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人生初の乙女ゲームがリアルなやつってどういう事なの?

 悪役令嬢の方が人気が高いらしい今日この頃。


 私は、世界の管理者様に、乙女ゲーム世界のヒロイン役をオススメされていた。いや、押しつけられていた。


 シンと名乗った美少年管理者様は、様々な理由で20才まで生きられなかった魂に、別世界で暮らすチャンスを与える仕事をしているらしい。 


 シン様が言うには、死んでも仕方ない程の悪い魂はそのまま地獄に落とすが、もっと生きたかったと後悔しているような、ある程度清らかな普通の魂の場合は、例え自殺であっても、いじめや家庭環境が酷すぎる等の理由に限るが、別世界で暮らす事を斡旋しているらしい。


 まぁ、私の死亡理由は、学校に向かう時に、寝不足でフラフラしていた為にぼんやりしていて、信号無視の車を避けきれなかった故の交通事故だし。

 特に不幸な事も無く、普通の家庭環境でのんびり16年間生きてきた事もあり、待遇はあまりよくないのだろう。


 同情に値する過酷な人生だと、RPG世界でのチートな勇者(ハーレム付き)なんてものでもお強請り次第では叶える事もあると言う…。 


 男というのは、色んなタイプの女に好かれまくるハーレムが好きな生き物で、女というのはハイスペック王子のたった一人の運命の女として溺愛されるのが夢な生き物らしい。

  

 ちなみにシン様は、たった一人の運命の女と結ばれる派らしい。

 えっ。そんな美貌で年齢不詳な世界の管理者様も、恋とかするの。してるの。

 誰と?女神様かな。実は妻子持ちだったりして。何それ、萌える~!!!

 まぁ、いいや。人間なんて、相手にしないんだろ。もの凄く冷たい目で見てるもんね。過去に何かあって、人間嫌いかもねー。

 

 なるほど、なるほど。


 私がじっと、その美しすぎるご尊顔を観察していると、シン様は不機嫌な顔で目をそらした。


 さてと、私の選択肢は2つのみ。

RPG世界で、お色気担当の踊り子になるか、乙女ゲーム世界でヒロインになるかのどちらかだと言う。


 そう言われても、小さい頃からピアノ、読書、音楽鑑賞位しか興味のなかった私には、ゲームの知識が全くない。

 ゲームなんて、たまに友達と一緒に、スマホアプリでの単純なパズルゲームをやった事がある位なので、2つの世界を比べてどっちが良いのかなんて急に言われても、判断がつかないのだ。

 

 どちらにしても、死んだ16才のままで新しい世界に行く事になると言う。次はどの位生きられるのかは分からないが、今後50年は暮らす世界になるのだ。そう簡単には決められない。


 しばし沈黙して熟考している私に対して、今までの人生で見たこともないほどの美少年シン様が、魅惑のセクシーボイスで言い放った。


 「君には、RPGは無理じゃない?乙女ゲームだったら、ピアノも弾けるからそっちにしなよ。

 じゃあ、もうそれでいいよね。16年分の知識は目覚めと同時に記憶されてるから安心して。

 僕は忙しい身だからね、君がどんなに困ったとしてももう二度と君と話をする事はない。

 聞きたい事があれば今だけだよ。何かある?」

 

 思わず心の中で様付けをしてしまう程の神々しいシン様が、不機嫌オーラを纏っていらっしゃる。

 

 何かと言われても。うーん。

 「あの、何かやらないといけない使命とかミッションとかはありますかね?」 

 と、急展開に脳がついていけてないながらも、勇気を振り絞って質問を試みる私。頑張りました。



 「いや、特にない。RPGだと、否応なく魔王討伐に行くけど。今回の乙女ゲームの世界って、別に魔物が出る訳でも魔法があるわけでもない地球と同じ世界観だよ。

 ヒロインだから一応攻略対象者が5名位…はいるんだと思うけど、他の人を好きになったなら自由に恋愛してもいいんだよ。もう、思うがままに生きてきて。一生独身でも構わないしさ。普通に自由に。

 ただ、最近の傾向として何故だか悪役令嬢を希望する子が増えているから、ヒロインが足りないんだよな。

 何でだろ。まぁ、乙女ゲームの初期設定も記憶されてるらしいから大丈夫なんじゃない?

 もう、いいよね。じゃあ、行ってらっしゃい」


 こうして無表情な美少年シン様から、淡々と説明を受け、背中をドンと押された私は、新たな人生を送る事となった。いくら何でも扱いが雑すぎませんかね。ワーカホリックかな。



           

          【初期設定】

 

 ヒロイン:神木カミキ 遙香ハルカ

 ごく平凡な一般家庭に育つが、とあるピアノのコンクールにたまたま来ていた星蘭学園の理事長になぜか気に入られ特待生として、高校2年生の春から転入する事となる。

 ピンク髪のふわふわなセミロングヘアーに茶色の瞳。色素は薄く天然。人の話(特に大切な内容の時!)を聞かない。

    


         【攻略対象者】


 1:赤髪の生徒会長 ハイスペックな俺様先輩


 2:青髪の副会長 しっかり者眼鏡男子 赤髪の幼馴染み


 3:黄髪の同級生 チャライがいいやつ トラウマあり


 4:緑髪の部活の後輩 わんこキャラだが実は鬼畜


 5:隠しキャラ 先生とバイト先で出会う誰か



 注意事項:以上の6名と運命の恋に落ちる可能性があるが、全員が大富豪の子息の為に、幼い頃からの婚約者あり。 

 

 婚約者は、いずれも家柄が良く、美貌の持ち主で自信過剰気味な傾向があり、気が強い。

 

 攻略対象者と仲良くなると、かなりの確率で激しい嫌がらせを受ける。なお、条件を満たすと自然発生するイベントが多数あり、勝手に恋が深まる事もあるかもしれない。

 

  

 簡単なあらすじ:由緒正しい家柄のお金持ちの通うセレブ学園に、理事長に才能を認められた平凡な家庭のヒロインが転入してきてゲームがスタート。

 その後、卒業までの2年間がゲーム期間となる。

 ヒロインの努力と選択肢により、ルートが決まりストーリーも変更していくが、特別なゲーム補正は無いはずなので、攻略対象者と恋をしなくても、問題は無い?……と思われる。たぶん。


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