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宇宙ゴミ箱「まるなげクン」  作者: 青海 嶺
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5 銀河系連合の来訪

 平和な日常が戻ったと思ったのも束の間、今度は、前回の宇宙船とは比べ物にならないほど巨大な宇宙船が空中に停止した。全天空を覆い尽くさんばかりの威容。

 今度の宇宙からの来客は、銀河系連合環境保全機構と名乗った。

 地上のすべての放送電波、通信を乗っ取って、警告文が読み上げられた。

「地球人諸君に告ぐ。君たちの行った宇宙環境破壊行動は、看過しがたい被害を銀河系連合に与えた。この環境破壊の損害賠償として、地球は、地球の通貨に換算して×兆ドル相当の金塊を支払え。この命令に従わない場合、銀河系連合条約に則り、地球の全住民に刑罰を与える。これは銀河系からの抹殺と同義である。なお、無駄を省くためにあらかじめ言っておくが、抵抗は無駄である。何しろ、地球の知能、技術力、軍事力ランキングは銀河系連合加盟惑星約五十万の中で、下から五番目程度のレベルにすぎないのだから」

 地球の諸国家は再び騒然とした。

 今度は、環境テロリストなどとは次元の違う存在が相手だ。

 議論は、いかにして銀河系連合の怒りを鎮めるか、という方向で終始した。

「戦って勝てる相手ではない」

「誠意をもって謝罪すべし」

「銀河系連合に加入した上で、賠償額減額の救済措置を求めるべきでは?」

「金塊の拠出割当比率を早急に議論すべき」

「ハイパーインフレを起こしてドルの価値を暴落させれば、手渡す金塊は少なくて済むよ」

「お前はバカか。バカなのか!?」


 国連の臨時総会が開かれ、早急な賠償金の支払いが決定された。


 O市市長の座を後進に譲り、財団法人廃棄物処理機構「まるなげクン」専務理事になっていた木本は、一連の騒動で、心底疲れ果てていた。

 「まるなげクン」による廃棄物処理事業は中止に追い込まれた。

 財団は解散した。


「あーあ、宇宙空間なんてワケの分かんないところに手を出すと、ロクなことはないよね」

 今は木本家の家政夫として働いている中田くんが、そう呟く。

「まったくだよ、とほほー」

 頬杖と溜息ばかりの木本綾乃だった。


 宇宙環境保護団体「ブラックピース」日本支部代表者星野ひかりは、公式サイトで、「それみたことか!」と言わんばかりに、O市や、各国の愚かな行為を散々罵倒し、鼻高々で長文を書き連ね、大いに溜飲を下げた。


 環境汚染への賠償金と銀河系連合への加入支度金に相当する金塊の引き渡しが無事に済んだ。巨大宇宙船は銀河系の中心方面に向かって去っていき、地球は再び平穏を取り戻した。



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