乙女ゲームがスタート???
突然抱きついた私を、動じることなく素早く立ち上がり優しく抱きとめて下さるお姉様。
ステキ!
身長差が、かなりある。
私の身長が156㎝だから、お姉様は170㎝位あるのかもしれない。
はぁ。私が憧れていた理想のお姉様そのままだわ。
前世でも、現世でも、姉だった私。
何でも相談できて、教えてくれる兄か姉がいたらどうだったのかなぁ、と何度も妄想した事があるけれど。
まさか、想像以上のお姉様をゲットできる日が来るなんて、幸せすぎる~。
神様、仏様、ご先祖様、ありがとうございます。
ハルカはこの世界でも、元気にやっていけそうです。
神様と言えば…あれ、そう言えばお姉様はシン様がなんちゃらかんちゃらと言っていたような。
「葵お姉様、シン様とお知り合いなんですか?」
不思議に思い、キョトンと見上げると、お姉様は私の髪の毛を慈しむように撫でてくれていた手を止めて、ハッと驚いた。
「ヤバイ、ヤバイわ。遙香ちゃんの可憐さ、吸引力は凄いわ。これがヒロイン力。
わたくしは、もっと、自制心を鍛えなくては。
臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前(リン・ピョウ・トウ・シャ・カイ・ジン・レツ・ザイ・ゼン)」
謎の呪文を唱えつつ手を動かしている。
呆気にとられている私を、スマートに椅子までエスコートして下さるお姉様。
お姉様は、仕草も表情も美しい。うっとりと眺める私に
「話さないといけない事、決めなければいけない事がたくさんあります」
と、キリリと顔を引き締めて説明してくれた。
乙女ゲームの名前:スクールリングに永遠の愛を
舞台:星蘭学園
幼稚舎、初等科、中等科、高等科、大学、大学院
中等科 高等科;普通科コース・音楽科コース
大学;法学部・文学部・経済学部・国際社会学部・音楽学部
華族(公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵)の子弟・子女の教育機関として設立された為、ごく一部の例外を除き幼稚舎からの入学となる。
ゲームは、概ね主人公の所属する高等科音楽科コースで展開する。
タイトルにあるように、学園の生徒はスクールリングを付ける決まりがある。
スクールリングは、誕生石、家紋、校章、ファーストネーム、入学日を記して作られる。
生徒会メンバーには、役員の証となるリンドウの紋章が記されている他、学園内での表彰や褒賞を受けた際にはその記録が刻印される。
どの指に付けても自由だが、婚約者がいる場合は左手薬指、いない場合は右手中指に付ける事が多い。
生徒会について
生徒会は、本人が辞退しない限り身分順に役員となる。
生徒会長:一条叶翔…公爵
副会長:西園寺葵…公爵
副会長:久我和寿…侯爵
会計:山科一樹…伯爵
書記:花園美織…子爵
書記:風早陽介…子爵