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チートはいらないって言わなかったか?  作者: 関谷 じん
第1章 変態王子、変態王になる
15/20

洗礼式

遅くなりました……

洗礼式が始まった。今は貴族の子供と一部の金持ちの子供だけの式だ。平民はこの後に行われる。

身分が低い者から入場していき、ついに最後俺の番が回ってきた。控え室には俺とキャロットしかいない。俺はキャロットに行ってくる。と言い、それに対してキャロットは見守っております。頑張ってください。と言い俺を見送った。

控え室から出て、廊下を堂々と胸を張って歩く。教会の人が俺に頭を下げていく。

そして、舞台に入場する。

少し高くなった舞台には俺と同い年の子供が真ん中に行くほど身分が高くなる順で立っていた。

舞台の正面には下級貴族の面々や従者が立って子供達を見ていて、教会の2階には上級貴族たちが座って、子供たちを見ている。

俺がは入った瞬間、下級貴族と子供達が跪く。

俺は舞台の真ん中に行き、楽にしてください。と言う。

その姿を見て、父とシャハルを抱っこした母が小さく頷きながら俺の方を見ていた。

その姿に少し勇気をもらいながら、口を開いた。


「お忙しい中、我々の晴れ姿を見にきていただき、ありがとうございます。高いところからですが、代表して私がお礼申し上げます。

また、我々のためにこの日を準備してくださった、教会の方々心よりお礼申し上げます」


俺が代表して簡単な挨拶した後、この教会の最高司教が式を始める。

ここにいる全員で舞台に祭られた神に祈りを捧げながら、司教が教義を読んでいく。

この宗教は戒律などの規則が緩く、この大陸で1番信者数が多い。しかしこの宗教の信者達が一つにまとまることは難しい。教会ごとに派閥があり、度々派閥同士で揉め事が起きている。

隣国のシーランス教国は一神教で、戒律などが厳しく信者数が少ない。しかし、この宗教の信者達は自分達の神のためなら簡単に命すら投げ捨てる狂信者が多い。父もこの国の人達の扱いに困っているらしい。

将来的に俺がそいつらと外交を行わないと思うと、うんざりする。

元日本人の俺には宗教とか言われても全くぴんと来ない。


聖書を読み終わった後、お待ちかねの鑑定だ。

司教が舞台袖にはけていき、新たな人物が登場した。この人は鑑定士だ。

鑑定士とは鑑定スキルを持っている人でこの国のごく僅かにしかいない。そのため鑑定スキルを持っている人は一生裕福な生活をできると言われていて、鑑定士は憧れもしくは嫉妬の的である。


一度、舞台にいる子供達は舞台袖にはける。

そして、身分が低い子供達一人一人が舞台の真ん中まで行き、鑑定を受ける。その内容を鑑定士が読み上げる。

ちなみに、この歳の子供のステータスはLVが1~3で、APとDPが1~5で、HPとSPが100~150で、MPが1~50で、LPが1~50程度だ。この時は体が成長がしていなく、成人している人より少し低い。

金持ちの子供が1人ずつ鑑定されていく、たまに場が騒がしくなるが、俺の目に入るやつはいない。

金持ちの子供が終わった後、下級貴族の番になり、3番目の男の子が気になる。

あっ、いや。べつにこの男の子を女装させたらいい感じの男の娘になる。とかじゃないよ?

いや、まあ可愛らしい顔はしているが。


(ついに同性にも手を出すとは)


いや、まだ手は出してないだろ。

って、ちげーよ。ステータスだよ。


・レベル:1

・名前:クラージュ・オブ・クラッキー 7歳

・種族:人間

・地位:クラッキー男爵家、三男

・称号:男爵家の息子


・HP:120/120

・MP:20/20

・SP:110

・AP:3

・DP:2

・LP:20


・スキル

[剣術LV1]


これがこの男の娘、違う。

これがこの男の子のステータスを鑑定士が読み上げたものだ。

しかし、俺が鑑定すると、


・レベル:1

・名前:クラージュ・オブ・クラッキー 7歳

・種族:人間

・地位:クラッキー男爵家、三男

・称号:男爵家の息子、英雄の卵


・HP:120/120

・MP:20/20

・SP:110

・AP:3

・DP:2

・LP:20


・スキル

[成長率アップ]、[経験値増加]、[剣術LV1]


紫衣。これってどういうこと?

どうして鑑定士は嘘をついているの?誰かに買収された?


(ああ、そういえば言っていませんでしたね。レアなスキル、いわゆるユニークスキルやレアな称号はレベルの低い鑑定スキルでは読み取ることができないです)


え!?と言うことは金の卵はこの世界に隠れていることが多いってこと?


(えぇ。一部の権力者はそのことを知っていますので、この場に自分で準備した鑑定スキルのレベルが高い者に鑑定させていますよ)


じゃあ、この男の子の本当のステータスは一部の人にばれている可能性があるってこと?



(いえ、その可能性は無いと思います。この子のステータスのスキルと称号は非常にレアなもので、鑑定スキルのレベルが4以上でないと読み取れません。LV4の鑑定スキル持ちなんて、人にはいませんよ)


なるほどねー。それはいいことを聞いたな。

てか、高レベルの鑑定スキルを待つ者がこの世界を支配するんじゃ……

鑑定士って最強の人事師だよ。人事師なんて言葉ないけど。

じゃあ、俺がいなければこの子のは自分の才能を知らず生きていくのか。それは勿体無い。

よし、後で話しかけよう。


俺がそう決心していると、上級貴族の子供の番が来た。あのジョークを交えて挨拶を行った女の子の番だ。

鑑定士が鑑定内容を言い、今日1番に場が騒がしくなる。鑑定士が読み上げた内容はこうだ。


・レベル:1

・名前:フレアリード・オブ・ロリンズ 7歳

・種族:人間

・地位:ロリンズ伯爵家、次女

・称号:伯爵家の娘、天才


・HP:105/105

・MP:10/10

・SP:100

・AP:2

・DP:2

・LP:30


・スキル

[算術LV1]、[法学LV1]、[歴史学LV1]


この歳で知識系スキルを持っている、しかも3つも。

これはたまにあるが、よくあることではない。このような子供は将来、国の大臣になることが多い。

そのため、この場が騒がしくなったのだ。

ちなみに、キャロットはこの歳で知識系スキルを5個持っていたらしい。

やっぱり頭がいい子だったんだなー。と思いながら次に出て来た、ピカピカに光った子豚を見た。

相変わらず醜いなー。と思っていると鑑定士が鑑定内容を読み上げていく。


・レベル:1

・名前:ロメアリンス・オブ・チャキセス 7歳

・種族:人間

・地位:侯爵家、次男

・称号:侯爵家の息子


・HP:90/90

・MP:5/5

・SP:90

・AP:1

・DP:1

・LP:5


・スキル


この鑑定内容を読み終わった瞬間、さっきとは別の意味で場がざわついた。

ステータスは全体的に低くて、スキルはない。

上流貴族男児で戦闘系スキルを一切持っていないのは、あまりにも情けない。貴族は自分の身を守る術を少しは持っていないといけないのに。

戦闘系スキルは取るのはそこまで難しいわけではない。才能が知識に偏っている人でも取ろうと思えば半年ほどで取れる。でも、この子豚が持っていない理由はただ、サボっていただけだろう。

同情の余地はない。

とうの本人はこの鑑定内容を受け、体がぴくぴくと震えていた。今にも何か叫びそうな様子だった。

そんな様子の子豚を教会の人たちが舞台袖に連れて行く。それさまるで出荷される豚のようだった。

ぱっと、2階にいる子豚の親を見るが、両親ともに無表情だった。まるで元からこうなることがわかっていたようだった。


さて、ついに俺の番だ。

今、俺はどこまでステータスを捏造するか考えている。流石に王太子としてさっきの子豚のような情けないステータスにはできないが、かといって俺の馬鹿げたステータスを晒すわけにもいかない。

どこまで捏造するか……

そんな事を考えながら舞台上に行く。俺が来た瞬間、場の雰囲気が変わった。

そりゃそうだ。この国の将来トップになる男だ。どんなステータスか気になるのは当たり前だろ。

そして、先程と同じように鑑定士が鑑定し、鑑定内容を読み上げていくはずだが、俺を鑑定した後、そんな、馬鹿な。といい全く鑑定内容を読み上げようとしない。

場が騒がしくなり、鑑定士は慌てて鑑定内容を読み上げていく。


・レベル:1

・名前:フラムスティード・ポラリオン 7歳

・種族:人間 男

・地位:ポラリオン王国第一王子

・称号:王子、神童、天才


・HP:150/150

・MP:90/90

・SP:150

・AP:10

・DP:10

・LP:50


・スキル

[鑑定LV1]、[気配感知LV1]、[物理耐性LV1]、[思考加速LV1]、[危険察知LV1]、[魅了LV1]、[算術LV2]、[歴史学LV2]


この鑑定内容を読み上げられると、場が大騒ぎになった。


(やりすぎですよ。今まで話した私の説明忘れてしまったんですか?この阿呆は)


いやいや、覚えてるよ。

でも、このぐらいならまだ許容範囲内かなーって。


(まあ、それはそうかもしれませんが……)


俺は一礼し舞台袖にはける。その時母達の方を見たが、父は驚きに満ちて、母はこれが当然のような様子だった。

舞台袖に戻ると、キャロットが出迎えてくれた。

キャロットからの労いの言葉を聞きながら、さっき座っていた椅子に座る。


「王太子様は素晴らしいお方だと思っていましたが、まさかここまでとは思いませんでしたよ〜」


「そうか?それはありがとう。俺も驚いているよ」


みんなの驚きように。

キャロットと話していると後ろから声がかかった。

俺の未来の臣下になる、フレアリードの声だ。


「フラムスティード様」


俺は振り返り、彼女を見た。


「おお、フレアリードではないか。お主のステータス、なかなかのものだな」


「フラムスティード様にお褒めのお言葉を頂いても、嫌味にしか聞こえませんわ。

それと私のことはフレアとお呼びください」


苦笑いしながら、彼女は言った。

俺はそんなつもりではなかったのだが。と思った。

俺とこの世界の普通の人を比べるのはなんか違うだろう。しかもあのステータス嘘だし。


「そうか、それなら俺のことはフランと呼んでくれ。

いやいや、そんなつもりで言ったんじゃない。俺なんてまだまだだ」


「謙虚な姿勢ですね。素晴らしいと思いますわ。ですが謙遜はよろしくありませんわ」


この言葉で彼女の後ろにいた従者の目が開き、小声でお嬢様さっきの言葉を訂正なさってください。と言う。

彼女は王太子の俺にダメ出ししたのだ、焦るのは当然だろう。でも、これは彼女に試されているように感じる。

だから、俺は彼女の従者を止める。


「いやいや、フレアの言っていることは一理ある。しかし、俺は本当にそう思っているのだ。この国、民の命や生活を左右する人間になるんだ。あのくらいのステータスで満足してはならない」


俺が心の中は良いこと言った!とドヤ顔しながら、でも表情は真面目な真剣な様子でそう言った。

俺の言葉で彼女は少し面食らった表情をした。そんな顔をする彼女の背後に俺が気になった男の子がいた。その子はもうこの部屋から出ようとしていた。

慌てて、それを引き止める。


「クラージュ!待ってくれ!」


その言葉に周りがざわつく。俺の目の前の女の子もえっ?という顔に変わっていた。

とうの呼び止められた本人は青ざめた表情になっていた。

心の中で別に何もしないよ。と思いながら、周りの反応を無視して、続けた。


「クラージュ。こっちに来てくれ。話がある。あっ、フレアもここに居てくれ」


「僕ですか?人間違いでは?」


話がある。と言う言葉にさらに青ざめる彼。

俺は少し悪戯をしたくなり、さらに追い討ちをかける。


「なんだ?この俺が人間違いをしたと言うのか?」


少し恐喝スキルを使いながら言った。

まさかこんなところで使うとは。なんか勿体無いなー。

呑気な事を思っている最中、クラージュは今にも気絶しような勢いだった。彼の従者はどうしたらいいのか分からないのか、オロオロしていた。

見かねたフレアが彼の方に行き、背中をさする。

女の子に介抱されるのが恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にしていた。

少し落ち着きを取り戻し、彼女に介抱されながら俺の方に来た。


「そこからここに来るのにどんだけ時間をかけるのだ」


少し落ち着きを取り戻した、彼だったが。その言葉でまた青ざめる。

そして、吐き出すように謝罪した。


「も、申し訳ありません。僕がなにかフラムスティード様のお気になさることをしましたでしょうか?」


「いいや、何もしていない。ただ、話があると言っただけだ」


「その話とやらは何でしょう?私も同席して良いという話ですが」


口をパクパクさせて、文字通り話にならないことにあきられながらフレアが俺に聞いた。

俺は待ってましたと言わんばかりの表情をした。


「今後、俺と一緒にこの国を支える者の初めての顔合わせだぞ。フレアは大臣に。クラージュは英雄に。な」


俺はあえてこの部屋にいる人、全員に聞こえるように言った。みんな俺が何を言っているのか分かっていない様子だった。

とうの本人達もはっ?という顔をしていたが、俺を無視して続けた。


「クラージュよ。お前、しばらく王都にいろ。滞在費は俺が出す」


そう言い、颯爽と立ち上がりすたすたと扉の方へ歩る。

そのまま、この部屋を出ていくつもりだったが、醜い子豚に引き止められた。


「おい!お前。あの男のステータスを見ていなかったのか!?お前の目は節穴か?」


一瞬誰に言ったか分からなかったが、どうやらこの俺に言ったみたいだ。

子豚の従者は目玉が飛び出るように目を見開いた。


「誠に申し訳ございません。王太子様!坊っちゃまは先ほどのステータスで気が動転しておられますゆえお許しください」


「ほう。気が動転していると何をしてもいいのか?」


俺は最大限に恐喝スキルを子豚と子豚の従者に使う。

しばらくしても何も言わない2人を不審に思い、顔を覗く。

どうやら従者は気絶をしてしまったようだ。

子豚の方も俺が顔を覗いた瞬間、今にも気絶してしまいそうな顔だった。

これ以上醜い顔は見たくないと思い、次こそ部屋から出ようと思った。

部屋を出るとキャロットが俺に話しかける。


「あの、王太子様〜。さっきの男の子は普通以下のステータスでしたよね?でもどうしてあんなことを仰ったのですか?」


「俺の目ではあの男はこの国の英雄になる」


はあ。と言い、腑に落ちない様子だが、知ったことではない。

俺はキャロットに頼みごとをする。


「そうだ。その男の子の滞在費を父上に支払ってもらうように頼んでくれ。俺がどうしても、と言えば分かってもらえるだろう」


「はあ。それは構いませんが、大丈夫ですか〜?」


「あぁ、大丈夫だ。将来、あの男はこの国を背負ってくれるぞ」

昨日は頭痛が酷く寝込んでいました。

病院に行こうと思っても、日曜日だから空いていなく、効くか分からない薬を買いに行く気にもなれず、ただ痛い中頑張って耐えていました。

そんな私を同情してくださるのであればブックマークをして下さい。

してくれない方は明日、頭が痛くなりますよ。

嘘ですが……


というわけで、新キャラ、フレアとクラージュです。

クラージュはしばらく出てきますが、フレア出てきません。


4月4日にクラージュの種族を人間に変更しました。



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