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告げて、はじまり  作者: 冬野ふゆぎり
四年目:
49/62

できる、できない

 美冬さんと僕と、そして猫二匹と共にようやく暮らし始めることになるまでに、時間を掛けて、生活するに当たってのさまざまな点について基本的なルールを取り決めることになったのだが、前の結婚の時とは何もかもが異なることに、当然とはいえ驚いてしまった。

 例えば、生活費の配分について、光熱費ともろもろの雑費は僕で食費が美冬さんで、と提案した瞬間即座に却下された上に、リフォームだけでも申し訳ないのに、家のローンも固定資産税も全部持ってくださってるのに何考えてるんですか!と本気で怒られた挙句、今後一年間の綿密な予算・支出計画書を二人で作成したことから始まって、家事の分担や二匹の猫たちの世話のことなど、実際的な項目を考え付く限り埋めて、それらについてはお互い理解と納得をした上で合意できた、と思う。

 そして、同居の期間が遅くとも一年を過ぎるまでに、この先の道筋を明確に決定することの他に、いわば感情的な項目について、ただひとつだけ僕から申し出たことがあるのだが、いざそれを切り出そうとする立場に立ってみると、なかなか思い切れないこともあるわけで。

 「……また、いないし、もう」

 彼女が転居届を出した日から、およそ二か月近くが過ぎた、真夜中過ぎ。

 猛烈な暑熱もピークを越えて、切れ切れだった睡眠が次第に深くなりゆく、そんな夜に、隣にいるはずの彼女の姿が見えないことに気付いて、僕はそうひとりごちた。

 彼女が旧居から持って来たままのベッドの上には、あの青のカバーが掛かった布団が、まるで起きたばかりのように半分に折られた状態で、静かに横たわっている。

 小さく息を吐くと、僕はそっと身を起こして、隙間を空けずにぴたりと並べて置いた、全く同じ高さと同じ色を持つ自分のそれから、床に降りた。

 極力音を立てないようにスリッパを足に通してしまうと、そろそろと薄暗闇の中を進み始める。二人ともが常夜灯はいらない性質だから、窓辺から淡く差す月光のみが頼りで、いささか視界が心もとないが、仕方ない。ことさらに灯りを点けて、彼女にこちらが目を覚ましたことを悟られたくはないからだ。

 配置した家具のシンプルさに助けられつつも扉に辿り着くと、ドアハンドルを握り締め、軋みも立てぬようにどうにか開けてしまうと、階段下の吹き抜けから淡く光が漏れていて、どうやらまた同じ場所にいるらしい、と見当がついた。

 少し考えて、僕はスリッパを脱いで裸足になってしまうと、廊下に並べて置いてから、静かに階段を降り始めた。幸い、天井にも廊下にも灯りは点けていないから、影が落ちて警戒されることもないだろう。

 ひた、ひたと、まるで猫のように足音を忍ばせながら、階段の半ばまで進んでいくと、ふいに聞き慣れない着信音が響いてきて、思わず身を固くする。

 ごく短い、『お知らせ』という感じの音は、余韻もなく掻き消えたものの、しばらくして、それを追うように、深々としたため息が聞こえて。

 「……やっぱり、無理。出来ない……」

 弱々しさを帯びた彼女の声が鋭く鼓膜を刺したのを潮に、僕は忍ぶのを止めてしまうと、わざと高く足音を立てながら、残りの段を降りて行った。途端に、カウンターキッチンの奥から零れる光の中で、リビングの床に伸びた影が、びくりと動くのが見て取れる。

 一階に降り切ってからはもう逃がすつもりなどなく、すぐにキッチンへと顔を向けると、赤いスマホを手に、驚いたように目を見張って僕を見つめている、彼女がいて。

 「美冬さん、どうしたの。何か深刻な事態?」

 「え、ち、違います!あの、ちょっと眠れなくて」

 暗闇で急に光を浴びた猫めいて、その場に固まっていた美冬さんは、慌てたように声を上げると、手にしたスマホを隠そうとするかのように腕を動かした。しかし、胸元にしかポケットのないシャツパジャマだから、どう見ても怪しく映る、と気付いたのか、やがて動きを止めると、

 「平岩さん、お水飲まれますか?喉乾いてるでしょう?」

 何事もなかったかのように、さりげなく視線をそらした姿に、胸の奥がぎしりと軋む。少し迷ったあとで、電子レンジなどの家電を並べた腰高のキャビネットの隅に、取り急ぎスマホを置こうとするのを制するように、僕は低く声を放った。

 「美冬さん、二人で決めたこと、忘れちゃったの?」

 たしなめる程度のつもりが、思いの外厳しい口調になったことに自身でも呆れながら、大股に彼女に近付いてしまうと、振り向いて、見上げてきた瞳をすかさず捉える。

 怯えというよりは、戸惑いに満ちた様子にやや安堵しながらも、手を伸ばして黒い髪を撫でると、軽く眉を寄せて、

 「不安や不満があったら、腹に溜めずにどんなことでも話すこと、って約束したのに、何をひとりで悩んでるの」

 それとも、僕には言えないようなことなの、と言葉にするのは寸前で堪えて、滑らかな頬をくるんでしまうと、まるで口付けるかのように身を屈める。と、

 「……どうして、そういうこと、さらっと出来ちゃうんですか」

 微かに震える細い声が耳に届いて、この際だから本当にキスしてしまおうか、と動いていたのを止めて、半ば伏せていた瞼を上げる。

 すると、思いも寄らず今にも泣き出しそうに目を潤ませた美冬さんが、きつくスマホを握り締めたまま、僕をじっと見据えてきて。

 秘めていた弱さを覗かせたその表情に、恋人としてのあらゆる感情を渦巻かされながら、抱き締めるよりはこのままがいいか、でも、と贅沢過ぎる葛藤を繰り返していると、

 「立花さんも、信じられないくらい積極的だし、奈緒に言ったらそれくらい当たり前、とか言われちゃうし、そんな簡単に出来ることなら誰も苦労しないのに……」

 「……ちょっと、待って。なんだか状況が上手く飲み込めないんだけど」

 ぐずるように零してきた台詞の中に、彼女のごく親しい女子二人の名前が出てくるのを聞くともなく聞きながら、僕はあることを思い出して、問いを投げてみた。

 「もしかして、立花さんに何か、仕掛けられた?」



 その質問が真っ先に浮かんだのは、つい一週間ほども前のことが頭に残っていたから、なのだが、思い起こせば、それも奇妙な問いから始まったものだった。

 「平岩代理ー、やっぱり女子から迫られると引きます?それとも萌えます?」

 クラウドモールの三階、白の屋根を持つペデストリアンデッキを望める、休憩所。

 藤宮市民には待ち合わせ場所の定番として知られるそこに、僕は美冬さんを、そして、隣の椅子に掛けた立花さんは久保くんを、それぞれに待っている、金曜の夜。

 「いや、そんなの相手によるとしか言いようがないでしょうに。なに、また久保くんと揉めでもしたの?」

 唐突に投げられた台詞にそう切り返しながら、僕は手にしていたPHSから顔を上げた。

 何よりも先に目に入ってくるのは、窓の向こうに縦横に伸びる、駅前交差点を彩る眩い灯りの群れで、見上げるばかりのビル群が空に伸びるその根元に、さらには、六車線もの幹線道路に沿うように、色も明度もさまざまなそれらが瞬いている。

 綺麗、というよりはやはり猥雑な印象のそれらを眺めつつ、横断歩道の脇に設置された信号が青に変わるのを認めて、美冬さんはまだかな、と人波の中にその姿を探していると、立花さんのひときわ弾んだ声が、真横から飛んできた。

 「おかげさまで、最近はめっきり平穏っていうかラブ度上昇しましたよー。タイテンもやっと色々と開き直ってくれちゃったしー」

 「それはそれは、あらためておめでとう。なら、誰か別の女の子の話なのかな」

 「お、なかなか鋭いですねー。まあ、一般的な話ってことでお願いしたいんですけど、実際、好きな女子からだったらどんなシチュエーションが好みですか?」

 「あのねえ、僕の場合だと君も相手知ってるんだから、変にリアル過ぎるでしょうが」

 さすがに苦笑しつつも顔を向けると、彼女は艶やかに塗り上げた淡紅色の唇を緩めて、器用に片眉だけを上げてみせた。今日も、なんというか気合いの入ったメイクだ。

 「それが必要なんですって。その子わたしとは真逆のタイプだし、色々とアプローチに悩んでるんですよー、何事も先にされるばかりでしたことがない、って」

 「……要するに、相手も僕に似てるって言いたいんだね」

 「理解が早くて何よりですー。ていうか、自覚されてたことにむしろ驚きですけど」

 「もうこんな年なんだから、ある程度はわきまえざるを得ないでしょ。でないと、また美冬さんに叱られちゃうし」

 つい先頃のことを思い返しながらそう返すと、何故か立花さんは目を軽く見張ったあと、僕の顔をひたすら、まじまじと見つめてきて。

 何事ですか、と尋ねる代わりに眉を上げてみせると、彼女はやれやれ、といった風情で小さく息を吐くと、咎めるような視線を向けてきた。

 「代理、台詞とは裏腹に口元思いっきり緩んでるんですけど。何したんですか?」

 「大したことはしてないよ。つい癖で、頭撫でちゃっただけでさ」

 昨日、臨時の時間外の会議が終わって、残業を終えた美冬さんとホールで待ち合わせた時に、傍に駆け寄ってきた彼女の柔らかい笑顔に、うっかり手が出てしまって。

 「間が悪いことに、目の前のエレベーターが開いちゃってねえ、うちの上のほぼ全員と鉢合わせしちゃって。でももう皆事情知ってるから、軽く冷やかされて終わったんだけど」

 真っ赤になった彼女に『庁舎周辺での身体的接触は厳禁ですからね!』と厳しく怒られ、宥めるのに時間は掛かったものの、その様子も可愛くて。

 そんなことを正直に話してしまうと、立花さんはきゅっと細い眉を寄せて、

 「職場でもこの調子じゃ無理かー……リタイアとか早過ぎるなって思ってたけど」

 「ん、なんの話?」

 「いえ、ごく個人的な件なのでお気になさらずー。それより代理」

 呟きに関する僕の問いを、実にさらっと流してしまうと、たしなめるように言ってきた。

 「もー、少しは自重しないとそのうちマジ切れされますよ?ただでさえ、わたしたちを遥かに飛び越して注目度高いんですから」

 「うん、ごめん。そのへんはちょっと上にも言われちゃったよ」

 ストレートな忠告に、僕は素直に謝意を示しておいた。というのも、今の状況が状況だからだ。

 先だって、美冬さんの転居届を二人で提出してからというもの、現在婚約中である、という認識が微かなざわめきをもって庁内に広まっていったのだが、双方ともが同じ局内にいるためか、何かしら周囲から注目されることが多くなってしまった。

 僕も美冬さんもそれなりの年齢だし、別に誰に何をはばかるような経緯でもないのだが、ほぼ同時期に発覚した(というより故意に広められた)立花さんと久保くんの件よりも、何故か盛り上がってしまったようで。

 「でもさ、課長には『仕方ないわね、意外性の勝利だし』とかため息吐かれたし、局長なんか『いや、君がなあ……あの明石係長をなあ……』ってやたら感心したように上から下まで眺めてくるし、なんか皆さん若干物言いが引っ掛かるというかねえ」

 「だって、ずばり難攻不落って感じでしたからねー、係長。ついでに言っちゃうとー、代理だって人は見かけによらないの見本みたいですし?」

 「んー、なんだか色んな含みがあるように聞こえるんだけど」

 「気のせいじゃないですかー?で、そろそろさっきの答え……」

 話を元に戻すべく、立花さんがそう言いかけた時、彼女の膝の上で短い着信音が響いた。

 途端に、飛び上がるほどの勢いで動いた彼女が、つるりとした質感のコーラルピンクのショルダーバッグから、色目の違う淡いピンクのスマホを素早く取り出す。入れ子みたいだなあ、と思いながら見ているうちに、手入れの行き届いた指先が液晶の上を上下して、それにつれて真剣な表情が崩れ、見るからに嬉しげな笑顔に変化していって。

 「代理、係長も一緒に出たそうですよ!あ、安心してください、今日はがっちりデートするつもりなんで、そちらのお邪魔はしませんから!」

 「気遣いどうも有難う。ま、貴重な時間は、お互い大事にしないとねえ」

 その頬までが、同じ甘やかな色合いに染め上げられているのを眺めながら、美冬さんもこんな風になってくれてるといいなあ、などと思いつつ、僕は着信を示す光を放つPHSを取り上げて、表示されたその名前に笑みを向けていた。



 そののち、美冬さんと久保くんが揃って到着して、仕事の件でひとくさり話してから、立花さんの前言通りに、二対二に別れて。

 あの質問の答えについては結局うやむやのままに終わって、それ以上追及されることもなかったから、今まですっかり忘れていたわけなのだが、ここに来てブーメランの如くに飛来してくるとは。

 ともあれ、美冬さんは諦めたように頷くと、赤のスマホにちらりと目をやって、

 「彼女と勝負というか、賭けみたいなことをしてて……でも、絶対勝てそうにないから、もう棄権するって申し出てたんですけど、なんだか凄く説得されちゃって」

 「なるほど。でも、なんで夜中に連絡してたの?」

 「二週間ごとに定期報告の時間、決めてたんです。このくらいだったら平岩さんはほぼ寝てて、彼女がまだ起きてるから」

 そう言われてみれば、前回も前々回も同じ曜日と時間だったことを思い出して、ひとり得心していると、

 「……ずっと、気付いてたんですか?」

 申し訳なさ気に眉を下げて、見上げてきた彼女に腕を回して、そっと引き寄せる。

 落ち着かせるというよりは、単に自分がそうしたいがために、腕の中にした彼女の髪をゆっくりと撫でながら、僕は問いに答えていた。

 「僕、眠り浅い方だからさ。それに、隣にいないと、なんか分かるみたい」


 こんな時にだけ、やけに鋭く勘が働くのは、おそらく。

 やっと得たかけがえのないぬくもりを、無意識に離すまいとしているからで。


 さらに言えば、美冬さんは一度眠ると決まった時間まで起きないタイプだから、たまに灯りの消えた部屋の中でぼんやりと考えを巡らせている僕が、そろそろと起き出す気配に気付いたことすらあって、妙だな、となったわけで。

 「最初は喉乾いたのかなあ、くらいにしか思ってなかったんだけど、段々と時間が長くなっていったから、気になってさ……言い出してくれるまで待とう、って思ってたのに、どうにもこらえきれなくて」

 ごめんね、と耳元に囁くと、美冬さんはぴくりと身を震わせて、小さくかぶりを振って、

 「私も、意地になっちゃってたから……期限は迫ってくるし、切羽詰まってどうしよう、って焦ってたんですけど、もう敗北確定だし、潔く彼女に奢ります」

 「え、負け?なんで、まさか、僕にばれたから?」

 「そういう、条件なんです」

 短くそう答えた美冬さんは、僕の腕からそっと身を解いてしまうと、手にしたスマホを操作して、やがて目的の箇所に辿り着いたのか、こちらに画面を見せてきた。



 みなつ@タイテンと婚約中

  それでは、こんな感じでいきましょー!


  達成条件:

   ひざまくら

   背中からがっつり系ハグ

   それぞれ画像1点添付のこと(顔は隠しても可)

  敗北条件:

   彼にバレる・期限までに未達成のいずれか

  報告期限:

   8月31日

  

  ぶっちゃけ、わたしよりはかなりハードル低いですから、

  頑張ってくださいねー!ご飯楽しみにしてます!



 最初から勝つつもり満々な台詞と、名前表示にちょっと笑みを誘われつつ、メッセージアプリの文面に目を通してしまうと、僕はふと浮かんだ疑問を口にしてみた。

 「敗北条件はまあ仕方ないにしても、達成条件なんか楽勝じゃない。頼まれなくても、このくらいいくらでもしてあげるのに」

 「……それだから、だめなんですよ」

 酷く弱ったような声に、液晶から目を上げると、美冬さんは、責めるような上目遣いで、僕を睨んできて。

 「私からしなくちゃいけない、っていうのに、チャンスだと思って近付いたらいきなり振り向かれてぎゅってされちゃうし、ひざまくら切り出そうとしても、頑張って言おうとしてるうちに抱き締められるし、その後は絶対離してくれない、から……」

 

 涙目で続けられた言葉が途切れて、ふいと逸らされた頬が、淡く染まって。

 それだから、だめになるのは僕の方なのだと、また一段と思い知らされて。


 「うん、分かった、ごめん。単純に君から寄って来てくれるのが、嬉しくてさ」

 「……いつも、あんなにくっついてるのに、ですか?」

 拗ねたような口調に誘われるように、熟れた桃めいて色付いた頬を指先でなぞりながら、僕は抑えきれない笑みに、喉を震わせて。

 「だって、美冬さんが望んでそうしてくれてる、っていうのが最大のポイントなんだよ。僕からばかりだったら、嫌がってないよね、とは思ってても、何か寂しいじゃない」

 おずおずと伸ばされた手に、しがみつく腕に、見上げる瞳に、触れていたいという心が覗くのを、それと確かめられた時の幸福感ときたら、この上もなくて。

 と、まだ顔はそむけたままながら、彼女の空いた左手が、僕の指にそっと、絡められて。


 「……なかなか、言えないですけど。あなたが、好きですから」


 微かに震えた声音と、重ねられた手から伝わる熱が、じんわりと総身に沁みて。

 いつしか僕は彼女の身体をくるみ込むと、伏せた瞼に、頬にと唇を寄せながら、くれた言葉と同じものを、その耳元に幾度も囁きかけていた。



 そうして、翌朝。

 落ち着かないからと、起きて早々に敗北宣言を立花さんに送ろうとしている美冬さんに、僕はふとした思い付きを投げてみた。

 「ねえ、美冬さん、腰に抱きついて膝に顔を埋めるのと、仰向けで寝転がってるとこにキスしてくれるのとだったらどっちがいい?」

 「何を勝手にオプションつけまくってるんですか!だいたい、そんなの出来上がっても誰にも見せられないじゃないですか!」

 「誰かになんて見せるわけないじゃない、僕だけが楽しむんだよ。そうだ、立花さんの達成条件、ってまだ聞いてないよねえ」

 「あ、あれはだめです!それに、そっちから迫るのは違うって言ってるのに!」

 まだ、ベッドに座っているのをいいことに、にじり寄って、背中から抱きついて。

 メッセージを送るのを思い切り邪魔するついでに、今日はどうあっても、ひざまくらをじっくり堪能させてもらうことにしよう、と僕は心に決めていた。

 ……サビ子さんとかまぼこには、一日くらい膝に乗るのは我慢してもらおう、うん。

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