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宇宙ゴミ箱「まるなげクン」  作者: 青海 嶺
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4 群がってくる宇宙環境保護団体など

 思いもかけないところから、雑音が起こった。

 宇宙環境保護団体「ブラックピース」日本支部(所在地東京、代表者星野ひかり)という連中が、ネットに抗議文を掲載した。

 曰く、

「宇宙空間は全宇宙に住む生命体すべての共有財産です。

 地球人類の身勝手な行動、環境破壊は断じて許されません!

 わたしたち「ブラックピース」は、宇宙市民の一員として、その責任を自覚し、宇宙空間汚染反対運動を展開します。

 どうかわたしたちの活動に協力してください」

 しかし、世間の反応は冷ややかだった。

「宇宙は広いんだよ?」

「我々が捨てる程度のゴミ、希釈されれば無に等しいから」

「それに宇宙は光の速度で膨張し続けているんだからな」

「放射能というなら、宇宙に無数にある恒星が出す放射能もなんとかしてほしいものです」

 そんな意見が世論の大半を占めた。


 そんな折、O市上空に、謎の宇宙船が飛来した。

 そのUFOは、上空からビラを撒いた。なんとも古典的な手法。

 市の職員がそれを拾ってきた。ビラは日本語で綴られていた。

 木本が読もうとすると、いままさに読もうとした文字が虹色に発光し、紙が自分で喋りだした。

「我々は、宇宙環境保護団体『スペース・シェパード』である。

 O市の行っている宇宙環境汚染は、許しがたい暴挙である。

 直ちに汚染活動を中止せよ。

 もし、中止しない場合、我々は対抗措置として、実力行為を行う。

 O市が太陽系外の銀河系座標XXXXXX-YYYYYY-ZZZZZZに不法投棄した放射性廃棄物を、O市及び世界中の原子力発電所に逆転送し、ぶちまける。報復行為開始までの猶予時間は地球時間で5日間とする。賢明なる対応を期待する。以上。

 なお、この文書は銀河コミュニケーション株式会社の開発した自動翻訳システムにより地球語(日本語)に機械翻訳されています」


 ビラに対する反応は様々だった。

「なりすましに決まっているだろ」

「ブラックピース乙」

「でも本当だったらどうする。とりあえず要求には従うべき」

「唯々諾々と従えば環境テロリストに屈服したことになる」

「先手必勝、宇宙船を破壊しろ」

「あの宇宙船を破壊しても、核のゴミの逆転送が阻止できる保証はないだろ」


 O市も、そして各国の政府も大混乱に陥った。

 人類に、まともな対応策が決められるとは思えなかった。


 そんな折、今度は東京上空に別の宇宙船が飛来した。その宇宙人は、銀河系総合警備会社「アストロガード」と名乗った。

 最近、環境テロリストによる脅迫行為が銀河系各地で頻発している。当社はその脅迫行為を阻止する専門チームを擁しており、格安料金で破壊活動を阻止いたします。はやい話が警備会社の営業なのだった。

 O市と各国政府は分担して警備料金を支払い(支払いは金塊で行われた)、警備を依頼した。

 ほどなくして、宇宙船は二隻ともどこかに消え去った。

 一発触発の危機はこうして回避された。


 実はあの環境テロ組織と警備会社はぐるだったのではないか、そんな疑惑がいつまでも囁かれ続けた。




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