(本編第41話前提)

ウォーレン歴8年 向寒の月某日 夕方




 魔術道具の研究室でやっていることはけっこう地味だと、レイフは思う。


 古代から現代の魔術道具を集めてきて、魔法で回路を逆回転させて浮かび上がらせ、模様を専用の用紙に写し取る。


 そしてそこから、どの模様がどのように作用してその魔術道具を作っているのか、考察していくのだ。


 簡単にたとえると、古文書の解読と似たようなものだろうか。


「こーれがこうだからこうか?」


 レイフは自分が担当している魔術道具の模様から一部を取り出してきて、試しに魔力を込めてみる。


 模様がうまく光れば、その模様が一組の魔法として成立していることになる、のだが……。


 なぞる端から、魔力の光が消えてしまう。


「あー、ハズレ」


 こんなことばっかりだ。レイフはため息をついて模様の解読をやりなおすことにした。


 と、そのとき。どやどやと研究室の入り口のほうが騒がしくなる。レイフは顔を上げた。


 なにやら役人っぽい服を着た数人が研究室を訪ねてきたようだった。後輩がオロオロしながら対応している。


「ふーん?」


 レイフは好奇心にかられて立ち上がる。奥の方で何事かと教授も立ち上がったようだった。


「何事かね」


 教授が役人たちの前に行くと、後輩たちはそそくさと去っていく。レイフはさりげなく話が聞こえる位置に移動した。


「地理院の者です。魔術道具のことでおうかがいしたいことがあり、参りました」


「たしかに、魔術道具の研究室といえばここだが。地理院の方がどんなご用件か」


 地理院? 新しい魔術道具でも発掘されたのだろうか。レイフは近場にあった机に寄りかかりながら役人たちと教授を観察する。


「調査先で、ドラゴンを使役する魔術道具を見かけたのです。王都の周囲にもドラゴンはおりますので、そんな魔術道具があるのなら是非に王都警備隊へ――」


「そんなものはない!」


 教授が大きな声を出したので、役人たちはそろってびくりと肩を跳ねさせる。


「あーあ……」


 レイフは小声で呟いて苦笑した。これは教授の地雷を踏んだぞ。しかし、そんな魔術道具があるとすると――。


「歴代の王都警備隊が何故ドラゴンを生かさず殺さず置いているのかというと――」


「はいはい教授、あとは俺に任せてくださいよ。てきとーに追い返せばいいんでしょ?」


 適当なところで割り込んで、レイフは役人たちに目配せする。役人たちはそろって頭を下げた。


「お忙しいところ失礼いたした」


「はいはーい。研究棟は迷うから外までお送りしますよ」


 研究室からそそくさと役人たちを連れ出して、角を曲がって教授の姿がちっとも見えなくなったあたりで、レイフはところで、と役人たちの肩に腕を回した。


「その魔術道具について、詳しく聞かせてもらえます?」

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