ダンジョンに行きたかったけど…
予定より進まなかったよー
ダンジョンまで進まなかった。
帰りが遅く、数時間前に寝て熟睡している真っ最中の俺を、起こす不届き者がいた。しかも、俺の耳元で大変だー!と大きな声で。だ。
王子である俺にそんなことをできる人物は限られている。
「どうしたの?おとー様?」
俺は内心、起こされるならおかー様がよかった。と思いながら体を起こし、目をこすりながらそう言った。
「フランよ。寝ている場合ではないぞ!大変!大変なんだ!」
一体なにが大変なのかを一向に言わないまま、俺の体を激しく揺らす。
誰か。このおっさんを止めろ。と思っていたら、俺の叫びが届いたのか、俺の部屋に髭が生え、男にしては長い白髪のおじいさんが入って来て、おとー様を止めてくれた。
「陛下!王太子様をそんなに激しく揺らしてはなりませんぞ!」
その言葉でおとー様はハッとなり、シュンとした様子で
「すまない。そうだな、少し興奮しすぎたみたいだ。フランよ。悪かったな」
俺はあれで少しかよ。と思ったがお利口な俺はそんなことを口には出さない。
「おとー様。気にしないでください。大丈夫でしたから」
おとー様はフランはいい子だなー。といい俺を優しく抱きしめてくれた。
けっ!おっさんになんか抱きしめてほしくねーよ!
(あら。反抗期ですね。早いことで)
白髪のおじさんは呆れた表情で、
「興奮したからと言え、こんな朝早くに幼子を起こしてはなりません」
おとー様を叱った。その様子は慣れたものだった。
おとー様は俺を開放し、おじいさんに息子の前で怒るな。という目をした。
俺はふと、おとー様こんな風に叱れるこのおじいさんは誰だろうと思い。鑑定した。
(あっ、ついでに陛下をしてください)
ん?あぁ、わかったよ。
・レベル:17
・名前:マンジャテリー・オブ・コリヨー 119歳
・種族:エルフ 男
・地位:ポラリオン王国、右大臣
・称号:天才、侯爵家当主、苦労人
・HP:105/105
・MP:87/87
・SP:209
・AP:93
・DP:85
・LP:31
・スキル
[長寿LV1]、[弓術LV4]、[法学LV3]、[歴史学LV3]、[執務LV4]、[雑学LV4]、[経済学LV1]
・レベル:28
・名前:ルーラティー・シャーロキアン・ポラリオン 32歳
・種族:人間 男
・地位:ポラリオン王国、二代目国王
・称号:天才、王子、人格者、カリスマ性、統治者、国王
・HP:603/603
・MP:219/219
・SP:509
・AP:309
・DP:497
・LP:5
・スキル
[剣術LV4]、[土属性魔法LV3]、[木属性魔法LV2]、[執務LV4]、[統治者LV4]、[カリスマLV2]、[魅了LV1]、[思考加速LV2]、[毒耐性LV1]
右大臣とは、この国に2人いるトップ2の1人ではないか。
って、エルフ!?
耳が髪で隠れて見えてないんだけど、もしかして長かったりすんのかな?
てか、この2人スペックたけーな。どっちも称号に天才が入っている。
1つ持っているだけですごい非戦闘系スキルをたくさん持っていてレベルも伝説級がつくつもある。
さすがこの辺りの覇権を握っている大国のトップとトップ2なわけあるな。
「仕方ないではないか、我が妻が身篭ったのだぞ!」
俺がこの国はしばらくは安泰だな。と思っていると、我が父の口から衝撃的な言葉が聞こえた。
「おかー様のお腹に赤ちゃんが出来たんですか?」
「おお、身篭ったの意味がわかるのか。フランは聞いてたよりも賢いのだな」
そういい、ベットに座る俺の頭を優しく撫でた。
「そんなことより陛下。早く王妃様の元にお戻りになってください。急に部屋を飛び出して行き、ご心配なさっておりました」
「おお、そうだな。それは悪いことをしたな。では邪魔したな、フラン」
俺は咄嗟におかー様の側に行きたいと思い、ベットから降り、おとー様に向かって、
「おとー様!僕もおかー様のところに行きます!」
「おお、そうか。そうか。では一緒に行こうではないか」
「はい!」
得意の子供笑顔でおとー様を魅了し、おとー様はたまらず俺を抱っこして俺を部屋から連れていった。
――――――――――――――――――――――――――――
「入るぞ」
おとー様がそういい。部屋を護衛していたものが扉を開ける。
部屋にはおかー様がベットに寝ていて、その周りには女性が2人いた。
1人は医者のような格好をした年老いたおばあさんだった。王家専属の医者のメイシス主治医だ。俺もこの人に取り上げられたらしい。
もう1人は昨日のおかー様脱走時に護衛をしていた、頭に可愛らしい耳を生やした女性だった。この女性はおかー様の近衛隊隊長。俺にはまだ近衛隊は付いていないが、おかー様とおとー様には近衛隊が付いている。王家の近衛隊はこの国の指折りの実力者、100人で構成されていて、おかー様に30人、おとー様には70人配属されている。
この女性はその100人いる近衛隊の中で2番目に強い方だ。ちなみに1番強い方はおとー様の近衛隊隊長だ。
そういえば、この世界のトップクラスの強さを知らないなー。と思い、いつも通りに鑑定してみた。ついでにメイシス主治医も。
・レベル:89
・名前:メナー・シーホークス 28歳
・種族:狼人種 女
・地位:ポラリオン王国、第二近衛隊隊長
・称号:狂狼、忌み子、騎士、忠犬
・HP:1913/1913
・MP:531/531
・SP:1899
・AP:1951
・DP:1861
・LP:-38
・スキル
[狂狼化LV3]、[聴覚強化LV2]、[不幸LV3]、[嗅覚強化LV3]、[憎悪LV4]、[忠義LVMAX]、[剣術LV7]、[護衛術LV3]、[槍術LV5]、[身体強化LV3]、[気配察知LV3]、[物理耐性LV2]、[全属性耐性LV1]
・レベル:12
・名前:メイシス・フィーヤ 64歳
・種族:人間 女
・地位:ポラリオン王国、王家専属主治
・称号:癒しの天才、聖女、薬使い
・HP:205/205
・MP:675/675
・SP:198
・AP:681
・DP:68
・LP:46
・スキル
[癒しの手LV3]、[光属性魔法LV4]、[回復魔法4LV7]、[薬学LV4]、[調合師LV3]、[毒耐性LV3]、[光属性耐性LV1]
メナーさん、レベルは高いけどステータス低くない?これでこの国、2番?
あの、紫衣さん。いまの俺の強さってどれくらいなの?
ちなみに今の俺のステータスはこう。
・レベル:26
・名前:フラムスティード・ポラリオン 2歳
・種族:人間 男
・地位:ポラリオン王国第一王子
・称号:変態、王子
・HP:2600/2600
・MP:1350/1350
・SP:2510
・AP:2505
・DP:2505
・LP:125
・スキル
[鑑定LVMAX]、[紫衣]、[全属性魔法LV6]、[MP超急速自動回復LV2]、[気配感知LV2]、[気配隠蔽LV2]、[全属性耐性LV1]、[全状態異常耐性LV1]、[物理耐性LV1]、[魔力操作LV2]、[魔力感知LV1]、[詠唱不必要]、[ステータス隠蔽LV1]、[完全看破LV1]、[付与術LV1]、[錬金術LV1]、[身体超強化LV1]、[オールクリエイトLV1]、[思考超加速LV2]、[危険察知LV1]、[全種族魅了LV1]、[恐喝LV1]、[痛覚超軽減LV1]
・スキルポイント:7
(あぁ、そういえばレベル、HP、SP、AP、DPの値の基準は言ってませんでしたね。
レベルは一般人で1~5。5~20が初心者。20~50が中級者。50~80が上級者。80~100が伝説級。100以上で人外級です。
HP、SPは100~200で一般人。200~400で初心者。400~1000中級者。1000~1600で上級者。1600~2000伝説級。2000以上で人外級です。
AP、DPは1~10で一般人。10~100で初心者。100~500で中級者。500~1500上級者。1500~2000伝説級。2000以上で人外級です。
これでお分かりかと思いますが、主人さまの強さは異常だと)
おぉぅ、まじかよ。
まあまあ、強いとは思ってたけど余裕で人外級だったのか……。
嬉しいような。悲しいような。なんとも言えない感じだな。
(ええ、ですので主人さまは早々にこの世界での生き方を決めなければなりません)
ん?どういうこと?
(そのままの意味ですよ)
「どうしたの?フラン?」
俺がおとー様の腕の中で惚けていると、おかー様が俺に話しかけた。
「あぁ、いえ。なんでもないです」
「そう?ならいいけれども……。しかし災難だったわね。こんな朝早くにどこかのお馬鹿さんに起こされて」
俺の様子におかー様は少し訝しく思ったが、すぐにいつも通りの優しい顔になり、おとー様に向かってそう言った。
おとー様からは俺の顔は見えていないため、俺の様子など知らずにおかー様に言い返した。
「いや。さっきも言ったが、フランが付いてきたいと言ったんだぞ」
「それはそうかもしれませんけど、起こしたのはあなたなんでしょ?」
おとー様は降参した様子で、
「まあ、そうだが……」
といい、俺への申し訳ない気持ちの表れか、俺を強く抱きしめた。
俺はこの空気でなんだか心臓がムズムズする感覚になりながら、おとー様に下ろして。と言い、ベットの側に行った。そして俺は一生懸命背伸びして、手をおかー様のお腹に置いた。
「この中に僕の妹か弟が宿っているんだ」
と小さく呟き、その声がおかー様とおとー様に聞こえ、2人も改めておかー様のお腹を幸せそうに見ていた。
この時は誰もが新たな命の誕生に心から神に感謝した。
しかしこれがこの国の歯車が狂いだす、瞬間だった。
―――――――――――――――――――――――――――
おかー様が身篭ったことは瞬く間に自国、他国に広がっていった。おかー様とおとー様は祝いの品などのお返しの対応に追われていた。しかし、2歳児の俺には関係ない話だった。
俺は先日見つけた、ダンジョンを探そうと前日に準備(準備と言っても昼寝をするだけ)し、1人になった瞬間、この間殲滅したゴブリンの巣がある場所に転移した。俺は丁度ゴブリンの巣の上に転移し、飛行魔法で空中にいた。
なあ、紫衣。
ダンジョンを見つけるためのスキルとかないの?
(そんな都合のいいスキルがあるはずがないではありませんか)
だよなー。じゃあ、どうやって見つけるの?
(魔力感知で探せばいいんですよ。ですが今回のダンジョンは隠されている可能性が高いため、魔力感知だけでは見つかられません。そこで完全看破を使うのです)
なんだ、あるじゃん。てか、自分が持っているスキルの効果、把握していないんだけど……。あっ、鑑定を使えばいいのかまた忘れていた。
鑑定、持ってるスキルの効果。
(まったくこの阿呆は、いつまでたっても成長しないんですね)
[鑑定:生物のステータスを見ることが出来る。レベルが上がると、さらに深くステータスを見ることが出来る]
[紫衣:スキル主をサポートしてくれる。また、このスキルは、主の体やスキルを使うことが出来る]
[全属性魔法:この世界に存在する全属性魔法が使用できる。レベルが上がると更に上位の魔法を使用でき、威力、自由度が上がる]
[MP超急速自動回復:MPが超急速に自動的に回復する。LVMAXで1秒間で100回復する]
[気配感知:生物の気配を感知する。レベルが上がると、範囲と精度が上昇する]
[気配隠蔽:自分の気配を隠蔽する。レベルが上がると、範囲と精度が上昇する]
[全属性耐性:全属性の耐性力が上昇する。LVMAXで無効にできる]
[全状態異常耐性:状態異常の耐性力が上昇する。LVMAXで無効にできる]
[物理耐性:物理攻撃の耐性が上昇する。LVMAXで無効にできる]
[魔力操作:魔力の操作の精度が上昇する]
[魔力感知:魔力を感知する。レベルが上がると、範囲と精度が上昇する]
[詠唱不必要:魔法を使うときの詠唱が必要でなくなる。無詠唱でも魔法の威力が下がることはない]
[ステータス隠蔽:自分のステータスを隠蔽できる。見破るにはこのスキルのレベル以上の看破スキルが必要]
[完全看破:ステータス隠蔽をしている人物のステータスを見ることが出来る。そのほかにも、うそを見破ったり、罠を見破ったりできる]
[付与術:非生物に自分が持つ魔法などを付与することが出来る。レベルが上がると、付与できる数、物が増える]
[錬金術:物質と物質を組み合わせ新たな物質を作ることが出来る。レベルが上がると、物質そのものを作ることが出来る]
[身体超強化:MPを消費し体のどこでも強化することが出来る。レベルが上がると、消費MPが減少し、効果が増大する]
[オールクリエイト:材料があれば何でも作ることが出来る。またレベルが上がればスキルすら作ることも出来る]
[思考超加速:思考の速度が超加速する]
[危険察知:直感的に事前に危険を察知することが出来る]
[全種族魅了:生物ならなんでも魅了することが出来る]
[恐喝:生物に死ほどの恐怖を与えることが出来る。レベルが上がると、効果が上昇する]
[痛覚超軽減:痛覚を超軽減する。LVMAXで痛覚を無効できる]
俺にもチートがないと思っていた時代がありましたとも、しかし何なんだこれは!もう一回言おう、何なんだこれは!
スキル名を見たときかやばいなーとは思っていたけど、まさかこれほどとは。
これは度が過ぎてるでしょ!
(ええ、確かに今でも主人さまにできないことはないでしょう。そしてさらに成長することが出来ます。さあ、主人さまはこの力でどのようにこの世界を生きますか?)
ふん。そんなもの、決まっているではないか。
こんな圧倒的な力をもっていたら使いたくなるではないか!!!
あんなことやこんなことして屈服、蹂躙するに決まっているではないか!!!
(……………やはりそうなりますか。圧倒的な力を持ったらこうなるに決まっている。この者があの方の……であってもか)
さあ、実験はこの森でやろう。まずは超強力な魔法はどのくらいのものか。
ふっははははは!!!!もはや俺を止めることのできる奴はいない。
紫衣、やるぞ!
(もはやここまでか……。この者と一緒にいるのも面白かっのにな。残念な結果になった)
……さあ、紫衣。
俺を虐めてくれ!!!!!火責めでも水責めでも電気でも!お前は俺の体を操れるのだろ?それで俺に罵りながら魔法を使うんだ。
幸い、この体は相当丈夫らしい、前世ではできなかったハードなことをしても問題ない!
出来たら自分で自分をではなく、可愛いクールロリにされたかったが紫衣の声でも十分興奮する。
さあ早く、早く俺を蹂躙して屈服させてくれ!!さっきからどんな痛みが味わえるかを想像して興奮が止まらないんだ!
おい、何か言えよ。いや、これが放置プレイというやつか?
さすが紫衣様、奴隷の扱いがお上手で!!
俺が1人、お楽しみ中に突如俺の体から光が漏れていった。俺が紫衣様これはどのようなプレイでしょう?と言ってるとその光は徐々に俺の1mほど前に集まっていき、ゆっくりと人の形を成していく。
えっ?と言ってると光が徐々に落ち着いていきそこには、一瞬ホワイトアウトしたと錯覚するほど全身が白い女の子が見えた。
身長が130mほどで、絵の具で塗ったような真っ白な髪をくるぶしにも届きそうなほど伸ばし、白を基調とした、所狭しと刺繍が施された服に身を包み、露出している肌は田舎の雪のような色をしていた。
その少女の存在は白以外の色の存在を許さないようだった。
そんな少女は頭上に俺の体を優に超えるほどの火の玉を作り、俺に向かって放った。
避けることはたやすいと思ったが、俺はなぜか避けてはならないと思いその火の玉の攻撃を受けた
「さあこれがお前の望みの火責めだ」
この声は紫衣?やっぱりあの、この世のすべての美しさを具現化したような少女は紫衣だったのか。
俺が火の中で苦し、悦んでいる中、洗脳されそうな声質の紫衣の声が聞こえた。
その声は少し鼻声だったが、うれしそうな声だった。
俺はさすがご主人様、うれしそうな声とは。と思いながら、紫衣からの愛を受け続けた。
圧倒的な力を持っていても、自分を虐めることにしか頭にない主人公。
基本的に主人公はチートを使ったりはしません(予定ですが)。持っているだけです。