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乙女ゲームがスタート???

 ついに辿り着いてしまった西園寺家は、思った通りの洋館だった。

 門を通り抜ける時に、ピピッと音がした。

きっと、ETCのように車を識別する何らかの装置があったのだろう。

セキュリティが凄いみたいだから、たぶん洋風のお屋敷だと思っていた。

予想が当たって嬉しいな。


 そして、巨大な玄関が開かれると………なんということでしょう。

そこには、この世のものとは思えない、煌びやかな世界が広がっていたのです。


 大理石が敷き詰められたエントランス部分は吹き抜けになっており、半螺旋状の階段が2階へと伸びています。

その、階段の手前に、キラキラと光を纏ったショートボブの黒髪の美女が艶やかに微笑んでおりました。


 美しすぎる光景にぼんやりと口を開けてしまう私。

そんな私に、

「初めまして。西園寺葵サイオンジアオイと申します」

とハスキーなお声で丁寧なお辞儀をするお姫様。

慌てて

「お招きありがとうございます。神木遙香カミキハルカです」

と深々と頭を下げた。

そんな私の手を取り、エスコートしながら階段を上るお姫様。

 連れて行かれたお部屋には、シンプルながらもお高そうなテーブルセットが置かれていた。

 手を引かれたまま席に着くと、いつの間に現れたのかメイドさんらしき方が3人、流れるように紅茶を注ぎ、お菓子を並べて去って行った。

 ここは、どこなの?

もしやおとぎの国なの?

 呆然とお姫様を見つめる私。

お姫様は、春休みだというのに、私と同じように星蘭学園の制服を着ていらっしゃる。

 私は、確信した。

私の為だ。庶民の私に合わせてくれたに違いない。なんて優しい人なんだろう。

顔も身体も声も心も綺麗なんて、奇跡だ。

乙女ゲームとは、乙女と恋に落ちるゲームだったのだろうか。

私のこの胸のドキドキは、なんなのだろうか。

教えて、葵お姉様♡♡♡


 「遙香さん、わたくしは貴女に出会うためにこの世界に来ました」


お姉様の優しいお声がする。

やっぱり、そうだった。乙女ゲームとは乙女と恋に落ちるゲーム。

私は、感動のあまり、声も出せずにいた。

美しさは正義だ。美しさの前には性別なんて、大したことではない。

 私は、目をそらすことも、言葉を発する事も出来ずに、ただひたすらお姉様を見つめていた。


 「可愛い。可愛すぎる私のはるきゃん♡目がウルウルしてる。これぞヒロイン、会いたかったわ~」


 早口すぎて、何を言われたのか分からないまま抱きしめられる私。 

 何か返事をしないといけないと焦っている間に、咳払いをして何事もなかったかのようにお姉様は席に戻った。


 「遙香さんは、この世界。つまり、『スクールリングに永遠トワの愛を』について何も知らないのですわね?

それどころか、前世において一度も乙女ゲームで遊んだこともないとシン様からお聞きしております。

それなのに、突然この世界に来ることになり、とても不安だったことでしょう。

 ですが、もう大丈夫です。

わたくしは、何があっても遙香さんの味方であり、守護者です。

わたくしが持っている全ての力を使って、遙香さんを支えるとお約束いたします。

 シン様との約束で、話せないこともあるのですが…教えても大丈夫なことは何でもお話します。

今日初めて会ったばかりのわたくしですが、どうか、どうか、わたくしを信じて頼って下さいませ」


 麗しいお方が、私なんかに向けて必死に訴えて頭を下げた。

まるで、映画のワンシーンのようだ。

もちろん、信じるに決まっている。こんなに素敵な人を疑う余地なんて、何もないのだもの。

 

「お姉様~」

と、呟き私は葵様に抱きついた。


 これで、乙女をゲットする乙女ゲームというものがスタートしたのねと思いながら。

 


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