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彼女は僕が見えない  作者: ろむろむ
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中学生。変わる世界。

僕と彼女の関係が始まってから半年がたった。学年も2年になり僕自身を取り巻く環境も変化していた。白間さんと仲が良いおかげでみんなから話しかけてもらえるようになったのだ。これは非常に大きい。僕は別にみんなと仲良くしたくない訳ではない。だから向こうから来てくれればちゃんと話せるのだ!多分。クラスの人とも有効的な関係を築く事が出来た。白間さんとは別に新しい友達も出来た。大きな進歩だ!以前の自分からは信じられない程に。全部白間さんのおかげで僕の進歩ではない?シャラップ。

「親友は私!他はただの友達だからね!」と白間さんは警戒してたけど…


そんなある日の昼休み。いつもは白間さんが僕の席に自分の席をくっつけて一緒に喋ってるんだけど今日は用事があるらしくいない。だから僕は一人寂しく本を読んでいる訳だが…


「おっ英里、今日は一人なのか?」


「これはチャンスでは?そうだよね?」


話しかけてきた男女。男子の方は青田 仁。新しく出来た友達の一人だ。少し短めにした金髪に耳にはピアス。着崩した制服。完全にチャラ男なのだが気さくな性格で互いに名前呼びを提案してくれた。だから僕も仁と呼んでいる。そしてこの男子…実は半年前に僕の事を『黒井なんか』呼ばわりした男子である。その後白間さんに嫌われる→その効果により他の女子にも嫌われる→助けて黒井!となった訳である。その時仲直りに協力したら「ありがとう!俺なんかのために…今まで誤解していたよ…黒井!いや、英里!」的な友情イベントが…ん?ちょろい?いや、結構大変そうだったよ仁。


そしてもう一人。女子の黄稲 咲さん。こちらも新しく出来た友達。白間さん以上に小柄で小学生のような身長。明るい茶髪に人懐っこい態度。クラスの男子からまるで小動物のようだと白間さんに次ぐ人気だ。なぜそんな人気者が友達にいるかと言うと何故か気に入られたから。始めは白間さんと話したくてくっついてきて一緒にいた感じだったけどだんだんと僕とも話すようになり、いつのまにか白間さんが僕の所にいない時まで席まで来て話すようになっていた。

きいてみたら 「なんか英里良いよねー。話とか合わせてくれるしさー。話しやすいし。困ってる時すっごく助けてくれるじゃん。その割には子供扱いもしてこないし。これはアレだね。もはや兄だね。理想の兄だね。英里兄ぃ!」 との事だから気に入られてるんだろう…誰が兄か?え?お兄ちゃん?もっかい呼んで…


「あー。白間さん何か用事あるみたいで…」


「そうなんだな。珍しい。だからこそこうやって英里に昼休み話しかけれる訳だがな」


「そーそー。由梨ちゃんすごいもんねー。私達が入る隙なく英里兄に喋るもんねぇ。だから今日はチャンスって訳ねー」


「そんな饒舌に語る白間さんの言葉に全て返す英里もすげえがな…」


「そーそー。何か卓球とかですっごく早いラリーを見てる気分だったよー。あたしもラリーしたいのよー」


苦笑しながら前の席に座る仁と横から立ったまま僕の机に上半身を突っ伏しながら顔を向けてくる黄稲さん。


「今度のテストは赤点免れそう?」


「はうッ…スマッシュから始まるラリーがあるなんて…そんなひどい…」


僕の問いかけに黄稲さんは胸を押さえながらガバッと起き上がり大袈裟に上体を逸らす。口元がニヤついてるから傷ついてはないだろう…


「この他の人には言わない遠慮のない感じ!優越感!」


とか言って悶えてるし。


「何やってんだか…この仲良し兄妹は」


すっかり蚊帳の外の仁がジト目で僕等を見ていた。


「世界一可愛い妹だからね」と僕。


「世界一素敵な兄だからね」と黄稲さん。


「黄稲はともかく英里まで何つーノリの良さだよ…」


やれやれといった感じで呆れる仁。ここまではいつも通りのテンプレだったりする。

あ、それでさ…と思い出したように切り出す仁。


「2年から自分たちで同好会が作れるようになるって話。覚えてるか?」


あー…そういやそういうのあったね。確かこの中学校は生徒の自主性や個性を尊重するだかで2年から色々な『自由』が許される。例えば頭髪。僕もどちらかと言えば少し長めで他校だと校則に引っかかるかもしれない。でもこいつ…仁はレベルが違う。2年になった初登校当日彼は金髪になって登校してきたのだ。これには流石の先生方も声をかけたみたいだが結果的にはオッケーとなった。そんな常識外れな自由すら許される我が校の『自由』としての一つとして、部活、同好会の設立があるのだ。正直帰宅部である僕は興味もなく今まで忘れていた訳だが…


「んで、それがどうかしたの?」


「それがな、実は同好会が作れるようになるのは5月18日から。つまり今日からなんだわ」


ほう…そうだったのか。でもそれが…?


「まあまあ急かすな。これは勝手な俺の思い込みなんだが彼女。白間さん職員室に行くって言ってなかったか?」


あ、言ってたなーそういえば。職員室に用事あるから昼休みの最初いないって…




ん?


「お、気づいたか?彼女同好会の申請でもだしに行ったんじゃねえかってな」


推理を終えて得意げな顔で人差し指を立てる仁に僕は「まさかね…」と苦笑して返すと仁は「いや、そうでもないぞ」と否定して続ける


「お前らの仲の良さははたから見て異常なほどだぞ?なあ、黄稲?」


「うんうん。わかる!すっごくわかる!他の追随を許さない程の仲の良さ!もう妬いちゃうくらいね!それにね、前に彼氏じゃないの?って話になった時にね由梨ちゃんなんて言ったと思う?」


「…なんて言ったの?」


「『黒井君は親友だよ。私にとって親友は彼氏以上なの。だから彼氏彼女まで戻るのは無理。だからもし私に別に彼氏が出来ても黒井君の方を優先するし黒井君にもそうしてもらうよ!』だってさ。本人も隠してるつもりないみたいだから言わせてもらったけどなかなかにインパクトあったねー」


oh.事は僕が思っている以上に凄かった…

何か色々と間違えたらやばそうな気がして怖い。正直怖い。いや、嬉しいけども怖い。


「凄えはなしだな…まあ、そんなこんなで親友が同好会を作って今までよりももっと一緒にいたい…イチャラブしたいとかって思うのも不思議じゃないなーてな」


「何故言い直した仁」


黄稲さんの話を聞くとあながち仁の話もあり得なくは無いような気がしてくる。いや、でも流石に白間さんでもそこまd「ただいま、黒井君。これ書いて。」ア、ハイ。


入 部 届 。


ん?


入 部 届 。


見上げると満面の笑みの白間さん。と


入 部 届 。


「さあさあ!早く!」


ア、ハイ。


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