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宇宙ゴミ箱「まるなげクン」  作者: 青海 嶺
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2 「まるなげクン」の落成式

 ゴミ処理サポート施設「まるなげクン」の落成式はひっそりと行われた。

 参加者は市長、役所の幹部、市内の産廃業者、木本、バイトの男の子中田クン、そしてドクター丑松。

 施設の見た目は、まるで農家にあるD型倉庫そのもの。

 「まるなげクン」の大きなシャッターが開くと、ゴミを満載したトラックがそのまま入っていき、宇宙空間と繋がった穴の中にゴミを投棄した。

 ゴミは一瞬で消滅した。

 居合わせた誰もが、今日が革命的な日だと確信した。

 市のゴミ処分場はすぐに空地になった。清浄化作業を行って、公園を造成する予定だ。

 O市は、近隣の市町村から格安料金でゴミを受け入れた。連日連夜ゴミを積んだトラックがO市に押し寄せる。処分場への道路は拡張工事され、工事費用を差し引いても、「まるなげクン」は莫大な利益を市にもたらした。ドクター丑松もまたたくまに大金持ちになり、O市内の一等地に別荘兼研究所を建てた。

 他の自治体から問い合わせが殺到し、同じ施設を誘致したいという話が次々に舞い込んだが、それを見越して、O市は、五十年の独占的技術使用契約をドクター丑松と結んでいた。


 時折、作業員が穴に落ちて、そのまま消えるという事故が起きた。誰も気にしなかった。


 ゴミ処理量の増加に伴い、D型倉庫は十棟に増やされ、搬入経路の道路整備も進んだ。元の処分場跡地は緑の美しい広々とした公園となり、春になれば花見客で賑わった。

 ゴミ処理の事業化によってO市は潤い、財政赤字は解消、市庁舎も建て替えられた。木本は異例の若さで助役に就任した。




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