8 =エピローグ=
地球人類を感激させた、銀河系連合によるゴミ転送技術の無償供与。
この人道的な政策によって、地球の環境は改善したのだった。
ところで、この無償供与の根拠となる銀河系連合の法令集をよくよく熟読すると、その無償供与には期限があることが分かるのであるが、地球人類は誰一人それに気付いていなかった。
そして十年の無償供与期限が終わったとき、ゴミ転送技術の法外な使用料の高さに地球人たちは愕然とした。だが、時すでに遅し。
無料でゴミを捨てられることへの甘えもあって原発の廃炉はちっとも進んでいなかったし、ゴミを減らす努力も技術開発も滞っていた。人類はもはやゴミ転送技術なしでは生きていけない依存症状態に陥っていた。
今後、長い年月を掛けて銀河系連合は、地球の財産を底の底までしゃぶり尽くすことだろう。銀河系連合は大昔からこのような手法で金のなる木を増やしては、ぶくぶくと肥え太ってきたのである。
地球市民たちは慌てて「まるなげクン」財団に救いを求めて群がった。だが十年の間に財団は全ての施設を廃止していたし、ドクター丑松は失意の中で既に亡くなっていた。
あの原理不明のゴミ転送技術は永遠に失われてしまったのだった。
ひっそりと「まるなげクン」財団は解散し、その後、木本彩乃の行方は杳として知れない。
(風のうわさでは、長年愛人関係にあったバイトの男の子中田くんと共に、南の島に移住して楽しく暮らしているということだ)
かくして地球は、未来永劫、銀河系連合に搾取され続ける奴隷惑星となりはてたのであった。
(終)
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